【完結・BL】インキュバス君は魔王様に恋してる!【インキュバス×魔王】

彩華

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17】【こぼれ話】とある人間と魔王様の話

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17】【こぼれ話】とある人間と魔王様の話

 これは、ほんのこぼれ話。昔むかし、それはうんと昔のこと。
魔王と呼ばれるようになった魔族の青年と、人間の青年が一人おりました。もちろん、人間と魔族がこんなに近くにいるなんて、とても珍しい事。さらには、二人の間に雰囲気が穏やかなのも。だけれど、それには理由がありました。

「お前は、変わったやつだな」

「よく言われる」

ははっ、と笑った青年は健康的な太陽に焼けた肌の色。僅かに日焼けした肌をして無邪気そうに笑いました。対して、側にいる青年は、全身黒い恰好に漆黒の艶髪。一層黒を引き立てる白い肌をした青年で。対照的な二人であるが、二人の間を流れる時間と空気は、とても優しかったのです。

「でもさ、ハデス。俺のそういうところが好きだろ?」

ハデス。今では魔王の名前として知れ渡っている名前を恐れた様子もなく呼んだ。

「ふん、自惚れるな」

返事の言葉は刺があるものだったが、青年が色白。ハデスの青年を抱き寄せる。そのまま互いに瞳を閉じて、唇を重ねるのでした────。

*******

 「……ッ」

夢を見た。随分と昔の夢。
自身が魔王と勝手に呼ばれ、勝手に城を作られ。断る理由もないまま、魔王という魔族の頂点についた頃。常日頃、魔族たちは人間をどうするのかと聞いてくる。退屈な奴らだ。人間など、我々よりも寿命は短く力も弱い。弱者を虐める趣味は無いと、ただその程度。魔族の相手も人間の相手も面倒だと、謁見する者達を適当にあしらった。

とりわけ、「魔王」という立場は面倒なことばかり。
歴代の魔王と呼ばれた輩のせいか。それとも人間の歴史のせいか。人間たちの中には「勇者」と呼ばれる者たちが度々城へとやって来ていた。命を奪う趣味は無いが、次から次へとやって来る勇者の相手もするのも面倒な日々。

「魔王様、一度くらい勇者を見せしめにしては?」

面倒だと思っていたのは、私だけでは無かったらしい。城にやって来るばかりの魔物の中では、そんなことを言う者もいた。

「煩い。私にそのような趣味は無い。適当に痛めつける程度で良いと言っているだろう」

「はっ……! 失礼致しました。魔王様の御心のままに」

振り向いてそう言えば、怯んだ様子の魔族が一匹。フンッ……! 足を進め。出て行けとばかりに窓辺から外を見た時だった。


「魔王~~! 出て来~~い!!」


「何だ、あれは」

今までに来た勇者とは随分とタイプの異なる。ギャンギャンと煩い人間がいるのが見えた。

********
シリーズを早めに終わらせる予定です
とりあえず、ふわっと終わらせられれば…!
R要素をまた入れるかは未定です><
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