【完結・BL】インキュバス君は魔王様に恋してる!【インキュバス×魔王】

彩華

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13】その選択は間違いだった③

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13】その選択は間違いだった③

何だか今日は魔王様の機嫌も良さそうで、俺も魔王様に会いたい気持ちが強くなっていたから浮かれていた。塩対応には変わりが無いが、どこか以前よりもほんの少しだけ俺に優しく。甘くなったように見えていたから。

「やだなぁ。俺はいつだって、魔王様の忠臣ですよ」

「どうだか」

(何だか、魔王様の機嫌も良さそうだ)

そう言いながら、魔王様が手招きする素振りを見せてくれた。近づく許可が下り、安心して俺は一歩ずる魔王様の元へ近づいていく……までは良かったんだよ。本当に。

コツコツと石床の音が小さく鳴りながら、庭園の脚を伸ばす。こんなに魔王様に近づいたのも、庭園の花をしげしげと見たのも初めてだと思いながら魔王様の顔を見つめると、あまり表情の変化がない魔王様の眉間に皺が寄るのが分かった。

「……何だ、この匂いは」

「あ! すみません。ここに来る前に人間のいたので、人間臭かったですか?」

「ほぉ……?」

「俺、こう見えて一応淫魔なので。たまには人間の精気を吸いに行ってみたんですけど、そんなに吸いたい気持ちにならなくて……────」

クンと腕を嗅いでみると、言うほどではないが人間臭かった。この庭園に匂う花の匂いと比べると、気にならないだろうと高を括っていたのは俺だけ。

「出て行け」

よく通る魔王様の声は、いつも以上に冷たく聞こえた。

「え?」

(出て行け?)

突然の言葉と魔王様の変化に、理解が追い付かない。間抜けな声を漏らしながら、魔王様を見つめると俺と視線を合わせて、魔王様がもう一度言った。

「出て行け」

ほんの数分前に回ってくれたように見えた表情が、まるで凍っているように冷たかった。同時に、力の違いを見せつけられるような威圧感を身体が感じる。

「この庭園に、知らぬ人間の匂いを入れるな」

「え、待って下さい。魔王様」

「出て行け」

「うわっ……!」

気づけば身体が吹き飛んだ。ブワッ……! と来た道を戻るように柱の方へ。背中を柱に打ち付け、床に倒れ込むことしか出来ない。「うぅっ」と痛みに顔を歪めたが、魔王様は庭園から一歩も動かず。俺を冷たく見つめるだけ。

「私だけだと言いながら、他の者の匂いをつけてくるのも。ましてや、この庭に知らぬ人間の匂いを持ち込むとは……」

「すみません、魔王様」

どうにかして謝らないと思った時には、魔王様の姿が庭から消えていた。


「~~~~っ、俺の馬鹿……」


■その選択は間違いだった■

(人間の街に行かなきゃ良かった)

*********
う~ん。詰みましたorz
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