【完結・BL】インキュバス君は魔王様に恋してる!【インキュバス×魔王】

彩華

文字の大きさ
上 下
12 / 42

12】その選択は間違いだった②

しおりを挟む
12】その選択は間違いだった②

「ん? ナイト。お前今日なんだか人間臭くないか?」

「ああ、今日久しぶりに女の子の精気を吸ってきたから」

一応、淫魔なんで。そんな軽い口調でスタスタを門番の横を通り抜け。この時は浮かれるまま、足早に通り過ぎたせいもあり。俺に向かって、この時の門番の返事をまともに聞いていなかったんだ。


「お前、それなら魔王様に会うのはやめておいた方が……っていねぇし」

「ナイトの奴、実は魔王様が人間嫌いだって知らねぇんじゃねぇか?」

「そうだな。魔王様、表向きは人間を襲ったりしねぇし。嫌いというか好きというか。まぁ【あの事】を知っている魔族も、今じゃそんなにいないだろうし。未だに引きづっていらっしゃるみたいだしなぁ……」

「知ってても、決して話すようなことでもねぇし」

「そうだよなぁ……ナイトの奴、ヘマしなきゃいいけど」


そんな会話も、魔王様が人間嫌いだってことも。
俺は何も知らなかったし、聞いていなかったんだ。



 「ふんふん♪ 今日も魔王様は、いつもの庭園かな? 天気も良いし、魔王様の好きな花も綺麗に咲いてるだろうな」

気づけば羽で飛ぶのは止めて、歩いていた。大きな柱の先に、明るい日差しが差し込んでくる庭園が見えてくる。色鮮やかな中に、漆黒の花が咲いているように俺の好きな魔王様の姿が見えた。

「魔王様!」

名前を呼ばれてから、俺は調子が良いもので。
華を見つめていた魔王様の耳がピクリと動き、俺の方を向くのに合わせて魔王様の肩にかかった髪がサラリと揺れた。一つ一つの動きが長かったわけじゃないのに、不思議とゆっくりに見えて。おまけに何だかこう……芸術作品みたいで、ただ綺麗だなぁと見惚れた。

「なんだ。また来たのか、ナイト」

いつも通りの塩対応ながら、不思議とフッ……と魔王様が笑ったように思えた。

(ああ~~♡やっぱり今日も来て良かった♡魔王様♡好き♡)

キュンキュンと中途半端に身体の奥に燻った熱が、訴える。昨日抜いたばかりだというのに、流石に魔王様の前で勃起するわけにはいかない。(もしかしたら切られてしまうかもしれないし、嫌われてしまうかもしれない)

(ぜっっっったい勃つなよ! 俺のちんこ!!!)

テンションと気持ちの上下が激しく、冷静さに欠きそうだ。落ち着け、魔王様に嫌われたら元も子もない。

「はい♡魔王様に会いたくて♡」

なんて軽口を聞きながらも、そこは場をわきまえて近づいて良いと言われるまでは柱の側に立ったまま。

「いつもは平気で近づいてくるくせに。今日は、何だ? 忠臣のつもりか?」

「やだなぁ。俺はいつだって、魔王様の忠臣ですよ」

「どうだか」

そう言いながら、魔王様が手招きする素振りを見せてくれた。近づく許可が下り、安心して俺は一歩ずる魔王様の元へ近づいていく……までは良かったんだよ。本当に。

*********
うーん。R系統のぬるい話を今後入れるかと、どの程度続けるかで迷ってます><
ネタ切れなので、また別のシリーズ始めるかもしれません(こら)
ぬるい話好きなんですが、最近思いつかなくて…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

死に戻り騎士は、今こそ駆け落ち王子を護ります!

時雨
BL
「駆け落ちの供をしてほしい」 すべては真面目な王子エリアスの、この一言から始まった。 王子に”国を捨てても一緒になりたい人がいる”と打ち明けられた、護衛騎士ランベルト。 発表されたばかりの公爵家令嬢との婚約はなんだったのか!?混乱する騎士の気持ちなど関係ない。 国境へ向かう二人を追う影……騎士ランベルトは追手の剣に倒れた。 後悔と共に途切れた騎士の意識は、死亡した時から三年も前の騎士団の寮で目覚める。 ――二人に追手を放った犯人は、一体誰だったのか? 容疑者が浮かんでは消える。そもそも犯人が三年先まで何もしてこない保証はない。 怪しいのは、王位を争う第一王子?裏切られた公爵令嬢?…正体不明の駆け落ち相手? 今度こそ王子エリアスを護るため、過去の記憶よりも積極的に王子に関わるランベルト。 急に距離を縮める騎士を、はじめは警戒するエリアス。ランベルトの昔と変わらぬ態度に、徐々にその警戒も解けていって…? 過去にない行動で変わっていく事象。動き出す影。 ランベルトは今度こそエリアスを護りきれるのか!? 負けず嫌いで頑固で堅実、第二王子(年下) × 面倒見の良い、気の長い一途騎士(年上)のお話です。 ------------------------------------------------------------------- 主人公は頑な、王子も頑固なので、ゆるい気持ちで見守っていただけると幸いです。

イケメン俳優は万年モブ役者の鬼門です

はねビト
BL
演技力には自信があるけれど、地味な役者の羽月眞也は、2年前に共演して以来、大人気イケメン俳優になった東城湊斗に懐かれていた。 自分にはない『華』のある東城に対するコンプレックスを抱えるものの、どうにも東城からのお願いには弱くて……。 ワンコ系年下イケメン俳優×地味顔モブ俳優の芸能人BL。 外伝完結、続編連載中です。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

前世から俺の事好きだという犬系イケメンに迫られた結果

はかまる
BL
突然好きですと告白してきた年下の美形の後輩。話を聞くと前世から好きだったと話され「????」状態の平凡男子高校生がなんだかんだと丸め込まれていく話。

夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト

春音優月
BL
真面目でおとなしい性格の藤村歩夢は、武士と呼ばれているクラスメイトの大谷虎太郎に密かに片想いしている。 クラスではほとんど会話も交わさないのに、なぜか毎晩歩夢の夢に出てくる虎太郎。しかも夢の中での虎太郎は、歩夢を守る騎士で恋人だった。 夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト。夢と現実が交錯する片想いの行方は――。 2024.02.23〜02.27 イラスト:かもねさま

学園の俺様と、辺境地の僕

そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ? 【全12話になります。よろしくお願いします。】

処理中です...