【完結・BL】インキュバス君は魔王様に恋してる！【インキュバス×魔王】

7】人間の街にやって来たけれど

7】人間の街にやって来たけれど

「ん～。今日は何しようかな～」

自身のザーメン濡れになってしまったクッションを処分して、今日は何をしようかと考える。俺としては魔王様に会いたいが、恋愛に駆け引きは必要だ。それに、俺の気分転換も。

「最近、人間の精気吸ってなかったしなぁ。たまには吸いに行くか」

俺たち淫魔は、別段人間の精気がないと死んでしまうというわけではない。特に今では昔以上に食べ物はあるし、食事でだって自身の体力を維持することは出来る。それでも人間の精気を吸いに行くのは、なんていうか伝統的な？　別腹的な？　頂けるものがあれば、頂きましょう的な？
うまく説明できないが、「そこに人間の精気があるから」という感じ。まあ、気分転換でも良いかと、俺は向かう先を近くの人間の町にした。

「こんな時間に眠ってる女の子いるかな～」

もう太陽は昇ってしまっている。眠っている子がいたら、随分とお寝坊な子だ。もし眠っていなかったとしても、こう……エッチなことをすれば精気を貰えるのでどちらでも良い。
「むしろ今から寝床に潜り込むのも面倒だから、街中にいる女の子でいっか」

ちょっと食べられれば、それで良いし。自分でも魔王様以外に対する軽さに驚くが、本命以外にはこんなもの。だが人間から精気を貰うなら、可愛い女の子が良い。男から貰ってしまえば、サキュバスに怒られてしまう。う～ん、贅沢な悩み。

「よっ……と。まぁ、今回も人間に見えるんじゃないか？　流石、俺。変身術が上手い～」

自画自賛。街中の人気のない場所に隠れ、返信呪文を唱えた。
あっという間に背中の羽と、牙が無くなり。おまけに臍が見えていた服は、体全体を覆う服装に変わっていた。尾っぽがないのも、少しだけ違和感を感じるが気にしない方向で。クルリと一周したあと、足取り軽く人通りがある大通りらしい場所へと駆けて行った。


「うわぁ……人間が沢山いる」

当たり前の感想だが、普段魔族ばかり見ている手前、角も羽もない人が沢山いるのは新鮮に感じる。そういえば魔王様にも角は無いが、羽は生えているんだろうか？
また魔王様のことを考えてしまったと、やれやれと思いながら目に留まったのは長い黒髪をした女の子。艶やかな長い黒髪は、魔王様に似ていてあの子以外に今日のおやつは考えられない。そうと決まれば、行動あるのみ。背中の羽がなくても、足取り軽く。タッ……！　と軽やかに掛けて行って、女の子に声を掛けた。

「こんにちは、お姉さん」

対魔王様路線ではなく、良い顔を活かして恰好良く。警戒されなように穏やかな声色で。それから、ニコリと微笑めば目の前にいる女の子の頬が赤く染まった。

＊＊＊＊＊＊＊＊
久しぶりに更新しました！
【宣伝】別シリーズの「【完結・BL】異世界転生してみたら、出会った巨人がめちゃくちゃタイプだった件【巨人×人間】」が完結しました。良ければ読んで頂けると嬉しいです
（完結なので、一気に読めちゃいます！）

こちらか、DT～どちらを更新していくか、新しくシリーズ始めるかで悩み中です＞＜