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五月蠅い檻の中で男は甘く残酷に狂わされる

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拘束との格闘を諦めて眠りに就き体力の回復を優先することさえも不可能にさせる騒音の中で無様に横たわり続ける時間が、何時間経ったのだろう。自分を捕らえ衣服と自由を奪い取った者達が所有するこの貨物船は、一体何処を目指して航行しているのだろう。
船を目的地へと進める為に必要なあらゆる機構の音がけたたましく鳴り響いている最下層の空間に放置され、男根を模した枷を喉まで飲み込まされた己の口が漏らすくぐもった呻きはおろか裸体を縛める頑丈な拘束が立てる音さえも満足に聞き取れない状況にじわじわと精神を摩耗させられた哀れな男は、自らの靴音を騒音に隠して距離を詰めた男達の足が視界に入ると同時に、誇りを捨てた態度でこの場所からの解放を悲痛に懇願した。

「んぅーっ! んぐっ、もっ、おぐぅぅぅ……っ!!」

心と身体を静かに休息させることも叶わない轟音の檻に閉じ込められ蓄積する一方の憔悴と疲労に為す術無く苛まれた男が、自分を見下ろしている男達に対して涙に潤んだ目を向けながら一生懸命に助けを望む。二の腕同士と手首同士を背中で遊び無く結合する黒革の枷及び腕と同様に太もも同士と足首同士を短く繋ぐ枷を外して欲しいという要求ではなく、足首と手首にあてがわれた枷を結んでいる鎖と南京錠を解いて欲しいという頼みでもなく、男は緩い海老反りの姿勢を強要された裸体をくねらせ丸出しにさせられた男根をみっともなく振り乱しながら、脳までをも揺さぶる音の中から連れ出して欲しいと必死に願う。
けれど、男を拉致した非道な組織に属する男達は無我夢中で紡がれる哀願を欠片も受け入れない。許しての思いを乗せた唸りがほとんど掻き消されていようとも歪んだ表情と半狂乱になって悶える裸体の様子で男が何を欲しているかは理解しているというのに、残忍な男達はほんのわずかしか耳に届かない絶叫を滑稽に放つ光景を堪能しつつ、男の元へと足を運ぶ前に示し合わせていた行動を何の躊躇いも無く取っていく。
醜悪に微笑む男達が荷物の一つとして置かれていた細長い木箱を開け中から下部に不穏な箱型の機械が取り付けられている金属製の檻を取り出しても、逃れられない男は恐怖に目を見開きながらやめての叫びを虚しく発するしか無い。床に敷かれた布の上に転がされていた裸体を数人がかりで持ち上げられ寝返りを打つ余裕すらも存在しない狭い檻に仰向けで下ろされても、抵抗さえままならない男は喉が破れんばかりの拒絶の叫びを塞がれた口から無駄に飛ばすしか無い。男達の手を煩わせることさえも出来ずに頑丈な檻へと詰め込まれ蓋をしっかりと閉じられてしまった男はもう、手足を拘束され騒音の檻と金属の檻という二重の檻に監禁された裸体を為す術無く、金属の方の檻に接続された機械がもたらす責め苦によって悶え狂わされるしか無いのだ。

「ふぐぅぅぅーっ!? もごっ、ぐ、みゅぉぉぉぉっ!?」

スイッチをオンにされた機械が、真上の檻に入れられた男に前触れ無く暴力的なまでの悦楽を味わわせ始める。
本来は口の減らない反抗的な奴隷に反省を促し調教を加速させる為にと好事家から注文された音に比例した快楽電波を鉄格子の内側に発生させる残酷で悪趣味な檻に閉じ込められた男が、捕らわれた自身の存在を知り後から同時購入を希望した好事家の要望通りに檻の中で勝手によがり狂い、触られてもいない男根をあっという間に膨らませながら無様にイきまくり出す。
そうしてお得意様の悦ぶ姿へと変わり果てた滑稽な男の痴態を満足げに眺め数回頷いた男達は、背を向けて立ち去る自分達に気付くことさえ出来なくなった男を少し離れただけで淫猥な悲鳴が全く届かなくなる五月蠅い空間に残して行くのだった。
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