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無慈悲な箱は男達を甘い苦悶の中で歩かせる

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その部屋は、床一面のタイルに溝が掘られている。あるタイルには直線が一本、別のタイルには曲線が一本、また別のタイルには十字に溝が存在している。それらの溝は全てが途切れなく繋がっており、一つの巨大な線の塊として床に描かれたその溝は、溝に固定した箱形の機械達を走らせる為の物だ。
溝の内部から送り込まれている電力を使って、箱達は休み無く溝に沿って走り続ける。時折訪れる分岐を箱同士がぶつからないように位置情報を共有しながら走り分け、箱の上部に取り付けられた鎖の先にある黒革のベルトを巻き付けられた男達を休み無く歩かせている。
その巻き付けられたベルトを外したくても、男達は全員が手足に折り畳んだ状態を強制する黒いラバー製の拘束具を装着されている為ベルトには触れられない。窮屈に拘束された手足を酷使させられる四つん這いでの歩行から逃れたくても、男達は自由を奪われている以上どうやっても逃れられず、無様な姿で休み無い歩行を強制されている哀れな男達は頭部に取り付けられた黒い犬の耳の飾りを揺らし、顔の下半分を覆い男根を模した張型を噛ませて言葉を封じる黒いペニスギャグごしに苦悶の唸りを漏らし、尻穴に押し込まれた極太のアナルバイブが行う乱暴な首振りに合わせてバイブから生えた黒い尻尾とあらゆる自由を取り上げられた肉体を跳ねさせながら、鎖と革のベルトを用いて箱形の機械と繋がれた男根を容赦無く引く力に屈して前へ前へと歩かされるしか無いのだ。

「うーっ……! んぐ、うぶふぅぅ……!」
「あぉ、ぼぉぉんっ……むぶっ、あぅぅぅっ……!」

口を塞がれ鼻だけでの呼吸を強いられているせいで、男達は絶えず息苦しさを感じさせられている。少しでも動きをとめたら男根を睾丸と一緒にくびり出すベルトがぎりぎりと食い込む痛みを叩き込まれてしまう為に男達はわずかな休息すら許されず、肘と膝で肉体を支える四つん這いで移動させられている手足は疲労が蓄積し抑えきれぬ痙攣を繰り返している。決して抜け落ちないよう足の拘束具へとベルトで固定されたアナルバイブは腸壁を甘く淫らに蹂躙しており、男達は望まぬ快楽で嬲られ悶え鳴かされている。
様々な苦悶が、男達を追い詰める。しかし、何よりも男達を苦しめているのは見ただけではまず分からない、箱に搭載された残酷な仕掛けだろう。
男根を鎖で繋いでいる箱の上部は、鎖を結んだ周辺が器のようになっている。その器は尻穴を責め立てるバイブの快楽に屈した男が放出した精液を受け止め箱の内部へと溜め込む仕様となっており、その量が増えれば増えるほど、男達に歩行を強いる全ての箱の速度はじわじわと高まっていくのだ。
つまり、男達は誰かが絶頂を迎える度に全員がより速く歩かされるという状況へと追いやられている。自分と仲間を余計に苦しめる非情な連帯責任を避ける為に、男達は快楽に溺れることすらも許されなくされてしまっているのだ。

「うーっ! んぐ、むぐふぅっ!」
「あぶ、あぶぁ、むぶふぅぅぅ……!!」

涙を流し、憔悴した肉体を動かし、悲痛に歪んだ鳴き声を発しながら絶頂を堪え、時に堪えきれずに射精へと至ってしまう惨めな男達。そんな男達は、もはや犬の衣装と拘束を施された屈辱はおろか、ガラス張りとなっている壁の向こうから自分達を観察して笑う男達への怒りも抱けない。
心と身体を痛め付けられ、目に見えて反抗の態度を失っていく男達を眺めて愉しむ無慈悲な男達はガラスの向こうで思い思いに過ごしながら徐々に早くなっていく歩行と早くなるにつれて加速度的に男達の理性が崩壊していく様子を存分に堪能し、笑みの黒さを何処までも濃くしていくのだった。
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