壁を淫らに汚しながら男は理性を吹き飛ばされる

五月雨時雨

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壁を淫らに汚しながら男は理性を吹き飛ばされる

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「おら! さっさと歩けよ。もう何も出来やしねーんだから俺達の手を煩わせるなよ?」
「いやいや、気が済むまで暴れさせてやろうぜ? どうせ無駄なんだからよ!」

一方的な罵倒を浴びせながら、悪に属する男達が下品な笑い声を上げる。浴びせられた側の男が満足に歩ける状態でないことを知った上で歩行速度の引き上げを命じ、思うように暴れられる姿じゃないという事実をしっかりと把握した上で、悪達は捕らえた男に愉悦をたっぷりと乗せた侮辱を嬉々として叩き付ける。
だが、そんな言葉の刃に誇りを傷付けられているはずの男は反応らしい反応を一切見せない。何を返してもこいつらを悦ばせるだけという結果をすでに理解している正義の男は、抵抗を試みる素振りさえ見せぬまま大人しく髪を引っ張られながらの不自由な歩行を繰り返している。
手の平で反対の肘を包み込んでいるかのような状態を背中側で取らされ、その形から離れられないよう黒革で作られた拘束具によって根本近くまですっぽりと覆われ締め上げられた腕は、伸ばすことはもちろん指を使うことさえ許されない。窮屈に折り畳まされそこに腕を縛める物とは形状の違う黒革製の拘束具を与えられた足は、腕と同様に伸ばしたくても伸ばせず爪先のみを床に付け短い歩幅でよちよちと進む心身の負担が大きい歩行しか出来ない。口に装着されている輪状の金属と黒革を組み合わせて作成された開口具は男の口に間抜けな開きっぱなしを強要し唾液をだらしなく垂れ流させる状態を与えた上で、言葉を無意味な唸りに変換し続けている。
手も足も使えず、しゃべることも禁じられた。そんな絶望的な状況に置かれながらも、正義の男は小さな希望を信じて機を伺っている。耐え忍べばいずれは脱出の機会が訪れる。それまでの辛抱だ。そう己に言い聞かせながら、男は望まぬ歩行の度に走る髪を鷲掴みにされた頭皮への痛みと、丸出しにさせられた男根が跳ねる際に生まれる屈辱を堪え続けている。
しかし、逆転を信じて忍耐を継続する男の様子は、決定的な恥辱を用意しそこに向けての移動を強いている残忍な男達にとってはこれ以上無く滑稽かつ愉快な見世物でしか無くて、自身の敗北が確定している事実を知る由も無い男は逆らうこともせぬままとどめが待ち受ける狭い部屋へと連行され、その部屋の壁から生えているかのように設置された男根型の装置を閉じられぬ口に飲み込まされてしまった。

「ほら、しっかり根本までくわえろー?」
「おご、え、ご……っ」
「よし、そのまま動くなよ? お前の口と壁を自力じゃ外せないよう繋いでやるからなー?」

悪趣味な。悪への嫌悪を募らせながら、男は喉の肉を偽物の男根に抉られることによって生まれたえづきに呻きつつ開口具の金具と偽の男根周りに配置された金具達を小さな南京錠で結合していく男達の動きをじっと眺める。こんな追い打ちの拘束を施すということは、自分を置き去りにするつもりなのだろう。冷静に展開を分析しながら、男は早くも訪れた一回目の試行錯誤のチャンスにかすかな喜びを湧き上がらせる。
けれど、余裕を維持していた男の態度は作り物の男根に仕込まれた非道を躊躇い無く作動させた悪達の意図に沿ってあっさりと突き崩されてしまった。偽の男根と壁の中で一体化している装置から流し込まれた栄養剤と、強烈な媚薬を混ぜ合わせた液体の嚥下を拒絶出来ない立場に追いやられてしまった男は、ごくごくと喉を鳴らして己の肉体を意に染まぬ発情へと導きながら、脱出を求めるもがきなど到底行えないくらいに苛烈な欲望の奔流に心と身体をあらゆる方向から打ちのめされ始めてしまったのだ。

「おごっ、もぼぉぉっ!? あぉ、はぼ、むぉぉっ!!」
「早速効いてきたみたいだなぁ。まだ始まったばかりなのに、頭と身体が沸騰しそうなくらいに熱いだろ、ん?」
「あーあー、腰も情けなく振っちゃって……この分じゃ、俺達が明日の朝に戻ってくる頃にはもう壊れちゃってるかも知れないねぇ」

壁に口を密着させられた都合上必然的に壁に触れる形となった男根が媚薬の影響で限界まで張り詰め、壁との摩擦で悦楽を覚えている。大きく開かされた足が、偽の男根の高さ故に歩行の際よりもより先端に意識を集中せざるを得ないつま先立ちをさせられた足が小刻みに震えながら、欲望に屈する形で無自覚に腰を前後に往復させ男根に快楽を送り込んでいく。
こんなの、駄目だ。こんな責めを長時間加えられたら、理性が吹き飛んでしまう。
焦りと恐怖を糧に拘束と格闘しても拘束と淫獄は何一つとして振り払えず、男は背後で閉まった扉の音と扉ごしに遠ざかっていく足音達に絶望を掻き立てられながら、ほんの数分前の冷静さが嘘のような甘い絶叫を放ちつつ精液を壁目掛けて勢いよく噴き出させていくのだった。
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