幼き正義は黒一色に上書きされる

五月雨時雨

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幼き正義は黒一色に上書きされる

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「っ!? ぐぅぅっ!?」
「あぅっ!? うぅぅ……っ!」

死角から鋭く放たれた弾の直撃を受け、その弾の中身である黒色の粘液を浴びた少年達が、驚きと困惑に歪んだ声を零す。ヒーロースーツにまとわりつく不快な粘液の正体は分からない。だが、どうにか寸前で反応に成功し視界を奪われる展開を避けることは出来た。
その事実を認識し、すぐ側にいる相棒と共有しつつ、二人の幼き戦士は悪との戦いを再開させようとした。
しかし、少年達はもう悪と戦うことは叶わない。戦闘の構えを取り直した己の腕に訪れた異常な変化に気付きつつもその変化の抑制には至れない二人は、自身が纏っているヒーロースーツへと染み込みありとあらゆる機能を侵食していく黒の粘液に絶望を募らせながら、勝ちを確信し戦闘態勢を解いて観察の姿勢を取った悪の男達の輪の中に倒れ込んだ肉体を間抜けにのたうち回らせ始めた。

「あぁ、うあぁぁっ!? 何だ、これ……俺の身体が、あっ、頭がぁっ!」
「い、嫌だ、入ってくるなぁっ!! やめろ、やめ、て……っ!!」

もうすでに、本来の色を跡形も無く失った黒一色のヒーロースーツに閉じ込められている肉体は命令を受け付けてはくれない。
頭部を守り仲間や本部との通信を行う機能を備えたヘルメット状の装備にまで潜り込み、脳内へと不可逆的な影響を生み出していく粘液に焦りと恐怖を抱いても、肉体の自由を奪われた二人は変質したヘルメットを脱ぎ捨てることも出来はしない。

「俺、俺が、無くなるぅっ! 消えたくない、助けてぇぇっ!!」
「うぁ、あぁぁっ! 俺はヒーロー……違う、私は……っ!」

確定した敗北に転げ落ちる惨めな少年ヒーロー達。そんな滑稽極まりない娯楽を悠然と堪能する悪達の前で、二人の正義はとうとう自我を構成する情報を欠片も残すこと無く丹念にすり潰され、支配権を没収された肉体を、悪が生み出した粘液に隷属を受け付けられた精神を携えた状態で立ち上がらせた。
悪に対する忠誠を誓う言葉を発し、今の自分達の無様さを主張する格好を操られるがままに取りながら、だ。

「ご主人様方、私達を生まれ変わらせて下さりありがとうございます」
「ヒーローだなんて愚かな立場を取りご主人様方の邪魔をした私達をこれから毎日たっぷりと苦しめて、お仕置きして、これまでの贖罪をさせて下さいませ」

黒に上書きされたスーツの下で体積を増した乳首を突き出し、同様に膨らんだ小ぶりな男根を見せ付ける。そんな姿を謝罪混じりの服従宣言と共に披露する少年達に笑みの黒さを引き上げた悪達は、本部が作り出したヒーロースーツを無力化しつつ洗脳を完了させる液体の威力に感謝を覚えつつ変わり果てたスーツに命令を飛ばし、ヘルメットの後ろで手を組み足をがに股に開いている発情しきった二つの肉体を、拠点に向かう移動車両へと自らの足で移動させ始めるのだった。
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