安らぎを求めて青年はお尻をふりふりと揺れ動かす

五月雨時雨

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安らぎを求めて青年はお尻をふりふりと揺れ動かす

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幾ら力を込めて軋ませようとも、二の腕と胴体を繋ぎ左右の手首を背中で重ねさせた状態に固定している上半身の縄は緩まない。どんなに解こうと頑張っても、足首と太ももを結合し足を無理矢理窮屈に折り畳ませている下半身の縄は解けはしない。
両手両足を縛られた青年は、何処にも逃げられはしない。視界を閉ざす黒革の目隠しから抜け出せず、言葉を奪う黒い棒状の口枷を毟り取ることも叶わず、聴覚を封じる耳栓を引き抜くことも黒革の首輪の前部に位置する金具と地下室の床と一体化している箱型の台の側面に取り付けられた金具を結ぶ鎖を外すことも、哀れな青年は許されない。
衣服と所持品を全て剥ぎ取られた裸体に縄の拘束を着せられ、見ることとしゃべることと聞くことを禁じられた惨めな青年。首輪と台の側面を結わえる鎖のせいで上半身を限界まで低く落とした体勢を強要され、背後に向かって無防備に恥部を露出させられている無様な青年。そんなこれ以上無く滑稽な姿となった青年に、青年を捕らえありとあらゆる方向から行動を制限した男は無慈悲な追い打ちの責め苦を施した上で、青年を地下室に二時間もの間放置した。
残忍な男は丸出しとなった守りたくても守れぬ尻穴が情けなくヒクつく光景を嘲笑いながらゴム手袋を嵌めた自らの指を用いて塗り込まれた箇所に強烈な痒みをもたらす非道な薬品をたっぷりと腸内全体へと塗布し、尻穴を嬲る痒みを紛らわす情報を拘束によって遮断した青年を一人きりで置き去りにしてしまったのだ。
無我夢中で手をもがかせても届かぬ尻穴で発生する痒みで、体内を蹂躙される地獄。視覚と言葉と聴覚を没収されたせいで嫌でも尻穴を苛む痒みに集中させられる、気の休まる暇さえ認められない断続的な拷問。その容赦の無い苦悶に二時間翻弄され、心と身体を痛め付けられた青年がどうなったかなどわざわざ語るまでも無いだろう。思考を絶えず掻き乱す痒み由来の悶絶の中でじっくりと叩きのめされた青年は何をされても決して情報は吐かぬと豪語していた気丈さを跡形も無く溶かし尽くされ、自分一人だと分かりきっているはずの地下室中に痒みからの解放をねだる哀願の唸りを響かせながら汗と縄に塗れた裸体をくねらせる痴態を晒す存在へと貶められ、二時間後に帰ってきた醜悪な男の目と耳を最高に悦ばせる陥落の光景を提供する程に何もかもを壊し尽くされてしまっていた。

「んぅーぅっ! むぐっ、ぶむあぁ! ふぐぅぅぅぅっ!!」
「ただいま、スパイ君……うわ、凄い匂いだ。二時間ずっとお尻をほじって欲しくて堪らなかったってことがすぐに分かるくらいエッチでみっともない匂いが地下室に充満してるよ、スパイ君」

地下室の扉を二時間ぶりに開いた男が浴びせてくる愉悦の言葉は、耳栓に遮られ青年スパイの耳には入らない。仮に耳栓が無かったとしても、たったの二時間で反抗を理性と共に欠片も残さずすり潰されたスパイはもはや、ぶつけられた言葉を認識する余裕さえも残されてはいない。
今の青年に取れる行動は、尻穴を責め立てる痒みを緩和して欲しいとなりふり構わずにねだることだけ。目隠しの下から頬に涙を伝わせ口枷の隙間から許しを請う絶叫と一緒に飲み込みきれぬ唾液を溢れさせている青年スパイの思考に思い浮かぶ行動は、引っ掻いてくださいと喚くようにピクピクと収縮しパクパクと開閉を繰り返している尻穴を真後ろに向かって可能な限りに突き出しながら、痒みを誤魔化す肛虐を一心不乱におねだりすることだけだ。

「んーっ! むぐ……ぶふぅぅぅっ!!」
「うんうん、苦しいね、辛いね、スパイ君。そんないっぱい苦しんだスパイ君に素敵なプレゼントだよ。ほらこれ、今からこれをお尻に入れて、抜けないよう固定してあげるからね」

もちろん、青年スパイの塞がれた視界に男が取り出した醜悪な物体は見えていない。当然、青年スパイは尻穴に狙いを定めて移動させられる釣り針のような形状をした無数の細かなイボに覆われている淫具に身構えることも出来ない。
けれど、長時間に渡る痒みの責めで弛緩しきっていた青年の尻穴は前触れ無く侵入を開始した淫具に対して拒絶を一切示さない。青年自身も突然に訪れた尻穴への圧迫に驚愕しつつも痛みや嫌悪は全く抱かず、痒みに支配されほじくり回されたがっていた腸壁を抉る淫具の刺激に対して安堵と至福の反応を示している。

「んむぅ……んふ、ぶむぅんっ……!」
「ふふっ、お尻満たしてもらえて嬉しいね、スパイ君。でも、本当に嬉しくなるのはこれからだよ。腕を縛ってる縄にこの縄を繋いで……はい、完成」
「むぎゅぅぅぅぅんっ!?」

釣り針型の淫具の端に結ばれていた縄を腕を縛める縄へと通され、そのままきつく縄を絞られた青年スパイが、苛烈に尻穴を抉り出した淫具に悲鳴を上げる。表面のイボでより激しく腸壁に摩擦を加え出した淫具に、青年が嬉しいの絶叫を放つ。
そうして悦びの鳴き声を発する青年に向かって、男は聞こえていないことを承知でたった今尻穴に固定した淫具の使い方を笑い混じりに説明した。

「それじゃスパイ君。私はまたここを離れるから、今度は一人で自分のお尻を慰めてなさい。一生懸命にお尻をふりふりして、お尻に入れた玩具を中で動かして、痒いよーって苦しんでるところをしっかりと引っ掻き回してあげるんだよ、良いね?」
「んふっ、むふっ、うぐっ、むぐぅぅんっ」

耳栓のせいで聞こえていないはずの説明に応えるかのように、自らの意思で縛り上げられた裸体を揺らして腸壁の痒みを淫具で慰め始めた青年スパイを眺めながら。誰に命令されるでも無く自らの意思で尻穴への刺激を選択し、痒みを鎮めるイボの攻撃に安らぎつつ伸ばせぬ足の間で男根を膨らませていく青年スパイを満足げに観察しながら。男は予想通りに自らをいたぶり始めた青年の様子に目を細め口角を吊り上げつつ、次に戻ってきた際に見られるであろう今を越える痴態に思いを馳せながら、名残惜しげに地下室の扉を閉じその場を去って行くのだった。
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