淫蕩な儀式を眺めつつ少年は本能に従った選択を準備する

五月雨時雨

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淫蕩な儀式を眺めつつ少年は本能に従った選択を準備する

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そこまで年が離れている訳でもない兄は良くて、何故自分は駄目なのだ。
村に伝わる新年を祝う儀式への参加を父と兄だけが認められた事実を口には出さずとも不満に思っていた少年は、新年を迎えたばかりの真夜中に眠っている母の目を盗む形で家を抜け出し、兄達が儀式に耽っている社へとこっそり足を運んだ。そこで待ち受けている光景が自分が想像する厳かな物とは大きくかけ離れているとは知らぬまま、弟である少年は兄達が神事の生贄として淫猥な痴態を晒している山中の社へと赴いてしまったのだ。

「あぉ、んもっ、ほぉぉんっ!」
「ふぐっ、まぅ、んむあぅ!」

いつも兄としての態度を細々と出して自分を軽くあしらってくる兄が、自分のみならず誰に対してもにこやかで勉強で困っている時にも分かりやすく力になってくれる近所のお兄さんが、甘く歪んだ悲鳴を発している。
今年の干支である兎を模した面を被っていても、面の下で口に白布を用いた猿轡を与えられていても、声音と体格で誰だか分かる。そんな兄を始めとした青年達が自由を奪う縄を軋ませながら身悶える様を細く開けた障子越しに眺めながら、少年は湧き上がる興奮に合わせて硬く膨らんだ男根をズボンの上から右手で押さえつつ、呼吸を荒く乱していく。眼前に広がる光景の意味は、まだ幼さ故に分からない。それでも、本能で淫らなことだけは察知出来る。
そんな淫蕩な儀式を盗み見ながら、少年は去年の干支である虎の面を被った父を始めとした男達が、兄達を苦しそうに、かつ気持ち良さそうに鳴き喚かせている様に欲情を加速させていく。
暴発しそうなくらいに欲望を溜め込んだ己の男根の脈動に困惑しながら、障子の前でへたり込む少年。生まれて初めての勃起に混乱しながら、面を装着してても分かる兄や父を含めた見知った村人達の行為を眺めつつズボンの上から男根を摩擦する少年。その、訳も分からぬまま最初の自慰に耽る少年は、背後から迫る存在に全く気付けなかった。
勝手に儀式の場にやって来た少年に近寄り素早く左手で口を塞いだ虎の面の男は、驚愕の反応を示す少年の背に剥き出しの男根を押し付けつつ少年が通う学校近くの青果店を切り盛りする店主としての声で語り掛け始めた。

「○○のボウズか。知っちゃいたけど悪い子だねぇ。あぁ、叱る訳じゃないさ。あそこにいるボウズの親父も、ガキの頃同じようにこっそりここに来たみたいだしなぁ」

自分の言葉で少年が落ち着いたのを確認した男は、言葉を封じていた手を外しつつ、有無を言わせぬ口調で少年に選択肢を与え始める。

「でも、一度ここに来た以上そのままじゃ帰せないよ。ボウズにも、この儀式に参加してもらう。親父や俺と同じ立場で参加するか、兄ちゃん達の立場で参加するか選びな。もちろん……どっちも嫌だは無しだぜ?」

自分も、あそこに混ざれる? 兄ちゃん達と同じように幸せそうな声を上げさせて貰ったり、逆に父ちゃん達と同じように兄ちゃん達に幸せそうな声を上げさせてあげたり出来るの?
息を荒げて逡巡しながら、この淫蕩な儀式に参加出来ることを嬉しがるかのように脈動する己の男根と対話しながら、少年はまだ自分が近くにいることに気付かず儀式に耽る兎の面の兄と虎の面の父を交互に眺めつつ、己の本能に従った選択を無性に渇く口の中に準備していくのだった。
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