BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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遊園地で二匹の犬は身悶えを繰り返す

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営業を終え深夜を迎えた遊園地は全ての遊具が停止し、明かりもほぼ消されている。客はどこにも見当たらず、遊園地の敷地の中にいるのは従業員だけ。そのはずなのに、園内にはまだ従業員以外の者が二人残っていた。いや、正確にはその者達は従業員達によって拘束を与えられ、営業を終えた遊園地にある建物の中で辱めを受けていた。

「捜査員さん達、お散歩は愉しい?」
「うぐっ……ふ、うぅぅ……っ!」
「むぉ、ふっ……うぐぅんっ……!」

ニヤニヤと笑う従業員達に囲まれた捜査員達は、悔しさが滲んでいる疲弊した唸り声を上げるがその声はひどく弱々しい。二人の口に施されている布の猿轡が言葉を封じているのも理由の一つだが、一番の理由は違う。厚い生地が二人の声のほとんどを吸収してしまっているからだ。
頭部に被せられた白犬と黒犬の顔を模した被り物は、二人の捜査員の視界を完全に塞ぐと同時に声と呼吸を大きく制限している。当然そんな何の恩恵も無い被り物など今すぐ毟り取りたいのだが、二人の捜査員の身体には被り物に合わせた白犬と黒犬の着ぐるみを、指を使う事を禁じた上で両手両足を窮屈に折り畳んだ状態を強制する拘束の為だけに作られた着ぐるみを着せられており、文字通り手も足も出せない捜査員達は被り物を外す事はもちろん着ぐるみを脱ぐ事も出来ず、首輪に繋げられたリードを従業員達が引くのに合わせてただただ不安定な四つん這いの体勢で歩くしかない。

遊園地で違法な物品の取引が行われるから、摘発に協力して欲しい。遊園地自体が取引の隠れ蓑として犯罪組織によって用意された舞台だという事実に気付かぬまま協力を頼みに訪れた二人の捜査員は、犯罪組織からの命を受けてこの遊園地の従業員として働いていた男達に眠り薬を盛られ、意識を失っている間に犬の着ぐるみで拘束された。
遊園地と犯罪組織の繋がりを知っていればと今更後悔してももう遅い。せめて仲間に繋がりを伝えたいと思っても、連絡手段は取り上げられている上に視界と言葉と身体の自由を奪われては逃げる事も不可能に近い。
故に、二人の捜査員はどんなに悔しさが湧き上がっても、屈辱を煽られても下手な抵抗を見せずに従い、体力の消耗を抑えつつ逃走の機会と仲間が助けに来る時を待つ事にした。
どこかに二人並んで着ぐるみごと座らされ、背にした柔らかい壁と首輪の後部を短い鎖で結合されても大人しく受け入れ。お互いの折り畳まれた右腕と左腕、右足と左足を着ぐるみに取り付けられた金具で繋がれても暴れず。反対の手足を壁のような物に沿う形で同じ金具を使って固定されても拒まなかった。

「二匹共、随分と大人しかったね。特注のソファーがよっぽど気に入ったんだね」

言われて、二人は自分達が座らされ身体を固定された場所がソファーの上だと知った。だが、そんな事はどうでも良い。今の二人にとって大事なのは、得意げになっている犯罪組織の男達の隙を狙う事だ。
その為には、怒りの唸りを上げる体力すらも惜しい。不自然な体勢で歩かされた疲れを取り、乱れた呼吸を整える事を優先し、二人の捜査員はこれ以上無い屈辱と怒りを覚えながらも着ぐるみの犬の顔と同じように平常心を保ち、嘲笑のこもった言葉にも反応を示さなかった。

けれど、捜査員を捕らえ犬のように散歩をさせた男達は捜査員達のそんな考えを見透かしている。見透かした上で、体力の温存を困難にし、なおかつ誇りと尊厳を完膚なきまでに叩きのめす非情な責め苦を捜査員達に加えた。
柵で仕切られた中にぬいぐるみがたくさん飾られている空間の壁際に置いたソファーへと犬の着ぐるみを固定するついでに繋いだ無慈悲な機械のスイッチをオンにした。
途端、二人の背中側からゴォォ、と風の音がする。視界を閉ざされた二人が何の音だといぶかしむ間にも音の正体はチューブを通って勢い良く流れていき、逃れられない二人を閉じ込めた犬の着ぐるみの内部に到達した。

「んぶぅぅぅーっ!? ぐふっ、ふぐぅぅ!」
「おぶぅっ!? もぉ、ぐぶぅぅぅ!!」

勢い良く着ぐるみに流れ込んできたのは、湿った熱風で。密閉された着ぐるみの中は一分と経たずしてあっという間にサウナのような状態となった。
しかし、その熱さはおまけでしかない。非情な男達が捕らえた捜査員達を苦悶させる為に用意したのは熱風に含まれた湿り気の方。自分達の組織で取引をしている、気化させた物を吸入しただけで強烈な発情状態を引き起こさせる淫薬の方だ。

「悦ぶのも良いけど、ちゃんと寝なきゃダメだよ? 明日は一日中、その状態でお客さんの前に飾るんだからさ」
「でも、営業時間の一時間前にはきちんと起きなよ? もし俺達が朝来た時に片方でも寝てたら、連帯責任で両方に気持ち良くなる玩具を付けたまま飾っちゃうからね」
「ぅぐ、ふ……むぉ、おぅぅ……っ!」
「は、ふぉ、むぅ、んぐぅぅんっ……」

甘い地獄の始まりを知り二人の捜査員は戦慄するがその地獄から逃れる術は無く、二人は犬の着ぐるみの中で一晩中発情状態で放置され、犬の着ぐるみの中何も知らない客と従業員の前で助けを呼ぶ力を失ったまま一日中淫らな玩具に絶頂を強いられ、自らが垂れ流した汗と淫液と絶え間無く流し込まれる淫薬入りの熱風の匂いに思考を溶かされながら、ビクビクと惨めな身悶えを繰り返すのだった。
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