BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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欲に狂わされた男はもどかしく快楽を追う様を鑑賞される

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黒革で作られた目隠しの下で苦しげに眉根を寄せながら頬に涙を伝わせている捜査員が、私の帰還にも気付けぬまま無様に苦悶を味わい続けている。顔の下半分を囲って鼻を用いた呼吸を禁じつつ自身の一部である輪状の金属を口に噛ませて自害と言葉を同時に封じる黒革製の枷を装着された捜査員が、自身に大口を開けさせている金属の輪へと接続されたチューブを通して流し込まれる媚薬混じりの空気を呼吸の度に体内へと取り込まされながら憎んでいた私に見られていることも分からぬまま望まぬ発情に狂わされている。
その滑稽極まりない姿を眺めながら、私は自覚出来る程に残忍な表情を浮かべつつ捜査員を飾った空間へと繋がる透明な扉の脇にある操作盤に専用のカードキーを押し当てた。
壁をくり抜く形で作り出された空間に陳列された捜査員はもう、白い拘束服によって肉体の自由が奪われていなかったとしてもそこから自力で出られはしない。生身の人間が力を加えた程度では傷一つ付かない頑丈な強化ガラスで作られた扉によって自身がいる場所と外界を切り離された捜査員は、私しか所持していないカードキーと私の指紋を必要とする認証の作業を経なければ扉を開閉することが出来ない以上、仮に自身を拘束服の上から背にした壁に向けて圧迫し縫い付ける十数本の黒革ベルトを与えられていなかったとしても決して逃げられはしない。
ただでさえ脱出は不可能に近い空間に、執拗な拘束を纏わされた状況で監禁されている。それも、休み無く肉体を火照らせ思考を狂わせる淫猥な興奮を掻き立てられながら放置されている。そんな地獄を経験させられた捜査員に、正義としての誇りは欠片も残されてはいない。扉から聞こえてきた施錠が解除される電子音を耳にし顔を起こした捜査員は、疲弊しきった脳で私の帰りをようやく認識しつつ私が扉を開くのに合わせて恥を捨てた哀願と懇願の唸りを叫び始めた。

「あぁぁぁ! あーっ! おぁぁぁーっ!!」

自らの胴体を抱き締めているかのような形を拘束服の機構に保たされた腕を狭い範囲でばたばたと暴れさせつつ、捜査員が意味を成していない声でなりふり構わずに許しを請う。拘束服の上から背後の壁へとベルト達の力で縛り付けられた肉体を左右を一まとめにされた足で揺らめかせながら、捜査員が快感を一番ねだっている場所である男根を私に向かって突き出しつつ助けを欲する。
その最高に愉快で惨めな屈服の意思表示を満喫しながら、私は拘束服の股間部分を痛々しく内側から押している捜査員の男根に手を伸ばし、その箇所に用意されたボタンを外してやった。
すると、布の内部へと窮屈に押し込められていた捜査員の立派な男根はボタンを外された布の間を掻き分け自身が垂れ流した淫蜜をわずかに撒き散らしつつ、蒸れに蒸れたその身を外気へとさらけ出した。

「んぉぉぉーっ!!」

自ら布を掻き分けた男根に走る摩擦の刺激に甲高い悲鳴を上げながら、捜査員が満足に身悶えることも叶わない肉体をガクガクと痙攣させる。呼吸に合わせて吸入される空気に含まれた媚薬の効果を受け硬度と感度を引き上げられていた男根を嬲る悦楽に鳴き叫びながら、捜査員が腰を振って至福を表現する。
その実に見応えのある正義の痴態を鑑賞しながら、私はわざとらしい程に優しい声音を作りつつ捜査員に別れを告げた。

「それじゃあ捜査員さん、また後でね。私はまだまだ忙しいから、扉を閉め直したらすぐにここを離れるからね?」
「あおぉっ!? もぁぁぁぁーっ!!」

これから溜まりに溜まった欲望を吐き出させて貰える。勝手に期待を膨らませ勝手に裏切られた捜査員が、私を呼びとめるように絶叫を放つ。せめて一回だけでも射精を迎えさせて欲しいと頼み込むかのように男根をみっともなく振り乱しながら、捜査員が絶望に染まった声で必死に吠える。
無論、私は扉を閉める手をとめない。これから始まる捜査員が自らをひたすらに慰めるショーに思いを馳せている私は、先程露出させた男根の先端のみが触れる位置となるようあらかじめ部下に調整させた透明な強化ガラス製の扉を嬉々として閉じていく。

「おぁっ、ほ、あぉぉぉーっ!!」

もうすぐ、私がこの場を去ったと勘違いした捜査員が自身を監禁している空間の扉に男根の先端を一生懸命擦り付けながら快楽を貪る様を堪能出来る。先端のみを責め立てても、思い通りに腰をくねさせることも認められない姿で甘い悦びを追求しても、それはこれまで以上に辛く苦しい生殺しを生む結果にしかならない。それすらも分からなくなった捜査員が扉をはしたない蜜で汚しつつ己を積極的に壊す過程を独占出来る。
そんな堪らない事実がもたらす高揚が笑いとして漏れないよう口を引き結びながら扉を閉じ終えた私は、打ちひしがれるよりも先に男根と扉の接触に気付き本能に従ったもどかしいだけの自慰を迷い無く開始した捜査員を無言で嘲りつつ、どう試行錯誤しても辿り着けない絶頂を求めて狂い続ける正義を目と耳で愉しむ為に用意した一人用のソファーという特等席へと、音を殺して優雅に腰を下ろしていくのだった。
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