BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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抗えぬ犬は望まぬ元気へと淫らに追い立てられる

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罠に嵌められ、抵抗虚しく生きたまま捕らわれ、敵の首領が所有する建物へと攫われた男は今日も、屈辱を絶えず味わわせ今の己の惨めさを嫌でも痛感させる悪趣味な衣服に裸体の大部分を閉じ込められていた。
外気に触れているのは左右の目と、衣服と一体化している輪状の金属を噛まされたことによって閉じられなくされた口と、丸出しにさせられた男根のみ。そんな状況に追いやられた男は今日も、自力では脱ぎたくても脱げないという事実をその身をもって思い知らされた衣服との格闘を無駄に繰り返しながら、為す術無く地獄が到来する時間に、自分を捕獲した組織を統べる首領の男が地下室へと足を運ぶ絶望の時間に恐怖と焦りを募らせていた。

「はっ、はおぉっ! あ、おぉ……っ!」

開きっぱなしの状態に保たされた口から唸りと共に唾液を零しつつ、男が希望を求めて縛められた身体をもがかせる。
瞳を染める怯えの色を一分一秒ごとに深め、無防備に露出させられた男根を足の間で間抜けに揺らめかせながら、男がどうにかして今日の責め苦から、ひいては恥辱に満ちた飼育される立場から逃れようと暴れに暴れる。
だがやはり、男自身が認識していた通りにそれらの試みは何もかもが徒労でしか無い。ありとあらゆる手を思い付く限りに試しても、それは決して逃げられはしないという認めたくない情報を補強する結果しか生めはしない。
窮屈に折り畳まされた四肢を幾ら動かしても状況を変えられない男はもう、自分を支配する存在に君臨した首領の接近を示すエレベーターの駆動音に打ちひしがれることしか出来ない。意味の無い声を上げ、衣服の上から装着された隷属の証である黒革製の首輪の前部に位置する金具と床に打ち付けられた金具を短く繋ぐ鎖に甲高い音を立てさせながら不自由な肉体をなりふり構わずに悶えさせても敗北の現実を覆せない哀れな男はもはや、憎き悪を束ねる男の愉しませる無様なペットとして為す術無く可愛がられる以外の展開を選べはしない。
薄茶色をした犬を模し、拘束を目的にして作り上げられた悪趣味な着ぐるみに裸体を詰め込まれた男は、頭部を囲う犬のマスクに開いている穴から覗いている両目で戦慄の視線を飛ばし金属の輪をあてがわれた口から弱々しい拒絶の呻きを零しつつ、朗らかな声音で挨拶を浴びせてきた交渉の余地など欠片も無い残酷な飼い主に聞き流されるだけの哀願を、悲痛に寄せる程度の行動しか起こせはしないのだ。

「ワンちゃん、おはよう。今日もたくさん遊んであげようね」
「はぉ、あおぉ……!」

躊躇い無く口にされた遠回しな凌辱の宣告に、犬に貶められた男が顔を左右に振りつつか細い鳴き声で許しを請う。
犬の着ぐるみに封じ込められこの地下室に監禁され始めた日から注がれた非道な辱めの数々を思い起こしながら、男は恥を捨てた態度で憎んでいたはずの男に慈悲をねだる。
無論、飼い主の男はそれを受け入れない。悪である自分に罪を償わせようと活動していた組織に属する気高い男が伸ばせぬ手足を震わせつつ一生懸命に救いを欲している様を悠然と見下ろしている男は、愉快と高揚を同時に抱きつつ逃げることも抗うことも不可能にさせた滑稽な犬の背後に嬉々として回り込む。

「おやおや、元気が無いね。今日は遊ぶ前に、ワンちゃんを元気にさせてあげよう」
「うぁ、ほ、あうぅ……!」

自分の真後ろに移動した冷酷な男の動きに対して、犬の男は屈辱色の覚悟を膨らませるしか無い。犬の衣服に封じ込められ手足を縛められ肘と膝で肉体を支える四つん這いの格好を強いられた肉体でもそれなりの抵抗は取れるが、それをしたら確実に苛烈な仕置きをもたらされると知っている男は、抗いたくても抗えない。
足の間にぶら下がった男根がよく見える場所に男が腰を下ろした感覚に身を強ばらせる反応を返すのがやっとの男は、着ぐるみの内側に突き出た男根に似せた張型と一体化している尻尾飾りを両手で掴んだ男が叩き込み始めた雌の悦楽に体内を嬲られながら、望まぬ勃起へと、飼い主が求める元気な姿へと、今日も淫らに追い立てられていく。

「あぉっ、ひゃおぉ!? はっ、はおぉぉんっ!!」
「うんうん、やっぱりワンちゃんはこうでなくっちゃ。このままお尻の玩具でいっぱい遊んであげるから、喉が涸れるくらい元気に鳴き喚きなさい。お尻を可愛がられてあっという間に大きくなったおチ○チンからエッチなお汁を元気に垂れ流しなさい。私の前ではいつも元気でいないといけないって覚えられるまで、気絶しても許さずに尻尾をぐりぐりし続けてあげるからね」
「あっ、は、わぅっ、おぉぉ……!!」

表面を無数の凶悪なイボに覆われた偽の男根で悪の男に開発された尻穴を容赦無く掻き毟られながら。尻穴を責め立てられるだけで勃起に至り、更には射精にまで達する淫猥な物に育てられた肉体を着ぐるみの中で痙攣させながら。犬の男は新たな言い付けを甘い地獄の中で刻み付けられつつ、悪の理想に沿ったペットになる為の躾で理性と身体を打ちのめされていくのだった。
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