BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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偽の男根は逆らえぬ肉体に望まぬ発情を強要する

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逞しく、雄々しく鍛え上げられた筋肉質な裸体をなりふり構わずにもがかせながら、地下室に放置された男が危機からの脱出を試み続けている。
輪状の金属と黒革を組み合わせて作られた器具を顔の下半分を覆う形で装着され口を閉じることと鼻呼吸を禁じられた男が、荒く乱れた呼吸と共に舌と唾液を垂らしながら、自由を奪う拘束との格闘を繰り返し続けている。
だが、男の頑張りも虚しく状況は何一つとして動かない。左右の手首から肘までの部分を背中で一つに括り締め上げている黒革製の器具も、左右の足首から膝下までの部分を腕と同様にきつく一まとめにして黒革も、無駄な努力を嘲笑うかのような軋む音を立てるのみで外れる素振りすら見せない。
屈強な裸体を幾ら酷使しても、頑丈な革はビクともしない。息苦しさと屈辱を承知で丸出しの男根を振り乱しつつ暴れても、敵の手に堕ちた事実は覆せない。
自分を捕らえ地下室へと置き去りにして去った憎き敵の男達が悪意を携えて帰還しても、抵抗の手段を没収され何をされても拒めない立場に追いやられた哀れな男は、反射的に示した怒気の下で絶望と戦慄を膨らませることしか出来はしないのだ。

「あぁっ! おぉぉっ!!」
「はっ、随分な歓迎じゃねーか。こんな情けない格好でよくそこまで鳴けるもんだ」

床の上で悶えながら反抗を表わした男の汗ばんだ髪を左手で掴みつつ、リーダー格である敵の男が呆れ混じりの笑顔で嘲りを浴びせる。
髪を掴まれた痛みに表情を歪めながらも、男は強気な態度を崩さない。己を鼓舞する程度の効果しかもはや有していないと理解していても、敗北を認めたくない一心で男は怯える心を覆い隠す虚勢を張り続ける。
しかし、男がどんなに気丈に振る舞ってみても意味は無い。男がどんな反応を見せようとも醜悪な加虐を予定していた敵達は、リーダーが無言で突き出した右手に用意した道具を渡しつつ、あらかじめ定めていた通りの位置に付きすでに抗いなど出来はしない男の裸体を手で協力して抑え仰向けに固定させ、部下達による固定を見届けた上で右手の道具を、複数の穴が各所に空いている薄桃色をした男根型の器具を、男の口を開きっぱなしにさせている輪状の金属へと接続し始めた。

「うぅ!? あおっ、おうぅぅっ!!」

呼吸に使える唯一の器官が、偽の男根に塞がれていく。その状況を視認した目に恐怖の涙を滲ませつつ、男はやめろの意思を込めた唸りを発しながら身を必死に悶えさせ始めた。
無論、ありとあらゆる行動を制限された裸体を動かしても、圧倒的に有利な立場を取った敵達に影響など与えられはしない。髪を掴まれた頭部は振り乱すことも叶わず、数人がかりで抑え込まれた裸体は床から離れることさえ許されない。
どんな手を打っても全ては手遅れで。男はどうすることも出来ぬまま口を偽の男根で貫かれ、その偽の男根の底にある取っ手を嬉々として摘まんだ右手を時計回りに動かした敵の思惑通りに、呼吸を淫猥な地獄を加速させる材料へと無慈悲に変換させられてしまった。

「うぐぅぅ!? あ、ぼぉぉっ!?」
「そのフィルター、見た目はあれだけど最高にキくだろ? 息を吸う度に嫌でも発情して、自分の頭が馬鹿になってくって手に取るように分かるだろ? もうさっきみたいな生意気な態度なんて取れやしねーだろ? なぁ?」
「も、ご、ほぼ……っ!」

生命活動を維持する為に必要な呼吸を淫らな拷問器具へと変えられ、無理矢理に掻き立てられた発情に従って硬く張り詰めた男根に突き刺さる敵達の愉悦の視線に打ちひしがれながら望まぬ火照りを否定しようとしている滑稽な男を満喫しつつ、残忍な敵達は支配下に置いた男を一層間抜けに乱し悶絶を引きずり出すことを求めて、隠したくても隠せぬ恥部に、口枷へと接続された偽の男根に仕込まれている強力な媚薬の威力に蝕まれて感度が高まった肌に、何十という指を這わせていくのだった。
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