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痒みに屈して男は隠し通した物をさらけ出す

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一回目の投与の際、男はまだ反抗的な態度を強く保っていた。
縄に縛められ、乳首と男根に装着された淫具がもたらす振動の快楽によって意に染まぬ絶頂を何度も強いられている者とは思えない程に鋭い怒りの叫びを黒いギャグボールを噛まされた口で放ちながら、男は己の尻穴に痒みと疼きを生み出す薬品を注入した敵を涙に潤んだ目で睨み付けていた。
二回目の投与の際もほぼ同様で、男は継続して加えられ続けた乳首と男根の悦楽に射精を強要され、後から付け足された尻穴の苦悶に心と身体を痛め付けられながらも裸体に這わされた縄の拘束を耳障りに軋ませつつ、注射器に似た器具を用いて尻穴に醜悪な薬品を流し込む敵を気丈な眼差しで射抜いていた。
そんな態度が分かりやすく崩れ始めたのは、三回目の投与の際だった。
前回から約三十分ぶりに地下室を訪れた敵の男を大粒の涙をとめどなく零している瞳で確認した男は、地下室の床と一体化している箱型の台に仰向けで縫い付けられた裸体を隠しきれぬ怯えでビクリと跳ねさせながらそれまでとは全く違う弱々しい拒絶を紡いだ。吐き出す精液を失った男根をローターが内蔵されている黒いベルトを巻き付けられているからという理由だけでは説明が付かないくらいに情けなく脈動させ、小刻みに震え続ける透明な吸盤状の器具内に閉じ込められた真っ赤に充血し尖り切らされている乳首を駆動する吸盤越しでもはっきりと判別出来るくらいにみっともなくヒクつかせながら口を塞ぐギャグボールの穴からか細いやめてくれを発する男。
その男の懇願を無視して尻穴に新たな薬品を与え、更なる崩壊に期待して地下室を去った敵の男は、次の三十分後である四回目の投与へと赴いた際に、とうとう誇りや矜持を始めとした何もかもを捨て去った瓦解へと到達した滑稽な男を拝むことに成功した。

「おぅ、おぅえあぁ! おひり、かういお! おぅ、おぅひあらぁぁぁぁっ!!」

地下室の扉を開いた直後に届いた、なりふり構わない不明瞭な哀願の絶叫。それを愉しみながら室内へと入り逃れられぬ男に歩み寄った敵の男は、両手両足に折り畳んだ状態を強要する縄を台の側面に位置する金具達へと結合され仰向けにひっくり返った蛙のような体勢に固定された裸体を痙攣させている男を悠然と嘲笑いつつ言葉を封じていたギャグボールを下にずらす形で外し、陥落した男に改めて問いをぶつけた。

「じゃあ、お仲間の情報を教えてよ、捜査員さん。でないと、またお尻を痒くしちゃうよ?」

ギャグボールをずらす左手と同時進行でポケットから取り出した針の無い注射器のような器具の先端を、先の三回と同じように尻穴に潜り込ませながら、悪に属する男が捜査員に情報の白状を要求する。
先の三回の時には、問われても仲間を売る思考には至らずにいた。しかしもう、捜査員に己以外を守る思考は残されていない。このまま尻穴を痒みに嬲られ続けたら、今尻穴に潜り込んでいる器具から薬品を腸内にまき散らされたら、これ以上無い戦慄に表情を強ばらせながら、捜査員はやめてくれと鳴き喚く代わりに悪の男から望まれていた情報を甘く痛々しく蕩けた声で提供し始めた。

「そうそう、その調子でどんどん教えてよ。最後まで全部答えられたら、あそこに置いてある装置を使って捜査員さんのお尻をたっぷりとほじくり回してあげるからね?」

尋問の合間に告げられたご褒美に早くも安堵を募らせながら、自力では解消出来ない尻穴の痒みに苛まれている最中ずっと視界に入っていた太く長く凶悪なイボに塗れた張型を自身から伸びた金属の棒の先に携えている箱型の装置を再確認して打ちのめされた心に感謝を抱きながら、捜査員の男は乳首と男根をいたぶり続けている淫具に屈して射精を伴わない絶頂へと押し上げられつつ、早く痒みに支配された尻穴を掻き毟って欲しいという狂った欲望に従って隠し通していたはずの情報を次々とさらけ出していくのだった。
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