屈した探偵は全身に祝福を浴びせられる

五月雨時雨

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屈した探偵は全身に祝福を浴びせられる

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男達が、向かい合わせとなる形で長い二つの列を作ってじっと立ち続けている。赤い首輪の後部と左右の手首に巻き付けられた黒革の枷を繋ぐ南京錠を外そうともがく動きを一切取らず、言葉を封じる黒い棒状の枷に塞がれた口から唸りを一つも上げず、背後に立った赤いローブの男に首輪の前部から伸びたリードを握られた状態で大きく足を開き、はしたなく勃起した男根を見せ付ける体勢を取りながら、男達は羞恥や屈辱とは無縁な悦び一色の表情を浮かべて立ち続けている。
そんな異様な痴態を晒す男達の列に左右から挟まれながら、一人の男は全く同じ拘束を与えられた裸体を無理矢理に引かれ、前へ前へと自らの足で移動させられていた。

「うぅっ……んぐっ、むぅぅっ!」

左右に見える狂気的な人の壁に向かって嫌悪と怯えの唸りを漏らしながら、男が拘束を加えられていない足を踏ん張らせて連行を拒み、どうにかして自由を取り戻そうと手を縛める枷をがちゃがちゃと鳴らす。後列の人の壁を形作る者達が纏っている物とは色の違う桃色のローブを纏った男が引くリードの力に抗い、男はなりふり構わずに裸体をよじらせながら進行方向の先に見える祭壇への到達を嫌がり、逃走を求めて拘束と連行からの脱出を必死で試みる。
だが、男がどんなに拒絶を見せようとも、桃色のローブの男は右手の甲に緩く巻き付けしっかりと握った緑のリードを決して離さず諦め悪く暴れる男を淡々と歩かせるのみだ。幾ら無意味に唸ろうと、ローブの男のやることは変わらない。男が祭壇に続く階段を上がらされながら半狂乱になって助けを欲する絶叫を放ち、逆らう手段を没収された裸体を惨めに悶えさせても、祭壇に立ったローブの男と淫らで異常な人の壁を形成する男達の取る行動は変わらない。
彼らの目的は、たった一つ。自分達の教団に潜り込みこそこそと嗅ぎ回っていた愚かな男に幸福を教え込み、敬虔な信者へと昇華させること。教義に理解を示した振りをして潜入し、教団の解体に繋がる情報を探していた探偵の男に今までの下らない常識を上書きする淫蕩な至福を味わわせ、快楽に溺れ肉欲に従順に生きることこそが最大の悦びであり義務であると心と身体に刻み込むことだ。

「さぁ、探偵さん。瞑想の成果を見せる洗礼の時が来ましたよ。下手な意地を張らず、本能が願うままに悦楽を貪りなさい」

桃色のローブを纏った教祖の男が、探偵の右隣に立った位置で優しく微笑みつつ、視線で足元を示して洗礼を促す。
それに対して、探偵の男は一切行動を起こさない。足元の床に固定された極太の張型を目にした探偵は教団に捕らわれた日から流し込まれた瞑想という名の甘く淫らな快楽漬けの日々を思い出し、完全に悦楽の虜とされた尻穴の疼きと抑えきれずに勃起してしまった男根を襲う疼きに全身を小刻みに震わせながらも、指示を受け入れず自分の意思での陥落を遠ざけ続ける。

「んむっ……ふぅ、ふぐっ……!」

これまでは、自由を奪われた姿で教祖の男や信者の男に意に染まぬ快感を勝手に叩き込まれていた。だから、どんなに気持ち良くなっても向こうからもたらされているだけと、自分は被害者なのだと言い訳が出来た。
だが、自分の意思で裸体を下ろし、張型を尻穴に飲み込んでしまったらもう言い訳は聞かない。自らの欲に屈して腰を下ろし、自らの動きで腸壁に甘い刺激を流し込んでしまったら、それも敵として反抗していたはずの教祖と信者の前で無様に裸体を上下に揺らし肛虐を追い求めてしまったら、もはや自分自身にすら嘘など吐けなくなる。
己の崩壊を恐れ、欲に堕ちたがる肉体が発する気持ち良くなりたいの喚き声から意識を遠ざけながら、探偵は無意識に曲がろうとする足に力を込めて耐え続ける。腹に触れそうなくらいに反り上がった男根から透明な蜜を零しながら、探偵は自分を無言でじっと見つめる信者達の前で屈服を避け続ける。
しかし、慈悲深く残忍な教祖の男は無駄な足掻きを行う探偵に向かって、穏やかにとどめの一言を浴びせてしまった。

「私も信者達も、貴方が自分に素直になれるまでずっとここにいますよ。どうせ私達からも、幸福をねだる探偵さん自身の本心からも逃げられはしないのですから、早く素直になった方が楽じゃないですか?」
「っ……!」

自分で身体を動かし悦楽を追い求める結果は変わらない。けれど、教祖の一言はその結果を仕方ない物だと認識させる無慈悲な誘惑で。探偵の男はこれは仕方ない、他に選択肢は無いのだと自分に言い聞かせながら身体を下ろし、腸壁を掻き毟られる責め無しでは生きられなくなった尻穴を床の張型で満たし、そのまま心と身体が求めるままに拘束された裸体を無我夢中で上下に往復させて待ち望んだ悦楽を次から次へと手に入れ始めた。

「んむっ、むぅ、んぐぅぅんっ!!」
「ふふっ、ようやく素直になってくれましたね、探偵さん。では、洗礼の開始です。皆さん、新たな信者となる探偵さんに、盛大な祝福を!」

探偵の背後に移動しつつ放たれた教祖の宣言を耳にした信者達が、列の最前にいる者達から順に祭壇へと上がってくる。
赤いローブの信者に首輪を引かれながら祭壇に上った裸体の信者が探偵を左右から挟む形で足を開いて立ち、赤ローブの信者が行う右手での男根への責めに幸福を募らせながら絶頂に至り、洗礼と称した精液のシャワーを一心不乱に自らの尻穴を淫らに苛める探偵に向かって浴びせかけていく。

「探偵さん、これからは毎日快楽を貪りながら、大好きな精液を溺れるほど味わえますよ。探偵として生きるよりも遥かに幸せで、真に人間らしくいられる我々との日々を、思う存分愉しんでくださいね……」
「むふっ、あぶっ、んむぅぅぅんっ……!」

顔を濡らし、胸を濡らし、腹を濡らし、足を濡らし、尻穴のみで早くも数回絶頂を迎えた男根から噴き出した精液と混ざって床を淫猥に濡らしていく精液の匂いに目を蕩けさせ、口枷に辿り着いた精液を舌で掬って味を愉しみながら、探偵は背後から向けられる教祖の声も認識出来ず陥落に抗っていた数分前の自分も忘れきった状態で張型で自分の腸壁を甘く嬲り、洗礼によって二度と探偵には戻れぬ存在へと、人間としての理性を捨てた淫獣へと、至上の幸福を募らせつつ堕落していくのだった。
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