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男は望まぬ笑声を発しつつ訳も分からぬままイき狂う

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最初は、左右の手首同士と足首同士を縛る縄だけだった。この縄だけなら、努力すれば必ず抜け出せるはず。そんな希望に満ちた確信を抱かせる程度の拘束だった。
しかし、そんな縛めは捜査員である男を捕らえた犯罪組織が用意した無慈悲な機構によってじょじょにじょじょに、絶望に満ちた自力では到底抜け出せぬ物へと変化させられてしまった。
五分ごとに、縄の縛めが上乗せされていく。そんな状況を自身が一人きりで置き去りにされた地下室へと仕掛けられた捜査員は、少しずつ強められていく拘束に焦りを募らせつつ、なりふり構わない足掻きで危機からの脱出を試み続けた。手首と足首の縄を軋ませ、新たにもたらされた縄を鳴らしながら、捕らわれた立場からの脱却を求め続けた。
だが、縄の追加は捜査員が縄を緩ませるよりも早くて。時間切れが訪れる度に開く床の扉から現れる人間の手を模した機械達によって解けかけていた縄を締め直されつつ新品の縄を用いた拘束を施される捜査員は、その必死さも虚しく覆すことも叶わない程の事態の悪化へと為す術無く追いやられ、とうとう縄を外そうと頑張ることさえ困難な惨め極まりない姿を取らされてしまった。

「っ、くそ……ちく、しょう……!」

悔しげな悪態を吐きながら諦め悪く身をよじっても、捜査員の裸体はうつ伏せの姿勢から離れることさえ出来はしない。左右の肘同士を括り、二の腕同士を括り、背中で伸ばしきった状態を強要させた腕を胴体へと数箇所に分けて縫い付ける縄を着せられた上半身に力を込めても。すね同士と太もも同士を短く結合し最後のとどめと言わんばかりに初めからあった手首と足首の縄を駄目押しの縄で遊び無く繋がれた下半身をひたすらにもがかせても。捜査員はもはや縄を耳障りに軋ませる程度の行動しか生み出せはしない。
だが、残酷な機構は五分の経過と共にまた床から出現し、逃れられぬ捜査員に迫っていく。

「ひ……っ!? も、もう嫌だ、やめてくれぇっ! もう、縛る場所なんてぇっ!」

これ以上、縄を打って有効となる箇所なんて無い。理性と恐怖の両方から発した拒絶を無感情な紛い物の手達に向けながら、捜査員は文字通り手も足も出せない裸体をじたばたと無意味に悶えさせる。
もちろん、捜査員のそんな反応を自身に与えられた設定に従って動くだけの機構達は全て無視していく。予定していた縄の縛めの装着を完了させた機構達は、怯えと絶望に表情を歪ませている捜査員の悲鳴を聞き流しつつ縄に緩みが無いかを点検し、仕上げとなる非道な拷問を何の躊躇いも無く抗いの手段を一つ残らず叩き潰した裸体に流し込んでいく。
隠したくても隠せない、守りたくても守れない無防備な器官にされた足に群がった作り物の手が開始した手加減など欠片も無いくすぐりに嬲られ始めた捜査員は、抑えようと意識することもままならない笑声を無理矢理に引きずり出されるしか無い。足ではなく口元に移動した手達によって頭部を振り乱せないよう押さえ付けられつつ鼻と口を囲う形で新たな装置をあてがわれた捜査員はもう、くすぐったさを誤魔化す動きすら封じられたまま装置の内部に噴き出す甘ったるい香りを携えた空気を望まぬ笑いに乱された呼吸に合わせて吸入させられるしか無い。
足全体を苛烈にくすぐり回されつつ冷酷な気体による呼吸を強制された捜査員は、加速する一方の息苦しさと発情に狂わされながら理性を砕き尽くされるだけの存在でしか無いのだ。

「いひひっ!? ふひっ、ひゃははぁっ!? やべでっ! だっ、だじゅ! ふひひひひぃっ!?」

くすぐったい。くすぐったいだけのはずなのに、気持ち良い。呼吸を支配する甘い香りの正体である強烈な淫薬混じりの空気に蝕まれた縄塗れの捜査員はこそばゆさを快楽と誤認し、くすぐりの責めのあまりの辛さを紛らわせたいと願う本能が媚薬の効果に屈し膨張した自身の男根が身悶えに合わせて床との摩擦を勝手に手に入れている事実にも気付けぬまま、苦悶と快楽を同時に味わわされつつ無駄以外の何物でも無い縄との格闘を別室から監視カメラ越しに堪能していた悪達に提供しながら一層濃い愉悦を覚えさせる痴態を、笑い狂わされながら訳も分からずイき狂う無様な正義が崩壊に達する過程を、これ以上無い娯楽として捧げていくのだった。
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