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Extra.1 もう少しだけ
Act.2-03☆
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「――大丈夫ですか?」
夕純さんを抱き締めながら問うと、夕純さんは「平気……」と気だるそうに答えた。
「でも、衛也君はまだでしょ? 衛也君も気持ち良くしないと……」
「無理しなくていいですよ」
「ダメ。私だけ気持ちいいなんて不公平じゃない……」
「ほんとにいいですよ。俺も充分気持ち良かったですから」
「良くないわ。今度は衛也君も一緒にイクの……」
可愛いことを言ってくれる。年上の女性とは思えないほど健気というか。
口先では気遣うようなことを言いながら、結局、俺も最後まで夕純さんを抱くつもりではいた。俺は夕純さんを抱いたままで身体を起こし、今度は逆に俺が見下ろす姿勢になった。
夕純さんが両手を伸ばし、俺の首の後ろに絡めてくる。
俺は夕純さんに深く口付けながら身動きする。達するのを我慢し続けていたから、自分でも容赦がなくなっていることは分かっていた。
激しく腰を打ち付けると、口を塞がれた夕純さんから切なげな喘ぎが漏れる。
夕純さんの可愛い声が聴きたい。俺はそう思い、唇を離した。
「んっ……あぁ……っ……や……っ……」
本当に、こんなに愛らしく鳴かれるなんて反則だ。たくさん責めて、もっともっと夕純さんを感じさせたいという欲望が膨らむ。
「も……りや……く……も……っとぉ……」
何度も達しているはずなのに、なおも俺を煽ってくる。仕事中は真面目一筋な人なのに、セックスの時は淫らな姿を俺に曝け出す。もちろん、そんな夕純さんも俺は好きだけど。
しだいに俺も限界を感じてきた。もう、我慢はさすがに無理なようだ。
「夕純さん、そろそろ……イキますよ……?」
「わ……たしも……また……っ……」
「一緒に……イキましょうか……?」
夕純さんが俺にしがみ付きながら首をコクコクと動かす。
俺は腰の動きを速めた。
「あっ……あっ……イク……っ……あぁ……っ……!」
夕純さんが限界に達した。俺もほんの少しだけ遅れて絶頂を迎える。
行為が終わると、夕純さんは放心状態でぐったりしていた。
俺は夕純さんが気がかりだったが、いつまでもゴムを着けた状態にしておくわけにもいかないと思い、夕純さんから俺自身を抜き、素早く後処理を済ませた。
疲れきっている夕純さんの秘所も、ティッシュで拭った。抵抗されるかと思っていたが、そこまでの気力が残っていなかったらしい。
全て終えてから、俺は夕純さんに腕枕をする格好で横になった。
「大丈夫ですか?」
また、さっきと同じことを訊いている。でも、疲れきっている夕純さんは突っ込みを入れず、ほっそりとした指先で俺の頬に触れながら口元を綻ばせた。
「――大丈夫。衛也君こそ、相当無理したんじゃない?」
「俺こそ全然ですよ」
俺は小さく微笑み、夕純さんに軽くキスした。
「夕純さんの可愛い声がたくさん聴けましたから、疲れなんて全く感じませんでした。最高に気持ち良かったですよ」
「――なに言ってんの……」
夕純さんが俺の胸に額を押し付けてくる。
「衛也君って、こっちが恥ずかしくなることをよく平気で言っちゃうものね。これじゃあ、心臓がいくらあっても足りないわ……」
「別にそんなつもりじゃないですけど。俺は思ったことを言ってるだけですし」
そう言いつつ、内心では、自分でもよく歯の浮くような台詞を恥ずかしげもなく言えるもんだと呆れていた。でも、夕純さんには自分のありのままの気持ちを伝えたいから、照れ臭くてもちゃんと言いたい。
「衛也君」
相変わらず俺の胸に顔を埋めたままの夕純さんが、くぐもった声で俺の名前を呼んだ。
「どうしました?」
「――やっぱり、めんどくさいって思ってる……?」
「何がですか?」
「だから……、結婚のこと……」
まだ、さっきのことを引きずっていたらしい。ここまで気にするということは、夕純さんは結婚したいと思っているのだろうか。
「夕純さんはどうなんですか?」
つい、意地悪く訊き返してしまった。
「――私は……」
夕純さんがさらに、俺に抱き着いてくる。
「衛也君に、その気があれば……」
もう、これ以上は訊かなくても分かる。
正直、俺は夕純さんに比べたらまだまだ人間として小さいから、結婚なんて早過ぎると思っている。でも、さっきのように夕純さんの気持ちを無下に踏み躙るような真似もしたくない。
「――もう少しだけ、待ってもらえますか?」
考えた末、俺は夕純さんに告げた。
「俺はまだ未熟ですから。でも、あとちょっと頑張って、夕純さんと並んでも恥ずかしくないほどの男になったら、その時は……」
これも逃げだと思われるだろうか。でも、いきなり考えなしに行動には起こせない。俺なりの、精いっぱいの誠意のつもりだった。
「待ってる……」
しばらくしてから、夕純さんが答える。きっと、俺の気持ちはちゃんと分かってくれた。
「あまり待たせ過ぎないようにしますから」
俺は夕純さんを抱き締めた。壊れそうなほど小さいのに温かくて、俺の心が和んでゆくのを感じた。
【もう少しだけ - End】
夕純さんを抱き締めながら問うと、夕純さんは「平気……」と気だるそうに答えた。
「でも、衛也君はまだでしょ? 衛也君も気持ち良くしないと……」
「無理しなくていいですよ」
「ダメ。私だけ気持ちいいなんて不公平じゃない……」
「ほんとにいいですよ。俺も充分気持ち良かったですから」
「良くないわ。今度は衛也君も一緒にイクの……」
可愛いことを言ってくれる。年上の女性とは思えないほど健気というか。
口先では気遣うようなことを言いながら、結局、俺も最後まで夕純さんを抱くつもりではいた。俺は夕純さんを抱いたままで身体を起こし、今度は逆に俺が見下ろす姿勢になった。
夕純さんが両手を伸ばし、俺の首の後ろに絡めてくる。
俺は夕純さんに深く口付けながら身動きする。達するのを我慢し続けていたから、自分でも容赦がなくなっていることは分かっていた。
激しく腰を打ち付けると、口を塞がれた夕純さんから切なげな喘ぎが漏れる。
夕純さんの可愛い声が聴きたい。俺はそう思い、唇を離した。
「んっ……あぁ……っ……や……っ……」
本当に、こんなに愛らしく鳴かれるなんて反則だ。たくさん責めて、もっともっと夕純さんを感じさせたいという欲望が膨らむ。
「も……りや……く……も……っとぉ……」
何度も達しているはずなのに、なおも俺を煽ってくる。仕事中は真面目一筋な人なのに、セックスの時は淫らな姿を俺に曝け出す。もちろん、そんな夕純さんも俺は好きだけど。
しだいに俺も限界を感じてきた。もう、我慢はさすがに無理なようだ。
「夕純さん、そろそろ……イキますよ……?」
「わ……たしも……また……っ……」
「一緒に……イキましょうか……?」
夕純さんが俺にしがみ付きながら首をコクコクと動かす。
俺は腰の動きを速めた。
「あっ……あっ……イク……っ……あぁ……っ……!」
夕純さんが限界に達した。俺もほんの少しだけ遅れて絶頂を迎える。
行為が終わると、夕純さんは放心状態でぐったりしていた。
俺は夕純さんが気がかりだったが、いつまでもゴムを着けた状態にしておくわけにもいかないと思い、夕純さんから俺自身を抜き、素早く後処理を済ませた。
疲れきっている夕純さんの秘所も、ティッシュで拭った。抵抗されるかと思っていたが、そこまでの気力が残っていなかったらしい。
全て終えてから、俺は夕純さんに腕枕をする格好で横になった。
「大丈夫ですか?」
また、さっきと同じことを訊いている。でも、疲れきっている夕純さんは突っ込みを入れず、ほっそりとした指先で俺の頬に触れながら口元を綻ばせた。
「――大丈夫。衛也君こそ、相当無理したんじゃない?」
「俺こそ全然ですよ」
俺は小さく微笑み、夕純さんに軽くキスした。
「夕純さんの可愛い声がたくさん聴けましたから、疲れなんて全く感じませんでした。最高に気持ち良かったですよ」
「――なに言ってんの……」
夕純さんが俺の胸に額を押し付けてくる。
「衛也君って、こっちが恥ずかしくなることをよく平気で言っちゃうものね。これじゃあ、心臓がいくらあっても足りないわ……」
「別にそんなつもりじゃないですけど。俺は思ったことを言ってるだけですし」
そう言いつつ、内心では、自分でもよく歯の浮くような台詞を恥ずかしげもなく言えるもんだと呆れていた。でも、夕純さんには自分のありのままの気持ちを伝えたいから、照れ臭くてもちゃんと言いたい。
「衛也君」
相変わらず俺の胸に顔を埋めたままの夕純さんが、くぐもった声で俺の名前を呼んだ。
「どうしました?」
「――やっぱり、めんどくさいって思ってる……?」
「何がですか?」
「だから……、結婚のこと……」
まだ、さっきのことを引きずっていたらしい。ここまで気にするということは、夕純さんは結婚したいと思っているのだろうか。
「夕純さんはどうなんですか?」
つい、意地悪く訊き返してしまった。
「――私は……」
夕純さんがさらに、俺に抱き着いてくる。
「衛也君に、その気があれば……」
もう、これ以上は訊かなくても分かる。
正直、俺は夕純さんに比べたらまだまだ人間として小さいから、結婚なんて早過ぎると思っている。でも、さっきのように夕純さんの気持ちを無下に踏み躙るような真似もしたくない。
「――もう少しだけ、待ってもらえますか?」
考えた末、俺は夕純さんに告げた。
「俺はまだ未熟ですから。でも、あとちょっと頑張って、夕純さんと並んでも恥ずかしくないほどの男になったら、その時は……」
これも逃げだと思われるだろうか。でも、いきなり考えなしに行動には起こせない。俺なりの、精いっぱいの誠意のつもりだった。
「待ってる……」
しばらくしてから、夕純さんが答える。きっと、俺の気持ちはちゃんと分かってくれた。
「あまり待たせ過ぎないようにしますから」
俺は夕純さんを抱き締めた。壊れそうなほど小さいのに温かくて、俺の心が和んでゆくのを感じた。
【もう少しだけ - End】
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