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4話 正体は死神?
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「叔父さんと叔母さんの協力?それが不可欠だっていうのか?」
「そう。ご両親の過去を知っているあのお2人なら、きっと力になってくれるから。」
扉をノックする音がして、小春が入って来た。彼女は呼び出し音の鳴っているスマートホンを持っている。咲也がリビングに置き忘れていたらしい。
「話の途中にごめんさないね。咲也、電話が鳴ってるわよ。」
「あっ、すみません。」
咲也は電話に応答しながら廊下に出た。
「颯太か。俺だ。」
『急にごめんね。花霞上さんは君の家に?』
「ああ、俺が帰ったら家にいた。姉貴と3人で話をしたいって言うから。まあよく分かんなかったけどな。」
『そっか‥‥もう話を聞いたんだね。』
「ん?どうした?」
『急にこんなこと言って驚くかもしれないけど‥‥彼女はこの世の住人じゃないかもしれない。もっと言うなら多分、“人間”じゃない。』
「た‥‥確かにあいつは普通とは違う雰囲気だけど、人間じゃないってどういうことだよ?どっからどう見ても人間じゃねえか!」
『違う!!!彼女は‥‥この世とあの世を行き来する‥‥言わば“魂の管理者”のようなものなんだ。これがどういうことか分かる?』
颯太の言いたいことが分かって、咲也は体が震えた。息が荒くなり、鼓動が速くなっている気がした。この世とあの世を行き来して、魂を管理する者‥‥答えは1つしか思い浮かばなかった。
「死‥‥神‥‥?」
『うん。初めて見た時から、常人離れした雰囲気があったけど、咲也はおかしいと思わなかった?君の家族や過去を知っている口振り、まるで両親の事故を目の前で見たかのような‥‥そして亡くなった人たちとやりとりしているとなれば‥‥』
「死人とやりとりって‥‥何でお前はそれを知ってるんだ?」
『君の住所を聞かれて教えるのを断った時、彼女の口から聞いたんだ。君や弥生さんには内緒だと言われたけど、黙っているなんてやっぱり無理だった。』
「つまりあいつは、死神としての役目を成し遂げるために、事故の日から俺と姉貴を監視して、今回近づいたってことか⁉︎」
『そうさ。どうして“今”なのかは分からないし、何だか信じられないけど、とにかくそれが事実なんだろう。』
咲也が唖然としていると、誰かがスマホを取り上げた。咲也が驚いて振り返ると、そこにはサクラが立っていた。彼女はそのままスマホを耳に当てて話し始めた。
「ダメって言ったのに、話しちゃたんだね、颯太くん。まあ私も少し甘かったけど‥‥約束は守って欲しかったな。」
『君だって大方話したんだろ?僕が真実を言っても対して変わらないじゃないか。』
颯太の言葉にサクラは微笑した。颯太は続ける。
『他のクラスメイトに近づかなかったのは、あくまで“仕事”としてこの世に降り立っている君は、特定の者以外と関わることが許されていないから。‥‥そうだよね。じゃあ僕に近づいたのはなぜ?』
「‥‥やっぱり颯太くんは頭がいいね。先生から首席で入学したって聞いたけど、その頭脳に間違いはないってことか。」
『そんな事まで‥‥‼やっぱり僕まで“特定の者”になっているのか⁉︎』
「そうだよ。あの時言ったように、あなたはとても重要なの。ハーフであることを馬鹿にされていじめられていた時、咲也くんに助けられたことも知ってる。その夜、咲也くんちでカレーライスを食べたことも。」
サクラの言葉に、咲也は目を見開いた。2人が出会ったのは小学1年生の時であり、金髪碧眼の容姿を同級生にからかわれて颯太が泣いていた時、咲也が手を引いて家に連れて行った。2人はそれ以来の仲で、その日の夕食のメニューなど、親族しか知らない事だったのだ。
「花霞上、お前っ‥‥颯太に何かするつもりか⁉︎秘密をバラした罰として‥‥!」
「人聞きの悪いこと言わないで。死神が自分勝手に魂を抜き取るわけがないじゃない。」
「そ、そっか‥‥」
安堵する咲也をよそに、サクラは言葉を続けた。
「週明け、学校で少し話さない?これからのこともあるし、まだ話してないこともあるから。」
『弥生さん無しでいいの?』
「一緒に話をしたいけど‥‥進路のことで忙しいだろうから、無理に巻き込まなくていいと思う。だから私たちだけで。」
『分かった。じゃあ来週。』
電話を終えると、サクラはスマホを咲也に返した。サクラはにっこりと笑い、
「咲也くんも来るでしょ?あなたが第一人者なんだから。」
週明けの月曜日、3人は昼休みに空き教室で落ち合った。颯太の電話までにサクラから聞いた話は、颯太にもすべて話して情報を共有していた。
「ご両親に会うためには、叔父さんと叔母さんの協力が必要って言ったよね?」
「ああ。それに、会うための場所のことも‥‥」
咲也の言葉に、颯太が頷き、身を乗り出した。
「一体どこなら会うことができるの?」
「それを叔父さんたちに聞いて2人で探して欲しいんだ。ご両親の思い出の場所を。」
「思い出の‥‥場所‥‥?」
「そう。そこなら会うことができるから。でも場所探しは、私が手伝うことはできないの。」
まだよく分からなかったが、咲也と颯太はサクラの言葉に従うことにした。3人は頷き合い、新たな行動を開始した。
「そう。ご両親の過去を知っているあのお2人なら、きっと力になってくれるから。」
扉をノックする音がして、小春が入って来た。彼女は呼び出し音の鳴っているスマートホンを持っている。咲也がリビングに置き忘れていたらしい。
「話の途中にごめんさないね。咲也、電話が鳴ってるわよ。」
「あっ、すみません。」
咲也は電話に応答しながら廊下に出た。
「颯太か。俺だ。」
『急にごめんね。花霞上さんは君の家に?』
「ああ、俺が帰ったら家にいた。姉貴と3人で話をしたいって言うから。まあよく分かんなかったけどな。」
『そっか‥‥もう話を聞いたんだね。』
「ん?どうした?」
『急にこんなこと言って驚くかもしれないけど‥‥彼女はこの世の住人じゃないかもしれない。もっと言うなら多分、“人間”じゃない。』
「た‥‥確かにあいつは普通とは違う雰囲気だけど、人間じゃないってどういうことだよ?どっからどう見ても人間じゃねえか!」
『違う!!!彼女は‥‥この世とあの世を行き来する‥‥言わば“魂の管理者”のようなものなんだ。これがどういうことか分かる?』
颯太の言いたいことが分かって、咲也は体が震えた。息が荒くなり、鼓動が速くなっている気がした。この世とあの世を行き来して、魂を管理する者‥‥答えは1つしか思い浮かばなかった。
「死‥‥神‥‥?」
『うん。初めて見た時から、常人離れした雰囲気があったけど、咲也はおかしいと思わなかった?君の家族や過去を知っている口振り、まるで両親の事故を目の前で見たかのような‥‥そして亡くなった人たちとやりとりしているとなれば‥‥』
「死人とやりとりって‥‥何でお前はそれを知ってるんだ?」
『君の住所を聞かれて教えるのを断った時、彼女の口から聞いたんだ。君や弥生さんには内緒だと言われたけど、黙っているなんてやっぱり無理だった。』
「つまりあいつは、死神としての役目を成し遂げるために、事故の日から俺と姉貴を監視して、今回近づいたってことか⁉︎」
『そうさ。どうして“今”なのかは分からないし、何だか信じられないけど、とにかくそれが事実なんだろう。』
咲也が唖然としていると、誰かがスマホを取り上げた。咲也が驚いて振り返ると、そこにはサクラが立っていた。彼女はそのままスマホを耳に当てて話し始めた。
「ダメって言ったのに、話しちゃたんだね、颯太くん。まあ私も少し甘かったけど‥‥約束は守って欲しかったな。」
『君だって大方話したんだろ?僕が真実を言っても対して変わらないじゃないか。』
颯太の言葉にサクラは微笑した。颯太は続ける。
『他のクラスメイトに近づかなかったのは、あくまで“仕事”としてこの世に降り立っている君は、特定の者以外と関わることが許されていないから。‥‥そうだよね。じゃあ僕に近づいたのはなぜ?』
「‥‥やっぱり颯太くんは頭がいいね。先生から首席で入学したって聞いたけど、その頭脳に間違いはないってことか。」
『そんな事まで‥‥‼やっぱり僕まで“特定の者”になっているのか⁉︎』
「そうだよ。あの時言ったように、あなたはとても重要なの。ハーフであることを馬鹿にされていじめられていた時、咲也くんに助けられたことも知ってる。その夜、咲也くんちでカレーライスを食べたことも。」
サクラの言葉に、咲也は目を見開いた。2人が出会ったのは小学1年生の時であり、金髪碧眼の容姿を同級生にからかわれて颯太が泣いていた時、咲也が手を引いて家に連れて行った。2人はそれ以来の仲で、その日の夕食のメニューなど、親族しか知らない事だったのだ。
「花霞上、お前っ‥‥颯太に何かするつもりか⁉︎秘密をバラした罰として‥‥!」
「人聞きの悪いこと言わないで。死神が自分勝手に魂を抜き取るわけがないじゃない。」
「そ、そっか‥‥」
安堵する咲也をよそに、サクラは言葉を続けた。
「週明け、学校で少し話さない?これからのこともあるし、まだ話してないこともあるから。」
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「一緒に話をしたいけど‥‥進路のことで忙しいだろうから、無理に巻き込まなくていいと思う。だから私たちだけで。」
『分かった。じゃあ来週。』
電話を終えると、サクラはスマホを咲也に返した。サクラはにっこりと笑い、
「咲也くんも来るでしょ?あなたが第一人者なんだから。」
週明けの月曜日、3人は昼休みに空き教室で落ち合った。颯太の電話までにサクラから聞いた話は、颯太にもすべて話して情報を共有していた。
「ご両親に会うためには、叔父さんと叔母さんの協力が必要って言ったよね?」
「ああ。それに、会うための場所のことも‥‥」
咲也の言葉に、颯太が頷き、身を乗り出した。
「一体どこなら会うことができるの?」
「それを叔父さんたちに聞いて2人で探して欲しいんだ。ご両親の思い出の場所を。」
「思い出の‥‥場所‥‥?」
「そう。そこなら会うことができるから。でも場所探しは、私が手伝うことはできないの。」
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