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第二章
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学園祭がせまってくるころ、チーム決めをすることになった。
見回りや待機など一日一緒にいる相手を生徒会で2人組み、風紀は2人~3人組みのチーム決めだ。
顧問の土屋が言うには喧嘩に弱いものは待機を中心に。腕っ節に自信のあるものは風紀と一緒に見回りを中心に、ということだった。
まずは腕っ節に自信のあるもの、と問われ、手を上げたのが田口、二ノ瀬、南、松浦の4人だった。
土屋はちょうど4人に分かれたな、と言うが俺は隣に座る吉岡が気になった。俺より喧嘩強いだろうに。自分でも言っていたくせに。
「じゃあそれぞれ2:2に分かれてくれるか。決まったらチームごとにA~Dと振り分けて俺のPCにメールしといてくれ」
そう言い残して土屋は生徒会室を出て行った。
「朔ちゃーん。一緒だねぇ。見るからに強そうだもんね。俺も強いし、一緒に回ろうね」
「会長、じゃんけんかなんかしませんか」
「なんでもいい。じゃあ勝ち抜けにするか。勝ちぬけたもの2人ペア、残り2人がペアで」
「松浦は田口と回ればいいじゃーん」
「はい! 俺はどなたとでも心強いです!」
見回り組みはなんだかうるさい。
待機組みは俺、北村、吉岡、青木の残された4人だ。
こっちは打って変わって誰もしゃべらない。
2:2にペアを作らなきゃだし、青木は話がしづらくて一緒にいたくないし無難に北村と一緒にいよう。楽だし。
「北村、一緒になろー」
「いや、青木と吉岡が一緒で判断に困ることもあるだろうから俺とお前は別れたほうがいいだろ。2年と1年になるようにペアにしよう」
ごもっともなことを言われ、力なく頷いた。
少しはなれたところでじゃんけんをしていた見回り組みも「2年と1年は分けたほうがいいのか、失敗したからやりなおし~」なんて聞こえる。どうせ南が二ノ瀬と一緒になれなかったのだろう。
「じゃー吉岡でいいや。吉岡、俺と一緒な」
青木よりは数倍まし、そんなことを思って隣を見ると、相変わらずの涼しい顔で「分かりました」と返事がきた。
北村も青木でも何でもよかったらしく、この決まったペアからメモをしろと頼まれた。
Cチームに北村と青木、Dに俺と吉岡。
ちっともまとまりのない見回り組みはもめながらも決まったようだった。
Aチームに松浦と二ノ瀬、Bに南と田口。
南は至極つまらなそうに唇を突き出しているが、ま、スムーズに仕事が出来ていいチームなんじゃないかな。
メール画面を開き、決まったチームを土屋に送信した。
「それぞれのチームでタイムスケジュールを作成して俺のところに一度持ってきてくれ」
松浦に言われ、確かに作らなきゃいけないがどうも面倒くさい。
CチームかDチーム、何かあったときどっちがどの時間帯に中心として動くのか北村と相談して決めなくはならないがそれも面倒だ。
「吉岡、北村と相談して待機のタイムスケジュール作ってくれる? 流れは北村に聞けばいいし、去年のものを参考にするといい」
「分かりました」
ああ、いい補佐をもって幸せだ。
去年も腕に自信のない俺は待機組みだった。
問題はあったが、ほとんど風紀と見回り組みが片付けたから待機の俺は何もなく1日を終えた。待機がもう一方のチームの時はちょっとたこ焼きなんかを買いに行ったり。
実に楽だった。
だから今年も去年のようなものを望んでいる。
企画書のなかで今年も“たこ焼き”や“クレープ”“ノンアルコールカクテルバー”などの模擬店を見つけ、暇なとき行こうと決めた。
「あ、言い忘れたけど今まで免除されていたミスコンとミスターコン、今年からはメイン生徒会と風紀も対象になったから。そのつもりでいていくれ」
またさっきのタイムスケジュール作ってくれみたく、なんでもない風に松浦は言うが、結構大事なことを言っていたような。
二ノ瀬もピンと来ないのか小さく手を上げた。
「なんだ、二ノ瀬」
「ミスターコンは分かりますがミスコンとは」
「その名の通りだ。ミスコン。かわいい奴や綺麗なやつに投票して上位5人は女装して決勝のコンテストに出るんだよ。去年までは2年の、メインで動く生徒会役員は免除だったんだ。1年の役員はもともと対象だ」
うんざり、二ノ瀬はまさにそんな表情だった。
俺も去年、ミスコン9位となんとも中途半端な順位をいただいたが生徒会にいても上位5人に入ってもいなかったし、関係がなかった。やっぱり生徒会にいるだけで目立ってしまうのだろう。でも今年は二ノ瀬みたいな美人もいるし、今年も書記長補正が掛けられての中途半端なもので終わることだろう。
でもミスターコンは去年、上位5人に松浦も南も入っていて、でも生徒会だから出れなくて盛り上がりに掛けたのは事実だった。
今年も当然5人に入ることだろう。
俺もミスよりミスターの称号が欲しいわ。
他の企画書も詳しく読んでいくとねるとんやコスプレ写真館なんてのもあった。
どんなコスプレ衣装があるのか分からないが、時間があったら行ってみたいリストに入れておこう。
見回りや待機など一日一緒にいる相手を生徒会で2人組み、風紀は2人~3人組みのチーム決めだ。
顧問の土屋が言うには喧嘩に弱いものは待機を中心に。腕っ節に自信のあるものは風紀と一緒に見回りを中心に、ということだった。
まずは腕っ節に自信のあるもの、と問われ、手を上げたのが田口、二ノ瀬、南、松浦の4人だった。
土屋はちょうど4人に分かれたな、と言うが俺は隣に座る吉岡が気になった。俺より喧嘩強いだろうに。自分でも言っていたくせに。
「じゃあそれぞれ2:2に分かれてくれるか。決まったらチームごとにA~Dと振り分けて俺のPCにメールしといてくれ」
そう言い残して土屋は生徒会室を出て行った。
「朔ちゃーん。一緒だねぇ。見るからに強そうだもんね。俺も強いし、一緒に回ろうね」
「会長、じゃんけんかなんかしませんか」
「なんでもいい。じゃあ勝ち抜けにするか。勝ちぬけたもの2人ペア、残り2人がペアで」
「松浦は田口と回ればいいじゃーん」
「はい! 俺はどなたとでも心強いです!」
見回り組みはなんだかうるさい。
待機組みは俺、北村、吉岡、青木の残された4人だ。
こっちは打って変わって誰もしゃべらない。
2:2にペアを作らなきゃだし、青木は話がしづらくて一緒にいたくないし無難に北村と一緒にいよう。楽だし。
「北村、一緒になろー」
「いや、青木と吉岡が一緒で判断に困ることもあるだろうから俺とお前は別れたほうがいいだろ。2年と1年になるようにペアにしよう」
ごもっともなことを言われ、力なく頷いた。
少しはなれたところでじゃんけんをしていた見回り組みも「2年と1年は分けたほうがいいのか、失敗したからやりなおし~」なんて聞こえる。どうせ南が二ノ瀬と一緒になれなかったのだろう。
「じゃー吉岡でいいや。吉岡、俺と一緒な」
青木よりは数倍まし、そんなことを思って隣を見ると、相変わらずの涼しい顔で「分かりました」と返事がきた。
北村も青木でも何でもよかったらしく、この決まったペアからメモをしろと頼まれた。
Cチームに北村と青木、Dに俺と吉岡。
ちっともまとまりのない見回り組みはもめながらも決まったようだった。
Aチームに松浦と二ノ瀬、Bに南と田口。
南は至極つまらなそうに唇を突き出しているが、ま、スムーズに仕事が出来ていいチームなんじゃないかな。
メール画面を開き、決まったチームを土屋に送信した。
「それぞれのチームでタイムスケジュールを作成して俺のところに一度持ってきてくれ」
松浦に言われ、確かに作らなきゃいけないがどうも面倒くさい。
CチームかDチーム、何かあったときどっちがどの時間帯に中心として動くのか北村と相談して決めなくはならないがそれも面倒だ。
「吉岡、北村と相談して待機のタイムスケジュール作ってくれる? 流れは北村に聞けばいいし、去年のものを参考にするといい」
「分かりました」
ああ、いい補佐をもって幸せだ。
去年も腕に自信のない俺は待機組みだった。
問題はあったが、ほとんど風紀と見回り組みが片付けたから待機の俺は何もなく1日を終えた。待機がもう一方のチームの時はちょっとたこ焼きなんかを買いに行ったり。
実に楽だった。
だから今年も去年のようなものを望んでいる。
企画書のなかで今年も“たこ焼き”や“クレープ”“ノンアルコールカクテルバー”などの模擬店を見つけ、暇なとき行こうと決めた。
「あ、言い忘れたけど今まで免除されていたミスコンとミスターコン、今年からはメイン生徒会と風紀も対象になったから。そのつもりでいていくれ」
またさっきのタイムスケジュール作ってくれみたく、なんでもない風に松浦は言うが、結構大事なことを言っていたような。
二ノ瀬もピンと来ないのか小さく手を上げた。
「なんだ、二ノ瀬」
「ミスターコンは分かりますがミスコンとは」
「その名の通りだ。ミスコン。かわいい奴や綺麗なやつに投票して上位5人は女装して決勝のコンテストに出るんだよ。去年までは2年の、メインで動く生徒会役員は免除だったんだ。1年の役員はもともと対象だ」
うんざり、二ノ瀬はまさにそんな表情だった。
俺も去年、ミスコン9位となんとも中途半端な順位をいただいたが生徒会にいても上位5人に入ってもいなかったし、関係がなかった。やっぱり生徒会にいるだけで目立ってしまうのだろう。でも今年は二ノ瀬みたいな美人もいるし、今年も書記長補正が掛けられての中途半端なもので終わることだろう。
でもミスターコンは去年、上位5人に松浦も南も入っていて、でも生徒会だから出れなくて盛り上がりに掛けたのは事実だった。
今年も当然5人に入ることだろう。
俺もミスよりミスターの称号が欲しいわ。
他の企画書も詳しく読んでいくとねるとんやコスプレ写真館なんてのもあった。
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