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以前はここに沢山のアルファやオメガがいたのだろう。
馬鹿でかい校舎も、今では生徒数が極端に少ないため、移動のときもそれほど人と会わない。それに特別棟に行くときだけ、そこでの授業をしていたクラスの人たちとすれ違うくらいだった。
かわいい姿をした継直はちゃらちゃらしたアルファによく声を掛けられていた。それも全部スルーを決め込んでいたが。そのため時々俺に余波が襲ってきたが継直を見習い、心を無にしてスルースキルを身につけていった。
その日、初めて行った食堂も、時々下世話な声を掛けられた。廊下と一緒で、大抵は外見がちゃらちゃらしたアルファと決まっていた。
無視をしながら回りをひっそりと眺めていると、結構新しい発見があった。
ニ年生や三年生のオメガの生徒は、普通にアルファと会話をしながらご飯を食べていたのだ。中には頬を染めているオメガの生徒や、アルファにしなだれるようにしている生徒もいる。
なるほど、出会いだ。ここはやはり出会いの場なのだ。付き合っている人たちもいるのかもしれない。
オメガの先輩は選んだのか選ばれたのか。まぁ、どちらにしろ幸せそうなのでそんなことはどうでもいいのだろうが。
そして声を掛けてくるアルファも本当に一部。そのアルファはどんなオメガにも声を掛けていた。半分以上のアルファは特別声を掛けたりせずに過ごしている。時々こちらを気にする素振りはしても、絡んでなんか来なかった。
「きみ、中庭でこっち向いてくれたこだね」
相席の断りもなく、焼肉定食のお膳をテーブルに置いたアルファは勝手に目の前に座った。オレンジがかった茶色い髪の毛のこの人は、始業式の日の中庭で首輪を投げた人だった。ネームには“2-2 古渓久弥”とあった。なんと読むのか分からなくてジッと見ていたのを気づかれ「こけい、ひさや」とにっこりと告げられた。
平行気味の二重に、髪の毛までとはいかないけど少し日本人離れした茶色い色素の瞳。薄いけど形のいい唇はにんまりと弧を描き、この人からはやっぱりあの日も感じた独特の圧があってちょっと気分が悪くなる。
「結構強い意志を持っているよね。もうすでにトラウマか何かあったりするの?」
継直を見て言うが、もちろん継直は無視をしている。こんなに居心地の悪いアルファの気を、発情期になったら本当に欲しがるのだろうか。とても疑問だ。
「きみは、とてもかわいいよね。今すぐ食べちゃいたいくらい」
継直に言った言葉だと思ったのに、ふと視線を向ければ、ばっちりと眼が合った。どういうことだろう。俺への言葉だっただろうか。でもかわいいのは継直だ。
やはりスルースキルなぞ一朝一夕では身につくはずも無く、顔色を青くしてオロオロとしてしまった。
「ああ、それ。初々しくてかわいい。やっぱりそうでなくちゃね」
古渓は瞳の色が本当に薄く、キラキラと蛍光灯の光を映してとても不思議な色だった。時々金色にでも輝くような。わざわざカラコンでも入れているのか。もてるためにはなんでもするんだなと少しだけ感心した。
しかし古渓が絡んできてからは誰もこちらへは近寄らなくなった。ある意味この人も虫除けになっているのだろうか。
でも今は俺達にとってこの人自体が虫だった。
しかし初対面は最悪だった古渓も、その後は時々廊下ですれ違っても話をするだけで無理やりどうこうしてくる人物ではなかった。
学校生活もニ週間過ぎた週明け。
週末に発情期がきたというクラスメイトが数名現われ、隔離部屋へ行ったと朝のHRで知らされた。
どうやらアルファだらけの生活にあてられ、ホルモンバランスが急激に崩れてしまう生徒が毎年数名いるとのことだった。
確かに休んだ席をみると、あの中庭のときに過剰に反応していた生徒達だった。
俺も気持ち悪くなっていたから、もしかしたら近いうちに発情期が来てしまうかもしれない。その身に降りかかることに今更ながらぞっとした。
視聴覚室への移動の際、いつも一緒に行動しているとクラスメイトが隔離部屋に行ってしまったから、一緒に移動させてくれと、8番が話しかけてきた。一人での移動はアルファに出会ったとき怖いから、と。
こいつもオメガらしい外見をもっているが、眉がきりりと上がっていて見た目だけは気の強さを感じられる。
三人でたあいない話をしていると、久しぶりに朝永に会った。
会った、と言っても視聴覚室前の廊下でたまたますれ違っているだけだが。
「おはよう」
「お、おはよ」
無表情ながらも単純な挨拶され、ああ、こんなすれ違いざまの普通の挨拶も久しぶりだなんて感動さえ覚えてしまった。
そしてどもってしまったことにちょっと赤面してしまう。
朝永の友人はこれが珍しいことでもないのか、ついでのようにちらっとこちらを見ただけだった。こういったことに微塵も興味ありません、という視線はどこか冷めたものだった。こっちとしても絡まれるよりも百倍マシ。仲良くする気もさらさらなさそうだ。アルファにもオメガを嫌悪する人がいるとも聞いたことがある。なぜこの学園に来たのだと思わざるを得ないが(アルファがここへ入るには年間一口一千万円の寄付金を最低三口納めなければならない)、すべてをひっくるめて朝永がやはり変わっているのだろう。
「最近、会わなかったね。部屋で食事をしているの?」
「最近は食堂で食べてる。購買ですますこともあるけど」
「へぇ」
少し驚いたように目を瞠り、そしてその表情を崩して朝永は人好きのする笑顔を作った。
「この学校に慣れてきたんだね」
「慣れたのか分からないけど」
久しぶりに会った朝永は少しだけ前髪が伸びていた。それも無造作に流し、自然体で、ちゃらちゃらしたアルファをみて食傷気味だったため、ちょっと眼の保養になった。
そんなことを思った時点ですでに俺はオメガという性別を受け入れて、アルファという性別も受け入れてしまっているのではないかとドキリとした。いつの間にか、だ。
「じゃあ今度は俺も食堂へ行ってみようかな」
「うん」
「じゃあね、また」
「うん」
手を振られ、俺も手を振り替えした。
本当に、きっと、見惚れていたんだと思う。変なことを言ってくるアルファに嫌気が差し、困っているところを助けてくれ、しつこさも無く、普通に接してくれるアルファに。顔面がよくて性格もいいとか、やはり反則だ。
「……14番、今のアルファじゃん」
だから、オメガのクラスメイトニ人が好奇の視線を寄越していたのに気が付かなかった。
慌てて「何もないよ」というが、焦るだけ怪しいというものだ。
そしてその日の夜。8番も一緒に行きたいというので継直と8番と、三人で食堂へ向かった。
はじめの頃よりは絡まれなくなったし、挨拶のようなもので終わることも多くなった。多少の例外はいるけれども。
アルファのくせに頭の悪そうな、実際に頭も素行も悪くて不細工な先輩は、どうやらどのオメガからも邪険にされまくっていて、俺達のような新入生にしつこくしているようだ。自分にオメガと番うことが出来ないとどこかで思いながらも諦めきれないでいるらしい。オメガクラスの先輩が教えてくれた。
「今日は三人なんだね。誰でもいいよ、卒業して俺のところ来てくれたらなんでも好きなの買って上げるよ」
そもそもそんなセリフにそんな内容で釣れると思っていることがバカすぎる。8番も俺達をチラチラと窺いながら無視をしてくれている。
そう、いつも通り無視をしていればそのうちに諦めるか、古渓が来て悔しそうに去っていくか、だ。
だが今日は違った。
「本当にいた。先輩、いいですか? ここ」
隣にお膳が置かれ、見上げると朝永が笑顔で先輩アルファを見ていた。
いつも誰かに邪魔されている先輩アルファはとりあえずで朝永を睨んだが、しかし、やはりなのかネームプレートを見た途端、ガタガタと椅子に座ったまま後ずさりし、青い顔で去っていった。古渓もなかなかに虫除けだが、朝永ほどじゃない。朝永って何ものなんだろう。
「ありがとう。ちょっとあの人いつもしつこくて」
俺がお礼を言おうとする前に、継直がほっぺたを赤くして朝永にお礼を言っていた。
なんだが胸がグッとつまる。
「別に。俺は何もしてないよ」
確かにそうだ。
朝永は何もしていない。だがあの購買でもそうだったがアルファの先輩達は、この一年アルファのネームを見て大人しく引いていったのだ。何かはあるはずだった。そして俺もそこを利用したのだ。
朝永の友人なのか、廊下ですれ違った人もいて、朝永のさらに隣にならんで腰を掛けた。
俺の前には8番、8番の隣、俺にしたら向かって左斜めに継直。そして俺の左隣に朝永が座ったことで継直と朝永が対面となっている。
確かに俺の隣は空いていたが、俺も朝永と正面の方がよかったなーなんて思ってしまってその思考を打ち消した。
「いつもはどこで食べているんですか?」
「敬語」
「……食べてるの?」
ついうっかり、どうしてか馴れ馴れしくできないでいるが、朝永はただあきれているだけだった。
「ずっと部屋で食べているよ。これ、同じ部屋の椋地 颯。料理人希望だから」
これ、と指差したのは朝永の隣にいる友人だった。同じ部屋なのか。
椋地は朝永に話をふられても涼しい顔で頷くだけで会話には入ってこようとしなかった。
人をオメガだから、と変な目で見てこない、むしろ無関心そうな人に思えた。朝永に「これ」呼ばわりされても何も思わないらしい。綺麗な箸使いで煮魚を食べていてこの無関心さも好感が持てた。
この人もアルファだろうに、朝永といるということは“普通”の友人関係でも築いているのだろうか。
でも、いくら料理人希望と言っても朝永の食事の用意をしているなんて、ちょっとおかしくないか。ここはすでに主従関係でも出来上がっているのだろか。アルファ同士でも色々あるのかな。
アルファと一緒だと言うのに和やかに食事は進んだ。思ってもみなかったことだ。あんなに気持ち悪く感じた視線も朝永といるとそう気にならないから不思議だった。
そんな空気を割るように「えー珍しいねー」とからかう様な、跳ねた声が降ってきた。
「……古渓さん」
「うれし。覚えててくれたの?」
思わず出た名前に、ニコニコと表情をご機嫌にして古渓が近づいてきた。
この人にも助けられることはあったけど、雰囲気がやっぱり苦手だった。継直は平気そうだったが、俺はどうしても気味の悪いものを感じてしまう。
「今日はお友達も一緒なんだね。8番ね。よろしくね。そして王様も一緒なんて、13番も14番もすごいじゃない」
しゃがみこみ、テーブルに顎をのせて面白そうに俺達を眺め始めた。
継直は古渓に対してもそれほど悪感情を持っておらず、「王様って?」と聞いている。こういうところは本当にすごいと思う。
「誰も彼には逆らわないと思うよ。キミ達いいのを捕まえたね。ねえ、北原くん」
「そんなことはないでしょう、先輩」
「あははははははははははは」
何がおかしいのかも、会話の内容もよく分からず箸が止まってしまう。俺の真横で馬鹿笑いをしている古渓に周りも注目し始めた。目立ちたくないのに。
「まぁいいや」
ぴたりと古渓が真顔になり、今までの笑いは一体なんだったんだとなぜかドキドキとしてしまった。トキメキではなく、怖さゆえの、だ。
いつの間にか箸を持つ手が震えていた。そして立ち上がった古渓に、髪をすくように頭を撫でられて思わず落としてしまった。背中やわき裏、その辺り、触れられてもいないところがゾクゾクとした。顔は茶碗に向けたまま動かすことは出来なかった。体が固まっているとしか思えないほど動かなかった。
「14番はかわいいなあ」
古渓がテーブルに転がった箸を拾ってくれ、目の前の箸が入っているケースから新しいものを出してくれた。
まだ微かに震える右手をそっと握られ、爪の先からゆっくりと撫でられる。瞬間、腕中に鳥肌がたった。
「落ちた箸はカウンターに持っていってあげる。またね」
手は離されてと言うのに、ドッ、ドッ、ドッ、と心臓が跳ね上がって止まない。
今までも時々、多少の触れ合いはあった。気持ちのいいものではなかったがここまでのものでもなかった。
怖い。
古渓が怖かった。
触れられたところから何かが生まれそうで怖かった。
「大丈夫?」
隣から伸びてくる気配に驚いて咄嗟に振り払った。
体は動いた。
だが、振り払ったものは朝永の手だった。宙に舞って静止していた手、驚きに眼を見開いた朝永と視線が合ってハッと我に返った。
はぁはぁはぁと、自分の息使いだけがやけに大きく感じた。
「……ご、ごめ」
「顔色が悪いな……。部屋に戻ったほうがよさそうだね」
心配してくれた朝永に酷いことをしてしまった。
前髪をぐしゃりと握りつぶしてゆっくりと視線を落とした。
こんなに思考がまとまらないのも初めてだったし、アルファと接してこんな状態になるのも初めてだった。
「送るよ、部屋へ戻ろう」
「いい……一人で戻れる」
「この状態で一人で廊下歩いたら連れ込まれても文句言えないよ」
「……連れ……?」
「ここのアルファの一割は素行が悪いからね。好き放題しているやつだっているってことだよ。ほら、支えるから立って」
朝永の言っていることが頭に入らず、無理やり腕を取られて立たされた。肩を抱かれて朝永に寄りかかりながら歩いた。
朝永に触られたところはただ温かくて。古渓のときとは全然違うこの感覚。ただ不思議だった。廊下へでると頬に当たる空気も冷たくて意識もハッキリしてくる。少しだけ体の強張りも緩んできた気がした。
「……ごめん。ご飯途中だ……」
「もうほとんど食べ終わっていたから大丈夫。もし腹がすいても椋地が作ってくれるからさらに大丈夫」
気を使わせないよう冗談っぽく言ってくれて少し笑えた。椋地にもあとでお礼言わないとだ。
それに継直と8番にもせっかくの食事の時間のいい雰囲気を壊してしまったこともあやまらないと。
「椋地は俺に料理をつくるのが生きがいなんだ」
そんなばかなと思いつつも、きっと本当のことなんだろう。
でも、それって本当に王様みたいだ。
「王様なんだ」
「信じているの?」
「違うの?」
「違うでしょ」
呆れたように言われて笑ってしまった。人が自分に従うことや尽くすことを不思議に思わない彼はきっと無意識かもしれない。
オメガ棟への廊下へ差し掛かり、自分から体を離したが、離れる間際に腕を取られた。
「部屋まで送る」
「ここでいいよ。大丈夫」
「いいから」
強い意志の篭った瞳は真っ直ぐに俺を見ていて、ああ、これは引かないんだなと俺が折れることにした。
オメガ棟でもアルファ棟でも行き来は自由だ。だがどちらも暗黙の了解のように基本的にはそれぞれの生息場所に留まっている、ことになっていた。許可なく部屋に連れ込むことは罰則ものだった。しかしそれは、許可さえ取れば何したっていいとも取れる。
「……ここはやっぱり気が散るな」
「ここって、オメガ棟?」
「そう。そわそわする」
「そうなんだ」
オメガの気配が分かるのだろうか。朝永がそんなことを言うとは思わなくて少し驚いた。
「なんだか気持ちも浮ついてくるな……」
「俺には分からないや」
「14番もアルファ棟に来たら何か分かるかもね」
「それはちょっと」
「冗談だよ。俺と一緒にアルファ棟を歩くなら大丈夫かもしれないけど、そうでないならやめたほうがいい。行ってはダメだよ」
「い、行かないよ! 絶対具合悪くなる」
「それならいいけど」
いつの間にか手を繋いでいたが、それも自然なことに感じた。男同士でも手を繋いで歩いていたらデキてるんじゃないかと思ってしまうし、ましてやアルファとオメガ。周りからみたら勘違いするだろう。
でも性の話をしていても気軽な会話だったと思う。それくらい朝永からは嫌なものを感じなかった。
朝永がそう感じさせないようにしているのか。
『14』というプレートが掲げられた部屋の前について、自然と手が離れた。そこでちょっと繋いでいた手に寂しさが滲んだ。
「個室なんだね。羨ましいな」
「個室にしたらよかったのに」
「アルファは相部屋しかなくてね。個室は認められてない。監視目的も少なからずあるみたいだしね」
「そうなんだ」
おどけたように肩を竦めた朝永は、「だから同室が椋地で本当に助かっているんだ」と苦笑をした。
そしてその表情も消し、真っ直ぐに俺を見下ろす。整った顔で見られると顔を隠したくなってしまった。やばい、顔赤くないよな。
「じゃあ、またね14番」
「うん、ありがとう」
ドアを閉め、そこに背中を預けて一息ついた。眼を閉じて息を整える。
手を繋いで歩いていたときすらどきどきなんてしなかった。本当の友達のように穏やかだった。なのに今は痛いほどに胸が高鳴り、そしてぎゅうっと締め付けられる。ジワジワと顔に熱も集まって、ああ、赤面が見られなくて本当に良かったと胸をなでおろした。
そして閉まる直前にだけ見せた、俺に向けられた朝永の柔らかい笑顔が脳裏に焼きついて離れなかった。
アレは不意打ち過ぎる。
馬鹿でかい校舎も、今では生徒数が極端に少ないため、移動のときもそれほど人と会わない。それに特別棟に行くときだけ、そこでの授業をしていたクラスの人たちとすれ違うくらいだった。
かわいい姿をした継直はちゃらちゃらしたアルファによく声を掛けられていた。それも全部スルーを決め込んでいたが。そのため時々俺に余波が襲ってきたが継直を見習い、心を無にしてスルースキルを身につけていった。
その日、初めて行った食堂も、時々下世話な声を掛けられた。廊下と一緒で、大抵は外見がちゃらちゃらしたアルファと決まっていた。
無視をしながら回りをひっそりと眺めていると、結構新しい発見があった。
ニ年生や三年生のオメガの生徒は、普通にアルファと会話をしながらご飯を食べていたのだ。中には頬を染めているオメガの生徒や、アルファにしなだれるようにしている生徒もいる。
なるほど、出会いだ。ここはやはり出会いの場なのだ。付き合っている人たちもいるのかもしれない。
オメガの先輩は選んだのか選ばれたのか。まぁ、どちらにしろ幸せそうなのでそんなことはどうでもいいのだろうが。
そして声を掛けてくるアルファも本当に一部。そのアルファはどんなオメガにも声を掛けていた。半分以上のアルファは特別声を掛けたりせずに過ごしている。時々こちらを気にする素振りはしても、絡んでなんか来なかった。
「きみ、中庭でこっち向いてくれたこだね」
相席の断りもなく、焼肉定食のお膳をテーブルに置いたアルファは勝手に目の前に座った。オレンジがかった茶色い髪の毛のこの人は、始業式の日の中庭で首輪を投げた人だった。ネームには“2-2 古渓久弥”とあった。なんと読むのか分からなくてジッと見ていたのを気づかれ「こけい、ひさや」とにっこりと告げられた。
平行気味の二重に、髪の毛までとはいかないけど少し日本人離れした茶色い色素の瞳。薄いけど形のいい唇はにんまりと弧を描き、この人からはやっぱりあの日も感じた独特の圧があってちょっと気分が悪くなる。
「結構強い意志を持っているよね。もうすでにトラウマか何かあったりするの?」
継直を見て言うが、もちろん継直は無視をしている。こんなに居心地の悪いアルファの気を、発情期になったら本当に欲しがるのだろうか。とても疑問だ。
「きみは、とてもかわいいよね。今すぐ食べちゃいたいくらい」
継直に言った言葉だと思ったのに、ふと視線を向ければ、ばっちりと眼が合った。どういうことだろう。俺への言葉だっただろうか。でもかわいいのは継直だ。
やはりスルースキルなぞ一朝一夕では身につくはずも無く、顔色を青くしてオロオロとしてしまった。
「ああ、それ。初々しくてかわいい。やっぱりそうでなくちゃね」
古渓は瞳の色が本当に薄く、キラキラと蛍光灯の光を映してとても不思議な色だった。時々金色にでも輝くような。わざわざカラコンでも入れているのか。もてるためにはなんでもするんだなと少しだけ感心した。
しかし古渓が絡んできてからは誰もこちらへは近寄らなくなった。ある意味この人も虫除けになっているのだろうか。
でも今は俺達にとってこの人自体が虫だった。
しかし初対面は最悪だった古渓も、その後は時々廊下ですれ違っても話をするだけで無理やりどうこうしてくる人物ではなかった。
学校生活もニ週間過ぎた週明け。
週末に発情期がきたというクラスメイトが数名現われ、隔離部屋へ行ったと朝のHRで知らされた。
どうやらアルファだらけの生活にあてられ、ホルモンバランスが急激に崩れてしまう生徒が毎年数名いるとのことだった。
確かに休んだ席をみると、あの中庭のときに過剰に反応していた生徒達だった。
俺も気持ち悪くなっていたから、もしかしたら近いうちに発情期が来てしまうかもしれない。その身に降りかかることに今更ながらぞっとした。
視聴覚室への移動の際、いつも一緒に行動しているとクラスメイトが隔離部屋に行ってしまったから、一緒に移動させてくれと、8番が話しかけてきた。一人での移動はアルファに出会ったとき怖いから、と。
こいつもオメガらしい外見をもっているが、眉がきりりと上がっていて見た目だけは気の強さを感じられる。
三人でたあいない話をしていると、久しぶりに朝永に会った。
会った、と言っても視聴覚室前の廊下でたまたますれ違っているだけだが。
「おはよう」
「お、おはよ」
無表情ながらも単純な挨拶され、ああ、こんなすれ違いざまの普通の挨拶も久しぶりだなんて感動さえ覚えてしまった。
そしてどもってしまったことにちょっと赤面してしまう。
朝永の友人はこれが珍しいことでもないのか、ついでのようにちらっとこちらを見ただけだった。こういったことに微塵も興味ありません、という視線はどこか冷めたものだった。こっちとしても絡まれるよりも百倍マシ。仲良くする気もさらさらなさそうだ。アルファにもオメガを嫌悪する人がいるとも聞いたことがある。なぜこの学園に来たのだと思わざるを得ないが(アルファがここへ入るには年間一口一千万円の寄付金を最低三口納めなければならない)、すべてをひっくるめて朝永がやはり変わっているのだろう。
「最近、会わなかったね。部屋で食事をしているの?」
「最近は食堂で食べてる。購買ですますこともあるけど」
「へぇ」
少し驚いたように目を瞠り、そしてその表情を崩して朝永は人好きのする笑顔を作った。
「この学校に慣れてきたんだね」
「慣れたのか分からないけど」
久しぶりに会った朝永は少しだけ前髪が伸びていた。それも無造作に流し、自然体で、ちゃらちゃらしたアルファをみて食傷気味だったため、ちょっと眼の保養になった。
そんなことを思った時点ですでに俺はオメガという性別を受け入れて、アルファという性別も受け入れてしまっているのではないかとドキリとした。いつの間にか、だ。
「じゃあ今度は俺も食堂へ行ってみようかな」
「うん」
「じゃあね、また」
「うん」
手を振られ、俺も手を振り替えした。
本当に、きっと、見惚れていたんだと思う。変なことを言ってくるアルファに嫌気が差し、困っているところを助けてくれ、しつこさも無く、普通に接してくれるアルファに。顔面がよくて性格もいいとか、やはり反則だ。
「……14番、今のアルファじゃん」
だから、オメガのクラスメイトニ人が好奇の視線を寄越していたのに気が付かなかった。
慌てて「何もないよ」というが、焦るだけ怪しいというものだ。
そしてその日の夜。8番も一緒に行きたいというので継直と8番と、三人で食堂へ向かった。
はじめの頃よりは絡まれなくなったし、挨拶のようなもので終わることも多くなった。多少の例外はいるけれども。
アルファのくせに頭の悪そうな、実際に頭も素行も悪くて不細工な先輩は、どうやらどのオメガからも邪険にされまくっていて、俺達のような新入生にしつこくしているようだ。自分にオメガと番うことが出来ないとどこかで思いながらも諦めきれないでいるらしい。オメガクラスの先輩が教えてくれた。
「今日は三人なんだね。誰でもいいよ、卒業して俺のところ来てくれたらなんでも好きなの買って上げるよ」
そもそもそんなセリフにそんな内容で釣れると思っていることがバカすぎる。8番も俺達をチラチラと窺いながら無視をしてくれている。
そう、いつも通り無視をしていればそのうちに諦めるか、古渓が来て悔しそうに去っていくか、だ。
だが今日は違った。
「本当にいた。先輩、いいですか? ここ」
隣にお膳が置かれ、見上げると朝永が笑顔で先輩アルファを見ていた。
いつも誰かに邪魔されている先輩アルファはとりあえずで朝永を睨んだが、しかし、やはりなのかネームプレートを見た途端、ガタガタと椅子に座ったまま後ずさりし、青い顔で去っていった。古渓もなかなかに虫除けだが、朝永ほどじゃない。朝永って何ものなんだろう。
「ありがとう。ちょっとあの人いつもしつこくて」
俺がお礼を言おうとする前に、継直がほっぺたを赤くして朝永にお礼を言っていた。
なんだが胸がグッとつまる。
「別に。俺は何もしてないよ」
確かにそうだ。
朝永は何もしていない。だがあの購買でもそうだったがアルファの先輩達は、この一年アルファのネームを見て大人しく引いていったのだ。何かはあるはずだった。そして俺もそこを利用したのだ。
朝永の友人なのか、廊下ですれ違った人もいて、朝永のさらに隣にならんで腰を掛けた。
俺の前には8番、8番の隣、俺にしたら向かって左斜めに継直。そして俺の左隣に朝永が座ったことで継直と朝永が対面となっている。
確かに俺の隣は空いていたが、俺も朝永と正面の方がよかったなーなんて思ってしまってその思考を打ち消した。
「いつもはどこで食べているんですか?」
「敬語」
「……食べてるの?」
ついうっかり、どうしてか馴れ馴れしくできないでいるが、朝永はただあきれているだけだった。
「ずっと部屋で食べているよ。これ、同じ部屋の椋地 颯。料理人希望だから」
これ、と指差したのは朝永の隣にいる友人だった。同じ部屋なのか。
椋地は朝永に話をふられても涼しい顔で頷くだけで会話には入ってこようとしなかった。
人をオメガだから、と変な目で見てこない、むしろ無関心そうな人に思えた。朝永に「これ」呼ばわりされても何も思わないらしい。綺麗な箸使いで煮魚を食べていてこの無関心さも好感が持てた。
この人もアルファだろうに、朝永といるということは“普通”の友人関係でも築いているのだろうか。
でも、いくら料理人希望と言っても朝永の食事の用意をしているなんて、ちょっとおかしくないか。ここはすでに主従関係でも出来上がっているのだろか。アルファ同士でも色々あるのかな。
アルファと一緒だと言うのに和やかに食事は進んだ。思ってもみなかったことだ。あんなに気持ち悪く感じた視線も朝永といるとそう気にならないから不思議だった。
そんな空気を割るように「えー珍しいねー」とからかう様な、跳ねた声が降ってきた。
「……古渓さん」
「うれし。覚えててくれたの?」
思わず出た名前に、ニコニコと表情をご機嫌にして古渓が近づいてきた。
この人にも助けられることはあったけど、雰囲気がやっぱり苦手だった。継直は平気そうだったが、俺はどうしても気味の悪いものを感じてしまう。
「今日はお友達も一緒なんだね。8番ね。よろしくね。そして王様も一緒なんて、13番も14番もすごいじゃない」
しゃがみこみ、テーブルに顎をのせて面白そうに俺達を眺め始めた。
継直は古渓に対してもそれほど悪感情を持っておらず、「王様って?」と聞いている。こういうところは本当にすごいと思う。
「誰も彼には逆らわないと思うよ。キミ達いいのを捕まえたね。ねえ、北原くん」
「そんなことはないでしょう、先輩」
「あははははははははははは」
何がおかしいのかも、会話の内容もよく分からず箸が止まってしまう。俺の真横で馬鹿笑いをしている古渓に周りも注目し始めた。目立ちたくないのに。
「まぁいいや」
ぴたりと古渓が真顔になり、今までの笑いは一体なんだったんだとなぜかドキドキとしてしまった。トキメキではなく、怖さゆえの、だ。
いつの間にか箸を持つ手が震えていた。そして立ち上がった古渓に、髪をすくように頭を撫でられて思わず落としてしまった。背中やわき裏、その辺り、触れられてもいないところがゾクゾクとした。顔は茶碗に向けたまま動かすことは出来なかった。体が固まっているとしか思えないほど動かなかった。
「14番はかわいいなあ」
古渓がテーブルに転がった箸を拾ってくれ、目の前の箸が入っているケースから新しいものを出してくれた。
まだ微かに震える右手をそっと握られ、爪の先からゆっくりと撫でられる。瞬間、腕中に鳥肌がたった。
「落ちた箸はカウンターに持っていってあげる。またね」
手は離されてと言うのに、ドッ、ドッ、ドッ、と心臓が跳ね上がって止まない。
今までも時々、多少の触れ合いはあった。気持ちのいいものではなかったがここまでのものでもなかった。
怖い。
古渓が怖かった。
触れられたところから何かが生まれそうで怖かった。
「大丈夫?」
隣から伸びてくる気配に驚いて咄嗟に振り払った。
体は動いた。
だが、振り払ったものは朝永の手だった。宙に舞って静止していた手、驚きに眼を見開いた朝永と視線が合ってハッと我に返った。
はぁはぁはぁと、自分の息使いだけがやけに大きく感じた。
「……ご、ごめ」
「顔色が悪いな……。部屋に戻ったほうがよさそうだね」
心配してくれた朝永に酷いことをしてしまった。
前髪をぐしゃりと握りつぶしてゆっくりと視線を落とした。
こんなに思考がまとまらないのも初めてだったし、アルファと接してこんな状態になるのも初めてだった。
「送るよ、部屋へ戻ろう」
「いい……一人で戻れる」
「この状態で一人で廊下歩いたら連れ込まれても文句言えないよ」
「……連れ……?」
「ここのアルファの一割は素行が悪いからね。好き放題しているやつだっているってことだよ。ほら、支えるから立って」
朝永の言っていることが頭に入らず、無理やり腕を取られて立たされた。肩を抱かれて朝永に寄りかかりながら歩いた。
朝永に触られたところはただ温かくて。古渓のときとは全然違うこの感覚。ただ不思議だった。廊下へでると頬に当たる空気も冷たくて意識もハッキリしてくる。少しだけ体の強張りも緩んできた気がした。
「……ごめん。ご飯途中だ……」
「もうほとんど食べ終わっていたから大丈夫。もし腹がすいても椋地が作ってくれるからさらに大丈夫」
気を使わせないよう冗談っぽく言ってくれて少し笑えた。椋地にもあとでお礼言わないとだ。
それに継直と8番にもせっかくの食事の時間のいい雰囲気を壊してしまったこともあやまらないと。
「椋地は俺に料理をつくるのが生きがいなんだ」
そんなばかなと思いつつも、きっと本当のことなんだろう。
でも、それって本当に王様みたいだ。
「王様なんだ」
「信じているの?」
「違うの?」
「違うでしょ」
呆れたように言われて笑ってしまった。人が自分に従うことや尽くすことを不思議に思わない彼はきっと無意識かもしれない。
オメガ棟への廊下へ差し掛かり、自分から体を離したが、離れる間際に腕を取られた。
「部屋まで送る」
「ここでいいよ。大丈夫」
「いいから」
強い意志の篭った瞳は真っ直ぐに俺を見ていて、ああ、これは引かないんだなと俺が折れることにした。
オメガ棟でもアルファ棟でも行き来は自由だ。だがどちらも暗黙の了解のように基本的にはそれぞれの生息場所に留まっている、ことになっていた。許可なく部屋に連れ込むことは罰則ものだった。しかしそれは、許可さえ取れば何したっていいとも取れる。
「……ここはやっぱり気が散るな」
「ここって、オメガ棟?」
「そう。そわそわする」
「そうなんだ」
オメガの気配が分かるのだろうか。朝永がそんなことを言うとは思わなくて少し驚いた。
「なんだか気持ちも浮ついてくるな……」
「俺には分からないや」
「14番もアルファ棟に来たら何か分かるかもね」
「それはちょっと」
「冗談だよ。俺と一緒にアルファ棟を歩くなら大丈夫かもしれないけど、そうでないならやめたほうがいい。行ってはダメだよ」
「い、行かないよ! 絶対具合悪くなる」
「それならいいけど」
いつの間にか手を繋いでいたが、それも自然なことに感じた。男同士でも手を繋いで歩いていたらデキてるんじゃないかと思ってしまうし、ましてやアルファとオメガ。周りからみたら勘違いするだろう。
でも性の話をしていても気軽な会話だったと思う。それくらい朝永からは嫌なものを感じなかった。
朝永がそう感じさせないようにしているのか。
『14』というプレートが掲げられた部屋の前について、自然と手が離れた。そこでちょっと繋いでいた手に寂しさが滲んだ。
「個室なんだね。羨ましいな」
「個室にしたらよかったのに」
「アルファは相部屋しかなくてね。個室は認められてない。監視目的も少なからずあるみたいだしね」
「そうなんだ」
おどけたように肩を竦めた朝永は、「だから同室が椋地で本当に助かっているんだ」と苦笑をした。
そしてその表情も消し、真っ直ぐに俺を見下ろす。整った顔で見られると顔を隠したくなってしまった。やばい、顔赤くないよな。
「じゃあ、またね14番」
「うん、ありがとう」
ドアを閉め、そこに背中を預けて一息ついた。眼を閉じて息を整える。
手を繋いで歩いていたときすらどきどきなんてしなかった。本当の友達のように穏やかだった。なのに今は痛いほどに胸が高鳴り、そしてぎゅうっと締め付けられる。ジワジワと顔に熱も集まって、ああ、赤面が見られなくて本当に良かったと胸をなでおろした。
そして閉まる直前にだけ見せた、俺に向けられた朝永の柔らかい笑顔が脳裏に焼きついて離れなかった。
アレは不意打ち過ぎる。
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