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第6章

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「そういえば、リディアはドレスどうするの?」

クライブ殿下をチラ見しながら言っているあたり、私に言っていると見せかけて殿下が気遣いを忘れていないかの確認なのだろう。が、二度もドレスも贈ってもらうわけにいかない私は、急いで状況説明をする。

「あ、それはですね!ちゃんと、準備してあります。私の母は裁縫が得意でして、この間殿下に贈って頂いたドレスをどうしてもリメイクしたいと。で、それを娘に来てほしいと言うので、母の愛情を着ようかと。殿下にはそれをお伝えしてあるんです」

ちょっと焦った感じが出ちゃっただろうか。なるべく普通な、当たり前な感じで話したかったんだけど。
話しながらチラチラと殿下とエルフリーデ先輩の顔色を伺う。

実際は私から母にお願いした。放っておけば殿下がまた豪華なドレスを贈ってくれそうで、先手を打ったのだ。実際、つい最近ドレスの話を出されたので、間違った予想ではなかった。
母は家計の足しに、と以前から刺繍や裁縫をしているので、裁縫が得意なのは嘘ではない。まぁ差し迫って腕を上げたって言うのが正確な話だけど。で、雇用主クライブ殿下にこれ以上迷惑をかけたくないと話して、ドレスのリメイクをお願いしたのだ。

「まぁ、お母様がお手ずからなんて素敵ね。どんなドレスになるのか楽しみね」

先輩は母の愛情物語に感動したらしく、にっこりと答えてくれた。殿下はちょっと不本意そうだけど、反論はないらしく頷いてくれている。作戦はうまく行ったようでよかった。

「ええ。身内を褒めるのは面映いのですが、母はなかなかに趣味が良くて」

気分が良くなってつい、母の自慢をしてしまう。

「この間少し見せてもらったのですが、殿下の下さったドレスの良さを消さずにまるで違ったイメージにリメイクしていて」

「まぁ、当日見るのが楽しみね」

「はい!あ、先輩はどんなドレスを着るんですか?」

そのままオシャレトークになったのは許してほしい。女子のサガってものだ。
楽しくお話しして、その後打ち合わせも済ませて。私は順調な準備にすっかり油断していた。



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