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第4章

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「リディアも知っている令嬢よ。ほら、さっき親切にして下さったティティーリア様」

「ティ……そう、ですか。ティティーリア様は良い方ですよね……」

今度こそがっくりと首を垂れる。

「リディアもそう思うわよね!さっきだって的外れな当て擦りをしてきた方々にこちらの気持ちがスッとするくらいにバッサリ返して。それにね、ロランのこともとっても好きなの。内緒でちょっと聞いたんだけど、照れながら色々話して下さって。殿下やロランと幼馴染で一緒に遊ぶことも多かったから気心も知れているのが良いのかもね」

エルフリーデ先輩は私の様子には気付かぬ風でうっとりと話し続けている。が、私はそれどころではなかった。
ロランさんでないなら、やっぱりクライブ殿下が攻略対象なの?それとも他の誰かとのフラグがあったのを見逃していたのだろうか。悶々と考え続けている私をよそに先輩は「そうだわ」と話題を変えた。

「私ね、卒業したら祖国に戻るでしょう?そうしたら、一度リディアにも訪ねてきてもらいたいの」

「私が、ですか?」

急すぎる話題転換にポカンとした顔を晒してしまった。

「ええ。それで各学問の優劣をなくす取り組みと女性の職の幅を広げる取り組みについて、私の親しい人達にも話して欲しいと思って。それでね、もしもリディアが望むならその取り組みを我が国で実現させることも」

熱心に話し始めた先輩の急激な熱量の上昇にと惑っていると、急に冷えた声がそれを遮った。

「その選択肢はなしだと話がついていたのではなかったか?」

「「クライブ殿下!」」

きっと入場の時間が近づいたのにちっとも来ない私を探しにきてくれたのだろう。臣下の分際で雇い主に手間をかけさせるなんて、と慌てて謝ろうとした私の顔の前を殿下の手がすっと止めた。今は口を開くな、という意味だ。

「リディアの今後についてはすでに本人と話し合ってある。学園で学ぶことにも固執せず俺の側にいることを最優先に考えたい、というのが本人の希望だ。そうだな?」

「ーーーそ、そうです、かねぇ」

間違ってはいないが、絶妙な言い回しで誤解を招くその物言いはダメじゃないだろうか思う気持ちがすんなりと肯定させなかった。が、振り返って私を睨む殿下の圧のある眼力に負けた。

「だからどこの国にも行かない。旅行程度の訪問なら認めないこともないが、それも俺の許可を得ての話だ。基本的には俺と一緒で無い限り不可能だと考えた方がいい」

気持ちいいくらいにきっぱりと言い切った殿下はそのまま私の手を引いて、歩き出した。

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