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第1章 街
第036話 滲み出た欲望
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息子さんも騒動で落ち着いてしまい、処理もできず、眠気も妙に冷めてしまった。
悶々というかモヤモヤというか、そんな変な気分だ。
パンを齧って軽く朝食を取り、邪念を払う為に朝稽古をする事にした。
誰もいない訓練所で太刀を振るう。
あ、今は首切丸か。よろしくな首切丸。
魔道具の回路を発動させる為には、居合切りを練習する必要がある。
しかも使う場面は対魔物ではなく、対人でだ。
また、スペルブレイクという魔法は元々動かない結界などを破壊する魔法のようだ。
一応は動いている魔法に当てればある程度消すことができる。
だからこの首切丸は居合切りで攻撃魔法を軽減できるのだ。
シュゲムに言うと「そんなことをせずとも、避ければよかろう」と言われた。
ちなみに彼は非常に現実主義者かつ合理主義者だと思う。 全ての質問にマジレスされた気がする。だから参考になるのだが、ロマンは無かった。
また、居合切りというか、当たり前の話だが、刀身が長いと鞘から抜きにくい。つまり太刀は結構抜きにくい。
鞘も腰帯の留め具につけるよりも、左手で直接持った方が簡単に抜ける。
居合を行う上で、鞘の自由度が高い方がいいようだ。
弓のように鞘を放り投げる訳にはいかないので、留め具を巻き取り式にしてみてもいいかもしれない。
試行錯誤しながら刀を振るう。
はやり剣はいい、邪念が消える。
悶々とした気持ちは汗とともに流れていった。
…………
しばらくして後ろから足音が聞こえてきた。
素振りをやめ、振り返ると邪念の根源がこちらに歩み寄ってきた。
カヨだ。
彼女はスリットの入ったスカートのワンピース……冒険に出る装いをしている。 手には昨日作った刀と、似せて作ったであろう練習用の木剣を持っていた。
そして、何故か目が血走っている。
彼女は刀をベンチに置き、練習用の木剣で僕の持ってきた太刀に似せた木剣を指さす。
「勝負よ……」
「……何だって?」
突然何を言いだすんだこの女は。
説明をしろ、説明を。
「その木刀はダリルに作ってもらった練習用の魔道具なんでしょ? この木刀もそうよ。本気で叩いても死なないわ」
「……本気で叩くつもりなのか?」
「とてもイライラしてるの」
イライラをぶつける相手を探していたのか、この狂戦士は。
ただ、勝負といっても……誰もいないところでやってもなぁ。
正直、絡まれ損のような気がする。
「じゃあ賭けをしよう」
特に何が欲しい訳でもないが、僕は賭けをもちかけてみた。
「賭け?」
「そっちの方が盛り上がるだろ?」
「いいわよ、何を賭けるの?」
「ふーむ」
僕は少し考えた。
ちらりと彼女を見る。スリットから覗く太ももに目がいってしまった。
抱き枕にされた感触が蘇ってくる。
ああ、せっかく邪念を抑え込んだというに、この女は……
「もし僕が勝ったら……そのスカートをたくし上げて、パンツを見せてくれ」
「は、はぁ!?」
「パンツを見たい。そして恥ずかしがるカヨの顔も見たい」
欲望があふれ出し、徹夜明けの変なテンションで心のままに口走ってしまった。
普段こんな事を言えばぶん殴られるだろうが、どうせ今から負ければ木刀でぶっ叩かれるのだ。
あわよくば叩かれずにパンツが観れる。考えてみれば素晴らしいシュチュエーションだ。
彼女は肩を震わせて指をボキボキと鳴らし、怒りのボルテージを上げていった。
「いいわ! 私が勝ったらアンタをしごき倒す! 二度とそんな事を言えないようにね!」
「……決まりだな」
決まりだ。
そう、僕は負けれられないことが決まってしまった。
少し……というか、かなり後悔した。もう少し控えめな要求にするべきだったかもしれない。
「ルールは?」
「ここでやってる模擬戦同様に、攻撃魔法は無し」
「分かった」
僕が怒らせたとは言え、物凄い形相で木刀を構えるカヨ。
さっきまで天使の寝顔だったのに……
「ーーアジリティゲイン!」
カヨが素早さを上げる補助魔法を唱える。
戦いが始まってしまった。
悶々というかモヤモヤというか、そんな変な気分だ。
パンを齧って軽く朝食を取り、邪念を払う為に朝稽古をする事にした。
誰もいない訓練所で太刀を振るう。
あ、今は首切丸か。よろしくな首切丸。
魔道具の回路を発動させる為には、居合切りを練習する必要がある。
しかも使う場面は対魔物ではなく、対人でだ。
また、スペルブレイクという魔法は元々動かない結界などを破壊する魔法のようだ。
一応は動いている魔法に当てればある程度消すことができる。
だからこの首切丸は居合切りで攻撃魔法を軽減できるのだ。
シュゲムに言うと「そんなことをせずとも、避ければよかろう」と言われた。
ちなみに彼は非常に現実主義者かつ合理主義者だと思う。 全ての質問にマジレスされた気がする。だから参考になるのだが、ロマンは無かった。
また、居合切りというか、当たり前の話だが、刀身が長いと鞘から抜きにくい。つまり太刀は結構抜きにくい。
鞘も腰帯の留め具につけるよりも、左手で直接持った方が簡単に抜ける。
居合を行う上で、鞘の自由度が高い方がいいようだ。
弓のように鞘を放り投げる訳にはいかないので、留め具を巻き取り式にしてみてもいいかもしれない。
試行錯誤しながら刀を振るう。
はやり剣はいい、邪念が消える。
悶々とした気持ちは汗とともに流れていった。
…………
しばらくして後ろから足音が聞こえてきた。
素振りをやめ、振り返ると邪念の根源がこちらに歩み寄ってきた。
カヨだ。
彼女はスリットの入ったスカートのワンピース……冒険に出る装いをしている。 手には昨日作った刀と、似せて作ったであろう練習用の木剣を持っていた。
そして、何故か目が血走っている。
彼女は刀をベンチに置き、練習用の木剣で僕の持ってきた太刀に似せた木剣を指さす。
「勝負よ……」
「……何だって?」
突然何を言いだすんだこの女は。
説明をしろ、説明を。
「その木刀はダリルに作ってもらった練習用の魔道具なんでしょ? この木刀もそうよ。本気で叩いても死なないわ」
「……本気で叩くつもりなのか?」
「とてもイライラしてるの」
イライラをぶつける相手を探していたのか、この狂戦士は。
ただ、勝負といっても……誰もいないところでやってもなぁ。
正直、絡まれ損のような気がする。
「じゃあ賭けをしよう」
特に何が欲しい訳でもないが、僕は賭けをもちかけてみた。
「賭け?」
「そっちの方が盛り上がるだろ?」
「いいわよ、何を賭けるの?」
「ふーむ」
僕は少し考えた。
ちらりと彼女を見る。スリットから覗く太ももに目がいってしまった。
抱き枕にされた感触が蘇ってくる。
ああ、せっかく邪念を抑え込んだというに、この女は……
「もし僕が勝ったら……そのスカートをたくし上げて、パンツを見せてくれ」
「は、はぁ!?」
「パンツを見たい。そして恥ずかしがるカヨの顔も見たい」
欲望があふれ出し、徹夜明けの変なテンションで心のままに口走ってしまった。
普段こんな事を言えばぶん殴られるだろうが、どうせ今から負ければ木刀でぶっ叩かれるのだ。
あわよくば叩かれずにパンツが観れる。考えてみれば素晴らしいシュチュエーションだ。
彼女は肩を震わせて指をボキボキと鳴らし、怒りのボルテージを上げていった。
「いいわ! 私が勝ったらアンタをしごき倒す! 二度とそんな事を言えないようにね!」
「……決まりだな」
決まりだ。
そう、僕は負けれられないことが決まってしまった。
少し……というか、かなり後悔した。もう少し控えめな要求にするべきだったかもしれない。
「ルールは?」
「ここでやってる模擬戦同様に、攻撃魔法は無し」
「分かった」
僕が怒らせたとは言え、物凄い形相で木刀を構えるカヨ。
さっきまで天使の寝顔だったのに……
「ーーアジリティゲイン!」
カヨが素早さを上げる補助魔法を唱える。
戦いが始まってしまった。
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