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DAY2-4
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「ただいまぁ…」
夜須達に会った後、歩いて数分して自宅にたどり着く。もちろんいつも通り、誰もいない部屋に向かって挨拶をする。
「「お邪魔します」」
続いて後ろの二人も挨拶をする。
「あ、因みに一人暮らしだから誰もいないから。挨拶しても帰ってこないよ」
「え、そうなのか、景花が普通に挨拶したからてっきり彼女か誰かでもいるのかと」
「アリス君、それは彼女がいない僕への当てつけかな?怒るよ?」
「すまん、だからその手に持ってる靴べら置いてくれ頼む」
素直に謝られたので靴べらは元の位置にしまう。
家は常に綺麗な状態にしてあるから、こういう時に困らない。
「そういえば、二人は夜食べていく?いい時間だし」
現在時刻は大体六時過ぎ、一般的な家庭では夕食の時間だろう。
「景花君ご飯作れるの?」
「一人暮らしをしていたら誰だって作るようになるさ、安上がりだからね」
「へぇ!家庭的男子はモテそうだね!」
「なんで家に入れたんだろ…二人への敵意しかわかないんだけど」
「あ、ごめんね!その、彼女がいないことについてのことじゃなくて」
「はぁ…」
大きなため息と共に僕は荷物を下ろす。
家に着いてからのやり取りだけで今日分のエネルギーを使った気がする。
それにしてもなんなんだろうこの二人は。性格も似ているおかげかちょくちょく煽ってくる。畜生。
「もう全てを放棄して寝たい……この二人の相手疲れる…」
「「ごめんって!」」
二人から全力の謝罪を受け、僕はキッチンに向かう。
「あ、そこのバカふた…ん、んっ! そこのバカップルはリビングでイチャついてていいから。荒らさない限り何してもいいけど限度考えてね」
「おい景花、咳払いしても直ってねえぞ」
「さぁ、気のせいじゃ?あ、そういえば二人はアレルギーとかある?」
「私は無いよ~」
「俺もないな」
「了解、それじゃあ少し待っててね」
そうして僕は着慣れたエプロンを着ける。
先程買ってきた材料と今日の気分で何を作るかを考える。
「……早くできるものにするか」
そうして料理に取り掛かる。
いつもなら一人で食べるということで少量、さらに言うなら凝った物を作るのだが今日はそうもいかない。
先程買ってきた豚バラに酒、鶏ガラ、生姜、塩、葫を加えて揉み込む。
フライパンにごま油を入れ、先程の肉を炒める。
その間にレタスをちぎり、玉ねぎ、油揚げ、豆腐、葱を切っておく。
トントントンとリズム良く切っていると
「景花君、ほんとに料理の手際いいね~」
と声がかけられる。
「一人暮らししていると勝手に身に付くものだと思っているのだけれども違うのかな?」
「ん~、今の時代だとコンビニとか冷凍食品で済ませちゃう人の方が多いかもね~」
「あぁ、なるほど」
と、他愛もない会話をする。もちろん手は動かしたままだ。
肉を炒めている隣に小さい鍋を用意し、先程切った野菜を入れる。
肉がいい感じに焼けてきたらレタスを入れて黒胡麻を少々かけ、サッと炒める。
隣の鍋には味噌を溶かし入れる。
今回は他の人も食べるのでしっかりと味見をしておく。
「うん、美味い」
味を確認した後に、肉を大皿に盛り付け、ご飯と味噌汁をよそう。
僕の部屋には偶に従兄弟や兄弟が押しかけてくるため、ある程度の数の皿が常備されている。だからこういう時に困らない。
「はい、どうぞ召し上がれ」
「おお!景花、お前本当に料理できたのか!」
「夜須はご飯いらないかー、しょうがないなー」
「申し訳ありませんでした」
適当に受け流し、僕はご飯を食べ始める。
「いいから冷める前に食べちゃって」
「「いただきます」」
そう言って二人はご飯を食べる。
「あ、美味しい!」
「そりゃ、ありがたい」
「ああ、普通に美味いぞ。流石景花」
「はいはい」
「俺だけ軽いな~」
軽いやり取りをしながら食事をする。偶に数人で食事をすることはあるのだが、やはり食事は一人で食べるよりも人が多い方が美味しく感じるのだろう。
そんなことを考えながら食事をする。
「「ご馳走様でした」」
「はい、お粗末さまです」
「これ、皿は台所でいいか?」
「あ、助かるよありがとう」
「こっちは食べさせてもらったんだからいいんだよ~」
夕ご飯を食べ終わり、食器を片ずける。
「よし、それじゃあ本題に入ろうか」
そう、今日わざわざ僕の部屋に上げたのはご飯を食べるためだけではない。話があると言われたから連れてきたのだ。
「おう、じゃあ少しだけ長くなるけどいいか?」
「可能な限り短くね」
「分かった」
そうして夜須は真面目な顔をして話し出す。
今日はなかなか長い一日になりそうだと思いながらも僕は彼の話を聞くのだった。
夜須達に会った後、歩いて数分して自宅にたどり着く。もちろんいつも通り、誰もいない部屋に向かって挨拶をする。
「「お邪魔します」」
続いて後ろの二人も挨拶をする。
「あ、因みに一人暮らしだから誰もいないから。挨拶しても帰ってこないよ」
「え、そうなのか、景花が普通に挨拶したからてっきり彼女か誰かでもいるのかと」
「アリス君、それは彼女がいない僕への当てつけかな?怒るよ?」
「すまん、だからその手に持ってる靴べら置いてくれ頼む」
素直に謝られたので靴べらは元の位置にしまう。
家は常に綺麗な状態にしてあるから、こういう時に困らない。
「そういえば、二人は夜食べていく?いい時間だし」
現在時刻は大体六時過ぎ、一般的な家庭では夕食の時間だろう。
「景花君ご飯作れるの?」
「一人暮らしをしていたら誰だって作るようになるさ、安上がりだからね」
「へぇ!家庭的男子はモテそうだね!」
「なんで家に入れたんだろ…二人への敵意しかわかないんだけど」
「あ、ごめんね!その、彼女がいないことについてのことじゃなくて」
「はぁ…」
大きなため息と共に僕は荷物を下ろす。
家に着いてからのやり取りだけで今日分のエネルギーを使った気がする。
それにしてもなんなんだろうこの二人は。性格も似ているおかげかちょくちょく煽ってくる。畜生。
「もう全てを放棄して寝たい……この二人の相手疲れる…」
「「ごめんって!」」
二人から全力の謝罪を受け、僕はキッチンに向かう。
「あ、そこのバカふた…ん、んっ! そこのバカップルはリビングでイチャついてていいから。荒らさない限り何してもいいけど限度考えてね」
「おい景花、咳払いしても直ってねえぞ」
「さぁ、気のせいじゃ?あ、そういえば二人はアレルギーとかある?」
「私は無いよ~」
「俺もないな」
「了解、それじゃあ少し待っててね」
そうして僕は着慣れたエプロンを着ける。
先程買ってきた材料と今日の気分で何を作るかを考える。
「……早くできるものにするか」
そうして料理に取り掛かる。
いつもなら一人で食べるということで少量、さらに言うなら凝った物を作るのだが今日はそうもいかない。
先程買ってきた豚バラに酒、鶏ガラ、生姜、塩、葫を加えて揉み込む。
フライパンにごま油を入れ、先程の肉を炒める。
その間にレタスをちぎり、玉ねぎ、油揚げ、豆腐、葱を切っておく。
トントントンとリズム良く切っていると
「景花君、ほんとに料理の手際いいね~」
と声がかけられる。
「一人暮らししていると勝手に身に付くものだと思っているのだけれども違うのかな?」
「ん~、今の時代だとコンビニとか冷凍食品で済ませちゃう人の方が多いかもね~」
「あぁ、なるほど」
と、他愛もない会話をする。もちろん手は動かしたままだ。
肉を炒めている隣に小さい鍋を用意し、先程切った野菜を入れる。
肉がいい感じに焼けてきたらレタスを入れて黒胡麻を少々かけ、サッと炒める。
隣の鍋には味噌を溶かし入れる。
今回は他の人も食べるのでしっかりと味見をしておく。
「うん、美味い」
味を確認した後に、肉を大皿に盛り付け、ご飯と味噌汁をよそう。
僕の部屋には偶に従兄弟や兄弟が押しかけてくるため、ある程度の数の皿が常備されている。だからこういう時に困らない。
「はい、どうぞ召し上がれ」
「おお!景花、お前本当に料理できたのか!」
「夜須はご飯いらないかー、しょうがないなー」
「申し訳ありませんでした」
適当に受け流し、僕はご飯を食べ始める。
「いいから冷める前に食べちゃって」
「「いただきます」」
そう言って二人はご飯を食べる。
「あ、美味しい!」
「そりゃ、ありがたい」
「ああ、普通に美味いぞ。流石景花」
「はいはい」
「俺だけ軽いな~」
軽いやり取りをしながら食事をする。偶に数人で食事をすることはあるのだが、やはり食事は一人で食べるよりも人が多い方が美味しく感じるのだろう。
そんなことを考えながら食事をする。
「「ご馳走様でした」」
「はい、お粗末さまです」
「これ、皿は台所でいいか?」
「あ、助かるよありがとう」
「こっちは食べさせてもらったんだからいいんだよ~」
夕ご飯を食べ終わり、食器を片ずける。
「よし、それじゃあ本題に入ろうか」
そう、今日わざわざ僕の部屋に上げたのはご飯を食べるためだけではない。話があると言われたから連れてきたのだ。
「おう、じゃあ少しだけ長くなるけどいいか?」
「可能な限り短くね」
「分かった」
そうして夜須は真面目な顔をして話し出す。
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