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第19話『ほろ苦い過去』

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「…だ…誰だ!?」
「…あ…あ…」

青年はろれつが回らないようだった。俺たちは青年が落ち着いた時に話を聞いた。

この青年は二週間くらい前に誘拐された金持ちの息子らしく、身代金が支払われるまで監禁されているという。監禁中に暴行され続けて一週間。そんな時に俺たちが来たそうだ。そして、その誘拐犯たちは今はいない。

「…じゃ…じゃあ…早く助けないと…」
「お…おい待て!…外から音がしねぇか…?」

誘拐犯たちが帰って来たのだ。誘拐犯は鍵を開け、中に入ってきた。

「い…急げ!」

俺とジョブズは青年を担いで窓の外へ出した。

「…早く俺たちも!」

その時、こちらに足音が向かってきた。

「ドアを閉めないと!」

俺はドアの前をタンスで塞いだ。

「…トシジ君!早く君も!」
「ああ!」

俺は急いでジョブズの肩に乗った。そして、外へ出た。だが、誘拐犯が部屋に入ってきた。

「なんだテメェら!?」
「おい!アイツがいねぇぞ!」
「早く!ジョブズ!!」

俺は手を出した。だが、ジョブズは誘拐犯たちへ突進した。

「うお!?」
「早く!このままじゃ…追いつかれちゃう!」
「ジョブズ!お前を見捨てるなんて…」
「早く行ってよ!!」

その時の俺は、恐怖心が勝っていた。俺は急いで山から逃げた。




その後、警察とその廃屋へ行ったが、もぬけの殻だった。ジョブズはどうなったのか分からない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「…おい!」

俺は廃屋に入ろうとしている幼少の俺とジョブズに話しかけた。

「な…なんすか…」
「ここは俺のマイホームだ。さっさとどっか行け!」
「…す…すいません!……トシジ君…行こう…」
「…なんだよ…」

幼少の俺とジョブズは山を降りていった。

「…じゃあさ…僕の家で工作しようよ!」
「またかよ…工作の何が楽しんだ…?」

ジョブズは工作好きだった。しょっちゅうガラクタを拾ってきてそれらを組み合わせていた。この頃のジョブズのおかげで、今の俺はあるようなもんだ。

「…さて…行くか…」

俺は廃屋の中へ入っていった。


ガッシャャンッ!!!


ドアを蹴り破り、監禁部屋に進んだ。

「…だ…誰!?」
「いいから、助けてやる」

俺は青年を起き上がらせ、入り口に向かった。

「…なんだこりゃあ!?」

丁度誘拐犯が戻ってきたようだ。数は3人だ。

「…テメェか!?」
「青年…下がってな」

俺は構えた。

「…テメェらには借りがあるんでな」
「何意味のわかんねぇこと言ってんだ、お前ら!このガキをぶっ殺すぞ!目撃者は生かしちゃおけねぇ!」

そして、誘拐犯たちは襲ってきた。


ドゴォ!


「いげぇぇぇ!?」

俺はストレートパンチをかました。

「こっちも生かしちゃおけねぇよ!お前らをな!」
「うおお!このガキぃ!」

二人同時に襲ってきた。

ドゴォァ!!

「ぐぁぁ!?」
「この…」

ドガァァ!!

「グオォ!?」
「屑どもが!!!」







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その後、誘拐犯を警察に引き渡したトシジは公園に戻り、座っていた。

「…お前か……アイツらをぶっ倒したのは…」

巨漢の男とそれを囲むように取り巻きの男が8人、トシジの方に向かってきた。

「…あのガキの親から6500万引き出そうとしたのに…お前のせいでパァだ!」
「……お前らか…あの誘拐事件の裏で糸引いてたのは…」

トシジは立ち上がった。男たちも向かってくる。

「おい!お前ら!コイツに[ラッドゴシップ]の恐ろしさを思い知らせてやれ!」
「はい!!!」

男たちはトシジを囲み、武器を構えた。そんな時

「…そうでなくても俺は機嫌が悪ぃんだ…全身の骨を砕いてやる!」

巨漢の男が鉄パイプで殴りかかってきた。


ズパァァンッ!!!




「…え…?」

巨漢の男はトシジの一撃で吹き飛んでいた。

「…機嫌が悪い…?………それはこっちもだ!!!」

トシジは目の前の男の首を鷲掴みにし、他の男たちへ投げつけた。

「ぐわぁぁ!!」
「グォォ!?」

「ひ…怯むな!…フクロにしろ!!」
「おおおおお!!!」

トシジは向かってきた男たちを殴り飛ばした。

ドチャッ

「…ひ…ひぃ!」
「……人間じゃない…」

その時のトシジは一人1秒で倒してしまうほどに手・加・減・をしていなかった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「…トシジ!…スマン…何も手掛かりは無かった…」
「そんなこと言って…信長様ずっと『めいどきっさ』って所に行ってたじゃないですかぁ!」
「馬鹿!!」

信長たちは帰ってきた。

「トシジの方は…?」
「………何も無かった」
「ええ!?じゃあ…どうすれば…」

みんなは考えていたが、俺は言った。

「まあまあ!今日は遅いし、どっかに泊まらないとな!」
「それもそうだな!」
「よし!行こう!」

その言葉を待っていたかのように俺たちの目の前には穴ができた。

「え…ええ!?」
「…どうして!?」
「………実は気付かない間に歴史が変わってたりしてな。お前らがついて来てくれたおかげで…」
「…なにそれ…」
「まぁ!さっさと行くっすよ!」
「…そうですね」

みんなは穴を見ながら言った。

「うっし!じゃあ行くか!」

これで過去の時代ともサヨナラか…俺たちは穴に入っていった。









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