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After-story
ローレンスと死神の鎌 前編
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数年前。
悪政を強いるジュリアン王らは、革命軍率いるリカルドに打たれた。
革命は成功し、新たにリカルドを王とし、国は名前を変えた。
国の行く末を見守り、自ら命を絶とうとした集団が居た。その集団の名は死神の鎌。
革命によりリカルドが王となり、自分らの役割は終えたと言う彼らに、リカルド王は新たな命令を与えた。
「君達は幸せになり、最後までその命を全うしなさい」
死神の鎌は当然異を唱えた。
王が変わったとはいえ、自分たちが生きていれば国に不都合な事が起きる可能性がある。
もし自分たちの存在を知る者が、今まで死神の鎌が行いを知り、その情報を悪用すれば国を揺るがす事態に陥るかもしれないと。
「ですので、我々はここで死ぬべきです」
それでもリカルド王は、首を縦に振らなかった。
根負けをした死神の鎌は、ただ「分かりました」と答えるしかなかった。
彼らは仮面を捨て、新たな人生を生きると心に誓った。
-ローレンス視点-
「ほんで、なんでオノレらワイの家におんねん」
朝起きると、ワイのベッドの前には、かしづく死神の鎌の集団がおった。
ワイの素っ頓狂な声で、雇った護衛の人間たちが部屋まで駆けつけてきてひと悶着起こし、今やっと落ち着いてきた所や。
「ハッ! リカルド様から幸せになるようにと命を受け、そのためにまずローレンス様から常識を学ぶようにと仰せつかりました次第でございます」
「なんでワイなんや……」
「申し訳ありません。やはりご迷惑だったでしょうか」
既に大迷惑や。そう言いそうになった言葉を必死に飲み込む。
周りを見渡すと、雇った護衛の人間たちは一瞬で制圧され、今は全員横たわって気絶させられている。
多分ここで迷惑やと言えば、こいつらは即座に出ていくやろう。
「……ワイの護衛の仕事をしながら。それが条件や」
「心遣い、感謝いたします」
こないな物騒な集団を野放しにすれば、何しでかすか分からん。
万が一の事があれば、ワイを頼るように言うたリカルド様に何言われるか分からへん。
リカルド様に恩を売りつけつつ、腕のええ護衛を雇えたとここは割り切るしかあらへんな。
こいつらの事は以前使たから、ある程度は能力を把握してる。
護衛をさせながら常識を覚えさせ、それぞれがやりたいと思える事が出来たらサポートするだけやな。
こうして半年が経った。
「お世話になりました」
「こっちこそ十分世話になったわ。もし困ったことがあったらいつでも頼ってや」
「はい。ありがとうございました」
やや硬い笑顔を見せ、去っていく元死神の鎌の青年。
一人、また一人と死神の鎌は仮面を捨て、新たな道を歩き出した。
そして、気が付けば死神の鎌も最後の一人になっとった。
悪政を強いるジュリアン王らは、革命軍率いるリカルドに打たれた。
革命は成功し、新たにリカルドを王とし、国は名前を変えた。
国の行く末を見守り、自ら命を絶とうとした集団が居た。その集団の名は死神の鎌。
革命によりリカルドが王となり、自分らの役割は終えたと言う彼らに、リカルド王は新たな命令を与えた。
「君達は幸せになり、最後までその命を全うしなさい」
死神の鎌は当然異を唱えた。
王が変わったとはいえ、自分たちが生きていれば国に不都合な事が起きる可能性がある。
もし自分たちの存在を知る者が、今まで死神の鎌が行いを知り、その情報を悪用すれば国を揺るがす事態に陥るかもしれないと。
「ですので、我々はここで死ぬべきです」
それでもリカルド王は、首を縦に振らなかった。
根負けをした死神の鎌は、ただ「分かりました」と答えるしかなかった。
彼らは仮面を捨て、新たな人生を生きると心に誓った。
-ローレンス視点-
「ほんで、なんでオノレらワイの家におんねん」
朝起きると、ワイのベッドの前には、かしづく死神の鎌の集団がおった。
ワイの素っ頓狂な声で、雇った護衛の人間たちが部屋まで駆けつけてきてひと悶着起こし、今やっと落ち着いてきた所や。
「ハッ! リカルド様から幸せになるようにと命を受け、そのためにまずローレンス様から常識を学ぶようにと仰せつかりました次第でございます」
「なんでワイなんや……」
「申し訳ありません。やはりご迷惑だったでしょうか」
既に大迷惑や。そう言いそうになった言葉を必死に飲み込む。
周りを見渡すと、雇った護衛の人間たちは一瞬で制圧され、今は全員横たわって気絶させられている。
多分ここで迷惑やと言えば、こいつらは即座に出ていくやろう。
「……ワイの護衛の仕事をしながら。それが条件や」
「心遣い、感謝いたします」
こないな物騒な集団を野放しにすれば、何しでかすか分からん。
万が一の事があれば、ワイを頼るように言うたリカルド様に何言われるか分からへん。
リカルド様に恩を売りつけつつ、腕のええ護衛を雇えたとここは割り切るしかあらへんな。
こいつらの事は以前使たから、ある程度は能力を把握してる。
護衛をさせながら常識を覚えさせ、それぞれがやりたいと思える事が出来たらサポートするだけやな。
こうして半年が経った。
「お世話になりました」
「こっちこそ十分世話になったわ。もし困ったことがあったらいつでも頼ってや」
「はい。ありがとうございました」
やや硬い笑顔を見せ、去っていく元死神の鎌の青年。
一人、また一人と死神の鎌は仮面を捨て、新たな道を歩き出した。
そして、気が付けば死神の鎌も最後の一人になっとった。
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