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22.平凡令嬢、民を味方につける。
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国境付近には、多くの人々が集まっていました。
ここに居る者は皆、これからヴェラへ攻める、それを知って駆け付けた義勇軍です。
子供から大人まで、性別も関係なく、老若男女延べ10万は超えるでしょう。
ですが、その殆どが戦うすべも知らない一般人です。まともに武器を持ったことすらない人ばかりでしょう。
そんな市民が戦えるのでしょうか?
いいえ。戦わないといけないのです。
彼らは皆奪われた人達です。着る物を、食べる物を、住む所を、そして大切な家族を。
ここに居るのは、私を含め、皆奪われたものを奪い返すために立ち上がった者たちです。
私とリカルド様に気づくと、歓声が上がります。
「お前たち、時は来た!」
リカルド様は人々の前に立ち、剣を天高く掲げました。
その隣に、私はそっと寄り添います。
「私は今までずっと苦しめ続けられてきた! 名声を! 名誉を! 権力を! 全て兄が私から奪い去った!」
リカルド様が声を上げます。
「そして、私から奪っただけではない。今度は守るべき民を苦しめ、貴方達からも奪い始めた! だが、それも今日までだ!」
演説を前に、更に歓声が上がっていきます。
「諸君! 奪われたらどうすれば良い!?」
「奪い返せ!!!」
「奪おうとしてくる者には、どうすれば良い!?」
「死の制裁を!!!」
「そうだ! 我ら奪われた物は違えども、奪われる悲しみを知る同胞だ! さぁ同胞よ! 今こそ立ち上がれ!」
「オォォォォォォォッ!!!!!」
ひと際大きくなる歓声。そこに悲鳴が混じりました。
突如大きな影が、空から降りてきたのです。
「我が名はバハムート。かつては皇帝竜と魔王に肩を並べし者。そして、今はリカルド、パオラの盟友である! 我も共に戦おう!」
「さぁ。平和の為に! 進みましょう!」
私が声を上げると、それに合わせてバハムートが雄たけびを上げます。
もはや、興奮で何を言ってるのかすら分からないほどの歓声を背に、私は歩き出しました。
ここに居る者は皆、これからヴェラへ攻める、それを知って駆け付けた義勇軍です。
子供から大人まで、性別も関係なく、老若男女延べ10万は超えるでしょう。
ですが、その殆どが戦うすべも知らない一般人です。まともに武器を持ったことすらない人ばかりでしょう。
そんな市民が戦えるのでしょうか?
いいえ。戦わないといけないのです。
彼らは皆奪われた人達です。着る物を、食べる物を、住む所を、そして大切な家族を。
ここに居るのは、私を含め、皆奪われたものを奪い返すために立ち上がった者たちです。
私とリカルド様に気づくと、歓声が上がります。
「お前たち、時は来た!」
リカルド様は人々の前に立ち、剣を天高く掲げました。
その隣に、私はそっと寄り添います。
「私は今までずっと苦しめ続けられてきた! 名声を! 名誉を! 権力を! 全て兄が私から奪い去った!」
リカルド様が声を上げます。
「そして、私から奪っただけではない。今度は守るべき民を苦しめ、貴方達からも奪い始めた! だが、それも今日までだ!」
演説を前に、更に歓声が上がっていきます。
「諸君! 奪われたらどうすれば良い!?」
「奪い返せ!!!」
「奪おうとしてくる者には、どうすれば良い!?」
「死の制裁を!!!」
「そうだ! 我ら奪われた物は違えども、奪われる悲しみを知る同胞だ! さぁ同胞よ! 今こそ立ち上がれ!」
「オォォォォォォォッ!!!!!」
ひと際大きくなる歓声。そこに悲鳴が混じりました。
突如大きな影が、空から降りてきたのです。
「我が名はバハムート。かつては皇帝竜と魔王に肩を並べし者。そして、今はリカルド、パオラの盟友である! 我も共に戦おう!」
「さぁ。平和の為に! 進みましょう!」
私が声を上げると、それに合わせてバハムートが雄たけびを上げます。
もはや、興奮で何を言ってるのかすら分からないほどの歓声を背に、私は歩き出しました。
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