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第2話「GMコール」

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「ッ!?」

 目が覚め、勢いよく上半身を起こす。
 そうだ、俺、さっきナイフで刺されて。
 
「あれ?」

 胸元をペタペタしてみるが、先ほど刺された跡が無い。
 もしかして、治療してもらったのかと思い、ペロンと服をめくってみるものの傷跡すらない。
 さっきのは……夢……だったのか?

 なるほど。俺は夢を見ていたのか。
 痛かった気がするけど、リアルな夢だったな。
 出来る事ならあんな夢はもう二度と見たくない。
 無事だった事に安心し、ほっと、一息つく。

「それより、ここどこだ?」

 安心したのもつかの間、俺は知らない場所に居た。
 いや、知らない場所じゃない! 知っている場所・・・・・・・だ!
 数メートルサイズの小さな島に架け橋がしており、所々木に覆われている。
 NMOで初心者がレベリングするのによく使われるプルン島だ。
 その証拠に、俺の周りにはノンアクティブモンスターのカラフルなプルン達が、その体を震わせてポヨンポヨンしている。
 考えてみれば、今俺が着ている服もNMOの物だ。
 と言うとNMOをしたまま寝てしまったのか?

 いや、それはおかしい。
 先ほど俺は自分の服をめくったが、このゲームは全年齢対象だ。服も一部を覗いてめくったりする事なんて出来ないはず。
 そんなアップデートがあるとは、聞いた事もないが。

「まいいや」

 とりあえずログアウトしよう。
 一旦現実世界の戻ろう。

「あれ?」

 本日二度目の「あれ?」だ。
 おかしくないか? ログアウトが出来ない?
 いや、そもそもステータス欄すら出せなくなっている。

 わけがわからない。ググろうにもログアウトしない事には出来ないし。
 仕方ない。近くに首都カルドがあるし、そこで誰かに聞いてみよう。
 もしかしたら、何かのバグでログアウトできなくなってるだけかもしれない。
 他のプレイヤーに頼んで、運営に連絡してもらうしかないか。
 ここからならそう遠くないし、さっさと行くかな。
 あまり長い時間ログインしてると、親に叱られるし。


 ☆ ☆ ☆


「何を言ってるんだアンタ?」

 首都ガルドについた俺は、本日何度目かの「おかしい」と言う思考をしていた。
 石畳で舗装された道路の隅で、腕を組み今起きている事を考えて居る。

 俺がログアウト出来ない事を伝えても、皆口を揃えて「何言ってるんだ?」と返事が返ってくるだけだ。
 NPCを疑ったが、こちらの話しかけにちゃんと対応している所を見ると、とてもNPCには思えない。

 建物が綺麗に整った街並みは、どうみてもNMOで見慣れた首都だ。
 街の真ん中にある一際大きい建物は冒険者ギルドだし。遠目に見える城はミズガルド城なはず。
 他にも大聖堂やらなにやら、どれも見覚えのある建物ばかりだ。

 仕方ない。もうちょっと調べてみるか。
 そうだな、冒険者ギルドに行くか。
 あそこなら資金稼ぎに来ている連中も多いから、今の俺が立たされた状況について、何か情報を持っている可能性が高い。
 それに、確か受付嬢がGM(ゲームマスター)コールにも対応していたはず。
 GMコールで運営に繋いでもらえれば、解決するかもしれない。

 俺は冒険者ギルドに向かって歩き出した。
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