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第4章

ドーガ視点「よぅ。昼間は世話になったな」

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 -ドーガパーティ-
 -ドーガ視点-


 いい加減、我慢の限界だった。
 なんでこの俺が我慢しなくちゃいけないだ。

 宿屋のベッドに座り、今までの事を振り帰る。
 アンリの事、ミーシャの事。
 俺は今まで出来る限り我慢してきて。足を引っ張る役立たずの為に体を張って頑張って来た。 

 しばらく考えて、一つの結論に至った。俺が我慢する必要なんて、どこにもなかったんだ。
 アンリをボコボコにして金品を奪ったり、ミーシャを切り捨てた事をギルドに咎められはした。
 だが、次は無いぞと言いながらも、なんだかんだでギルドは俺を処罰しようとしない。 

 何故か?
 答えは簡単だ。俺が優秀だからだ。
 他の冒険者と違い、俺は優秀だ。冒険者ギルドの財産と言っても良い。
 だから許されているのだ。いや、俺が正しいと理解してくれていると言った方が良いか。

「だったら、やるしかねぇよな」

 それなのに我慢していたなんて。俺はどうやら優し過ぎたようだ。
 お人好しの度が過ぎたな。

「行くか」

 俺は剣を腰にかけ、宿を出た。


 ★ ★ ★


 夜の街を歩く。
 辺り一面真っ暗で、道は酒場から漏れる光だけが頼りだ。
 あてもなく歩いた。

「見つけた」

 俺は無意識的に口角が上がるのを感じる。俺の前からドランが歩いてくるのが見えたからだ。
 他の冒険者と飲み歩いていたのだろう。ふらふらした千鳥足で、他の冒険者と肩を並べて歩いてやがる。
 ヘタクソな歌を歌いながら、俺の横を抜けて行った。

 どうやら俺に気づいて居ないようだ。これは好機。
 暗闇の中、こっそり後を付けていく。

「おっと、俺はちょっとションベンしてから帰るわ」

「そうか、じゃあまたな」

 そう言って冒険者と別れ、暗がりの路地裏へと入って行った。
 どうやら運は俺に向いてるようだ。

 鼻歌を歌いながらズボンを下げ、ションベンをしているドラン。
 足音を立てないようにそっと近づいた。 

「よぅ。昼間は世話になったな」

「あぁ?」

 間抜けな声を出しながら振り返るドラン。その背中目掛け剣を突き付けた。

「……えっ?」

 背中から刺した剣は、貫通し腹から生えたようになっている。
 酔っぱらいドランが、やっとそこで理解したようだ。

「お前っ」

「おせぇ!」

 ドランが腰に掛けた剣に手をかけようとする前に、俺がそれを引き抜き奪った。
 そして、その剣で今度は首を貫いた。

「かっ……フシュ……」

 ドランが必死に声を出そうとするが、貫かれた喉からシューシューと空気の出る音がするだけだ。 
 剣を引き抜くと、ドランはバタンと倒れ、力なく目だけ俺の方に向けた。

「ざまぁないな!」

 血だまりが広がり、段々と光の失っていくドランの目を見て俺は満足げに笑った。

「まだ生きてるみたいだし、もう少し楽しませてもらうぜ」

 動く体力はもう無いというのに、剣で突き刺すとビクンビクンと動き、時折何か蠢いているのが面白い。
 完全に動かなくなるまで、ドランを串刺しにして遊んでやった。

 俺に逆らうという事がどういう事か、これで分かっただろう。
 分かった所で、もう遅いんだがな。

 はぁ、最高の気分だ。思わず笑ってしまう。
 昼間は俺の事を馬鹿にして笑っていた奴が、俺に殺され笑われているんだ。
 あー愉快愉快。俺はドランの剣をその場に投げ捨て、自分の宿まで帰った。
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