「専門職に劣るからいらない」とパーティから追放された万能勇者、教育係として新人と組んだらヤベェ奴らだった。俺を追放した連中は自滅してるもよう
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第4章
第2話「もしかしたら、なんとか出来るかもしれない」
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「これは失礼を」
再会の喜びを分かち合ったあと、気が付いたかのようにこちらへ挨拶をするのは獣人の男性。
俺よりは遥かに年上だが、ベルの父親というにはまだ若く感じる。
その隣に寄り添うようにして、涙を流している茶色い髪をストレートに伸ばした女性は、ベルの母親だろう。こちらも若い。
実は兄と姉ですと言われても、信じてしまいそうな程だ。
だが、以前ベルは自分が兄弟の中では一番年上と言っていたので、彼らは兄弟ではないだろう。
種族が違うから、若く見えるだけなのかもしれない。
実際俺から見たらエルフなんて、20を超えたら20才だろうが100歳だろうが同じに見えるが、エルフ間では見分けがつくらしい。
そんな風に思ってまじまじ見ていたせいか、ベルの両親からは警戒の色が見られる。
無礼が過ぎたな。警戒を解くためにまずは挨拶からだ。
「初めまして。お父様お母様。アンリと申します」
「お父様!?」
「お母様!?」
モルガンに頭をはたかれた。割と強めに。
何がおかしかっただろうか? 失礼のないように挨拶したつもりなのだが。
「アンリ、一応聞くけど。貴方わざとやってるんじゃないですよね?」
「何がだ?」
「アンちゃん。それじゃあベルちゃんの父ちゃん母ちゃんに結婚報告しに来たみたいだよ?」
「なっ!?」
まさか、クーにまでバカにを見るような目で見られただと!?
いや、それより結婚って……アホか。
「ベル。何とか言ってやれ」
「えっ。不束者ですが、よろしくお願いします」
何故かまたモルガンに頭をはたかれた。
なんで俺だよ。今のはベルが悪いだろ。
「ベルと俺はパーティで、こいつらと同じパーティの仲間だ」
デカいため息が出た。
言葉を選んだつもりがあれこれ言われたので、いつもの口調に戻す事にした。
「パーティ……ベル、お前冒険者になったのか?」
「うん。ボク、アンリさんに指導してもらって立派な冒険者になったんだよ!」
「ベル。あなたが冒険者だなんて。ついこの間まで泣き虫だったあなたが……」
「うん。強くなったんだ!」
ついさっきまでボーアクスに追いかけ回されて泣いてたけどな。
ここは空気を読んで、あえて言わないでおこう。
「積もる話もあるだろう。もし迷惑でなければ今晩泊めてもらいたいのだが大丈夫か?」
「是非お願いします。と言っても、おもてなしする事が出来ないので申し訳ないですが……」
本当に申し訳なさそうな顔をされた。
食い扶持を減らすために、ベルを追い出すような形になったのだ。本当にもてなせないのだろうな
よく見ると、両親とも少し痩せこけて見える。
いや、両親だけじゃなく、集落の人達もか。
「手土産代わりに道中で狩って来たボーアクスの肉だが、よければ」
ふむ。集落の人も見てるしここは。
「集落の皆で食べないか?」
もしここでベル家族だけで食べれば、村八分にされる可能性がある。
食べ物の恨みというのは、それだけ怖いのだ。
俺の言葉に、集落の人達が次々と集まってくる。
そのまま押されるように、集落の中で一番大きい家に通された。ベルの家は集落の長なのかと思ったが違った。
全員で食べられる場所として、勝手に長の家に乗り込んだだけだ。
困惑する長だったが、食料を分けてもらえると聞くと飛び上がって喜び、すぐさま集落の人達を集め始めた。
集まった集落の人達は、全員が獣人だ。別に珍しい事ではない。
集落単位では、種族が別な方が珍しい方だ。
「先ほどはお恥ずかしい所をお見せしました。なにぶん肉は久しぶりなので」
まるで宴のように、皆が笑顔ではしゃぎながら肉を食べている。
ベルの家で数日分の貯えになるだろうと思っていた肉が、次々と無くなっていく。
「いや、構わない」
むしろこれだけ素直に喜ばれると、気分が良くなる。
ベルは少し離れた所で家族と仲良く食事をしている。家族水入らずで過ごさせたいから一緒に食事するのは遠慮しておいた。
しかし、皆がワイワイしているのだが、何かが足りない。
そうか、酒だ。酒が無いにしても乾杯のコップもない。
肉料理でむせているのに、水を飲もうとしない。つまり水が無いのだろう。
俺は近くの水瓶を見る。中は干上がって空だ。
「申し訳ありません。水をお出ししたいのですが見ての通り」
「いや、構わない」
俺は瓶に手を入れて『水を出す』スキルを使い、瓶いっぱいに水を入れた。
「足りなければいくらでも出せるぞ」
俺の言葉に反応し、皆が一斉に家に戻るとコップを持って次々と集まってくる。
水を汲むと、口々にお礼を言ってくる。
「アンちゃんばっかりずるい! クーも出来るぞ!」
別に対抗しなくて良いが、場所が分散した方が取り合いにならないから良いか。
今までのやり取りで、この集落を取り巻く状況が大体読めた。
この集落に井戸はあるのに水が無いという事は、今は井戸の水が枯れているのだろう。
ベルは父親から狩りを教わったと言っているのに、皆が肉に必死にありつくという事は、何らかの理由で狩りがしづらい、もしくは出来ないのだろう。
実際集落の近くには、狩りに適した雑木林があるというのに。
ベルは俺にその状況をどうにかして欲しいと思って、ここに来たわけじゃないだろう。
本当に、ただ家族の顔を見たかっただけなんだと思う。
だからこそ、余計に何とかしてやりたいと思った。
ベルの為でもあるが、集落には子供も居る。俺とは縁もゆかりもないただの子供だ。
だけど、こいつらを理不尽な目に合わせたくない。理不尽に押しつぶされて泣きわめくガキは、昔の俺だけで十分だ。
「なぁ、この集落の状況を教えてくれないか。もしかしたら、なんとか出来るかもしれない」
再会の喜びを分かち合ったあと、気が付いたかのようにこちらへ挨拶をするのは獣人の男性。
俺よりは遥かに年上だが、ベルの父親というにはまだ若く感じる。
その隣に寄り添うようにして、涙を流している茶色い髪をストレートに伸ばした女性は、ベルの母親だろう。こちらも若い。
実は兄と姉ですと言われても、信じてしまいそうな程だ。
だが、以前ベルは自分が兄弟の中では一番年上と言っていたので、彼らは兄弟ではないだろう。
種族が違うから、若く見えるだけなのかもしれない。
実際俺から見たらエルフなんて、20を超えたら20才だろうが100歳だろうが同じに見えるが、エルフ間では見分けがつくらしい。
そんな風に思ってまじまじ見ていたせいか、ベルの両親からは警戒の色が見られる。
無礼が過ぎたな。警戒を解くためにまずは挨拶からだ。
「初めまして。お父様お母様。アンリと申します」
「お父様!?」
「お母様!?」
モルガンに頭をはたかれた。割と強めに。
何がおかしかっただろうか? 失礼のないように挨拶したつもりなのだが。
「アンリ、一応聞くけど。貴方わざとやってるんじゃないですよね?」
「何がだ?」
「アンちゃん。それじゃあベルちゃんの父ちゃん母ちゃんに結婚報告しに来たみたいだよ?」
「なっ!?」
まさか、クーにまでバカにを見るような目で見られただと!?
いや、それより結婚って……アホか。
「ベル。何とか言ってやれ」
「えっ。不束者ですが、よろしくお願いします」
何故かまたモルガンに頭をはたかれた。
なんで俺だよ。今のはベルが悪いだろ。
「ベルと俺はパーティで、こいつらと同じパーティの仲間だ」
デカいため息が出た。
言葉を選んだつもりがあれこれ言われたので、いつもの口調に戻す事にした。
「パーティ……ベル、お前冒険者になったのか?」
「うん。ボク、アンリさんに指導してもらって立派な冒険者になったんだよ!」
「ベル。あなたが冒険者だなんて。ついこの間まで泣き虫だったあなたが……」
「うん。強くなったんだ!」
ついさっきまでボーアクスに追いかけ回されて泣いてたけどな。
ここは空気を読んで、あえて言わないでおこう。
「積もる話もあるだろう。もし迷惑でなければ今晩泊めてもらいたいのだが大丈夫か?」
「是非お願いします。と言っても、おもてなしする事が出来ないので申し訳ないですが……」
本当に申し訳なさそうな顔をされた。
食い扶持を減らすために、ベルを追い出すような形になったのだ。本当にもてなせないのだろうな
よく見ると、両親とも少し痩せこけて見える。
いや、両親だけじゃなく、集落の人達もか。
「手土産代わりに道中で狩って来たボーアクスの肉だが、よければ」
ふむ。集落の人も見てるしここは。
「集落の皆で食べないか?」
もしここでベル家族だけで食べれば、村八分にされる可能性がある。
食べ物の恨みというのは、それだけ怖いのだ。
俺の言葉に、集落の人達が次々と集まってくる。
そのまま押されるように、集落の中で一番大きい家に通された。ベルの家は集落の長なのかと思ったが違った。
全員で食べられる場所として、勝手に長の家に乗り込んだだけだ。
困惑する長だったが、食料を分けてもらえると聞くと飛び上がって喜び、すぐさま集落の人達を集め始めた。
集まった集落の人達は、全員が獣人だ。別に珍しい事ではない。
集落単位では、種族が別な方が珍しい方だ。
「先ほどはお恥ずかしい所をお見せしました。なにぶん肉は久しぶりなので」
まるで宴のように、皆が笑顔ではしゃぎながら肉を食べている。
ベルの家で数日分の貯えになるだろうと思っていた肉が、次々と無くなっていく。
「いや、構わない」
むしろこれだけ素直に喜ばれると、気分が良くなる。
ベルは少し離れた所で家族と仲良く食事をしている。家族水入らずで過ごさせたいから一緒に食事するのは遠慮しておいた。
しかし、皆がワイワイしているのだが、何かが足りない。
そうか、酒だ。酒が無いにしても乾杯のコップもない。
肉料理でむせているのに、水を飲もうとしない。つまり水が無いのだろう。
俺は近くの水瓶を見る。中は干上がって空だ。
「申し訳ありません。水をお出ししたいのですが見ての通り」
「いや、構わない」
俺は瓶に手を入れて『水を出す』スキルを使い、瓶いっぱいに水を入れた。
「足りなければいくらでも出せるぞ」
俺の言葉に反応し、皆が一斉に家に戻るとコップを持って次々と集まってくる。
水を汲むと、口々にお礼を言ってくる。
「アンちゃんばっかりずるい! クーも出来るぞ!」
別に対抗しなくて良いが、場所が分散した方が取り合いにならないから良いか。
今までのやり取りで、この集落を取り巻く状況が大体読めた。
この集落に井戸はあるのに水が無いという事は、今は井戸の水が枯れているのだろう。
ベルは父親から狩りを教わったと言っているのに、皆が肉に必死にありつくという事は、何らかの理由で狩りがしづらい、もしくは出来ないのだろう。
実際集落の近くには、狩りに適した雑木林があるというのに。
ベルは俺にその状況をどうにかして欲しいと思って、ここに来たわけじゃないだろう。
本当に、ただ家族の顔を見たかっただけなんだと思う。
だからこそ、余計に何とかしてやりたいと思った。
ベルの為でもあるが、集落には子供も居る。俺とは縁もゆかりもないただの子供だ。
だけど、こいつらを理不尽な目に合わせたくない。理不尽に押しつぶされて泣きわめくガキは、昔の俺だけで十分だ。
「なぁ、この集落の状況を教えてくれないか。もしかしたら、なんとか出来るかもしれない」
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