「専門職に劣るからいらない」とパーティから追放された万能勇者、教育係として新人と組んだらヤベェ奴らだった。俺を追放した連中は自滅してるもよう
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
文字の大きさ
大中小
8 / 50
第1章
第8話「そんな状態になっても執着するとは、大したもんだよ」
しおりを挟む
どうやら、モンスターは俺に興味を示さないようだ。
理由は分からないが、このままここで考えているわけにもいかないな。まずはベルを助けるのが先決だ。
補助魔法がかかってる間は良いが、効果が切れたらすぐにでも追いつかれてしまうだろう。
もし逃げ切れたとしても、街まで魔物を引き連れて行ってしまったら騒ぎになる。
その時は、俺もベルも冒険者資格を剥奪は免れないだろう。そしたら明日の生活もままならなくなる。
「いやぁあああああああ!!!」
「チィ」
このまま地上を走っても追いつくのに時間がかかるな。
俺はひょいと木に登り、木々を足場にベルの元へ急いだ。
見つけた!
傍から見ると、モンスターを引き連れて行進してるように見えなくもないな。
辺りを見渡してみる。周囲に他の冒険者は居ないようだし、一気にやらせてもらうか。
先回りして、ベルが通るであろう道で、魔法を設置して待ち構える。
泣き叫びながらベルが通過したタイミングを見計らって、目の前に広範囲魔法を発動させた。
「『雷上級魔法』」
周りに閃光が走り。轟音と共に雷が降り注ぐ。
魔法の範囲に居るモンスターは、雷に打たれ続けそのたびにカクカクと動く。
魔法使い系のレアスキル、『雷上級魔法』。
広範囲に雷を降り注ぎ、雷に打たれカクカク動く様子が、まるで狂ったように踊り続ける事からこの名が付いたと言われている。
目の前のモンスターの群れを見ると、確かにダンスをしているように見えなくもない。
なおも降り注ぐ雷の中へ、まるで誘われるようにモンスター達が次々と飛び込んでくる。
上級魔法の中でも最上位に近いスキルなだけあって、魔力の消費はとんでもないな。この1発で終わってくれていると良いが……。
雷が止み、砂煙が収まると目の前には焼け野原が広がっていた。
木々は無残にも焼け焦げて、地面はえぐれ、そこに折り重なるようにモンスターの死骸が大量に積み上がっている。
「これで全部……だよな?」
もうモンスターが追ってくる様子はない。
さて、ベルと合流しようとしたその時だった。
モンスターの死骸から一匹蠢く姿が見えた。タイガーベアだ。
毛が焼け落ち、皮膚は焼けただれ、それでもまだ生きていた。
一瞬だけ俺をチラリと見たが、まるで興味を示さず、のしのしと重い足取りでベルの方へ向かって行こうとする。
「そんな状態になっても執着するとは、大したもんだよ」
後ろからそっと近づき、首を切り落とす。
その場でバタンと胴体が倒れた。
普通に戦ったら、俺一人で勝つのは難しい相手だ。
ベルが囮役をやってくれたおかげで、楽に倒すことが出来た。
「アンリさん。助けてください~」
囮役のベルはというと、木を背に向けて盾の中に縮こまり、亀のように必死に隠れていた。
その盾を剝がそうと、ゴブリン達が蹴ったりこん棒で叩いたりしている。
こいつらは雷を迂回する程度の知恵はあったようだ。
俺を警戒する知恵は無かったみたいだが。
先ほど俺に唾を吐きかけたゴブリンと同じ個体かどうかは分からないが、連帯責任という事で全員平等にボコボコにしておいた。
「大丈夫か?」
「うぅ……ちょっと大丈夫じゃないかもです」
起き上がろうとするが、生まれたての子牛のように足をカクカクさせて、その場に尻もちをついている。
どうやら雷の光と音に驚いて腰を抜かしたようだ。
しばらくしてから手を貸して起こしてやった。
理由は分からないが、このままここで考えているわけにもいかないな。まずはベルを助けるのが先決だ。
補助魔法がかかってる間は良いが、効果が切れたらすぐにでも追いつかれてしまうだろう。
もし逃げ切れたとしても、街まで魔物を引き連れて行ってしまったら騒ぎになる。
その時は、俺もベルも冒険者資格を剥奪は免れないだろう。そしたら明日の生活もままならなくなる。
「いやぁあああああああ!!!」
「チィ」
このまま地上を走っても追いつくのに時間がかかるな。
俺はひょいと木に登り、木々を足場にベルの元へ急いだ。
見つけた!
傍から見ると、モンスターを引き連れて行進してるように見えなくもないな。
辺りを見渡してみる。周囲に他の冒険者は居ないようだし、一気にやらせてもらうか。
先回りして、ベルが通るであろう道で、魔法を設置して待ち構える。
泣き叫びながらベルが通過したタイミングを見計らって、目の前に広範囲魔法を発動させた。
「『雷上級魔法』」
周りに閃光が走り。轟音と共に雷が降り注ぐ。
魔法の範囲に居るモンスターは、雷に打たれ続けそのたびにカクカクと動く。
魔法使い系のレアスキル、『雷上級魔法』。
広範囲に雷を降り注ぎ、雷に打たれカクカク動く様子が、まるで狂ったように踊り続ける事からこの名が付いたと言われている。
目の前のモンスターの群れを見ると、確かにダンスをしているように見えなくもない。
なおも降り注ぐ雷の中へ、まるで誘われるようにモンスター達が次々と飛び込んでくる。
上級魔法の中でも最上位に近いスキルなだけあって、魔力の消費はとんでもないな。この1発で終わってくれていると良いが……。
雷が止み、砂煙が収まると目の前には焼け野原が広がっていた。
木々は無残にも焼け焦げて、地面はえぐれ、そこに折り重なるようにモンスターの死骸が大量に積み上がっている。
「これで全部……だよな?」
もうモンスターが追ってくる様子はない。
さて、ベルと合流しようとしたその時だった。
モンスターの死骸から一匹蠢く姿が見えた。タイガーベアだ。
毛が焼け落ち、皮膚は焼けただれ、それでもまだ生きていた。
一瞬だけ俺をチラリと見たが、まるで興味を示さず、のしのしと重い足取りでベルの方へ向かって行こうとする。
「そんな状態になっても執着するとは、大したもんだよ」
後ろからそっと近づき、首を切り落とす。
その場でバタンと胴体が倒れた。
普通に戦ったら、俺一人で勝つのは難しい相手だ。
ベルが囮役をやってくれたおかげで、楽に倒すことが出来た。
「アンリさん。助けてください~」
囮役のベルはというと、木を背に向けて盾の中に縮こまり、亀のように必死に隠れていた。
その盾を剝がそうと、ゴブリン達が蹴ったりこん棒で叩いたりしている。
こいつらは雷を迂回する程度の知恵はあったようだ。
俺を警戒する知恵は無かったみたいだが。
先ほど俺に唾を吐きかけたゴブリンと同じ個体かどうかは分からないが、連帯責任という事で全員平等にボコボコにしておいた。
「大丈夫か?」
「うぅ……ちょっと大丈夫じゃないかもです」
起き上がろうとするが、生まれたての子牛のように足をカクカクさせて、その場に尻もちをついている。
どうやら雷の光と音に驚いて腰を抜かしたようだ。
しばらくしてから手を貸して起こしてやった。
3
お気に入りに追加
644
あなたにおすすめの小説
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
良家で才能溢れる新人が加入するので、お前は要らないと追放された後、偶然お金を落とした穴が実はガチャで全財産突っ込んだら最強になりました
ぽいづん
ファンタジー
ウェブ・ステイは剣士としてパーティに加入しそこそこ活躍する日々を過ごしていた。
そんなある日、パーティリーダーからいい話と悪い話があると言われ、いい話は新メンバー、剣士ワット・ファフナーの加入。悪い話は……ウェブ・ステイの追放だった……
失意のウェブは気がつくと街外れをフラフラと歩き、石に躓いて転んだ。その拍子にポケットの中の銅貨1枚がコロコロと転がり、小さな穴に落ちていった。
その時、彼の目の前に銅貨3枚でガチャが引けます。という文字が現れたのだった。
※小説家になろうにも投稿しています。
勇者召喚に巻き込まれたモブキャラの俺。女神の手違いで勇者が貰うはずのチートスキルを貰っていた。気づいたらモブの俺が世界を救っちゃってました。
つくも
ファンタジー
主人公——臼井影人(うすいかげと)は勉強も運動もできない、影の薄いどこにでもいる普通の高校生である。
そんな彼は、裏庭の掃除をしていた時に、影人とは対照的で、勉強もスポーツもできる上に生徒会長もしている——日向勇人(ひなたはやと)の勇者召喚に巻き込まれてしまった。
勇人は異世界に旅立つより前に、女神からチートスキルを付与される。そして、異世界に召喚されるのであった。
始まりの国。エスティーゼ王国で目覚める二人。当然のように、勇者ではなくモブキャラでしかない影人は用無しという事で、王国を追い出された。
だが、ステータスを開いた時に影人は気づいてしまう。影人が勇者が貰うはずだったチートスキルを全て貰い受けている事に。
これは勇者が貰うはずだったチートスキルを手違いで貰い受けたモブキャラが、世界を救う英雄譚である。
※他サイトでも公開
神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。
突然足元に魔法陣が現れる。
そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―――
※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く
burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。
最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。
更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。
「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」
様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは?
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。
悪役令息の三下取り巻きに転生したけれど、チートがすごすぎて三下になりきれませんでした
あいま
ファンタジー
悪役令息の取り巻き三下モブに転生した俺、ドコニ・デモイル。10歳。
貴族という序列に厳しい世界で公爵家の令息であるモラハ・ラスゴイの側近選別と噂される公爵家主催のパーティーへ強制的に行く羽目になった。
そこでモラハ・ラスゴイに殴られ、前世の記憶と女神さまから言われた言葉を思い出す。
この世界は前世で知ったくそ小説「貴族学園らぶみーどぅー」という学園を舞台にした剣と魔法の世界であることがわかった。
しかも、モラハ・ラスゴイが成長し学園に入学した暁には、もれなく主人公へ行った悪事がばれて死ぬ運命にある。
さらには、モラハ・ラスゴイと俺は一心同体で、命が繋がる呪いがオプションとしてついている。なぜなら女神様は貴腐人らしく女同士、男同士の恋の発展を望んでいるらしい。女神様は神なのにこの世界を崩壊させるつもりなのだろうか?
とにかく、モラハが死ぬということは、命が繋がる呪いにかかっている俺も当然死ぬということだ。
学園には並々ならぬ執着を見せるモラハが危険に満ち溢れた学園に通わないという選択肢はない。
仕方がなく俺は、モラハ・ラスゴイの根性を叩きなおしながら、時には、殺気を向けてくるメイドを懐柔し、時には、命を狙ってくる自称美少女暗殺者を撃退し、時には、魔物を一掃して魔王を返り討ちにしたりと、女神さまかもらった微妙な恩恵ジョブ変更チート無限を使い、なんとかモラハ・ラスゴイを更生させて生き残ろうとする物語である。
ーーーーー
お読みくださりありがとうございます<(_ _)>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる