落ちこぼれぼっちテイマーは諦めません

たゆ

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1巻

1-3

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 考えがまとまらないうちに、いつの間にか冒険者ギルドに辿り着いていた。深呼吸をして扉に手をかける。
 日頃あらくれものたちが使うだけあって、冒険者ギルドの扉は少々のことでは壊れないようになっている、やたら頑丈で重い扉なのだが――今日はそれが一段と重い。
 室内に入ると、すぐに視線を感じた。僕は発生源と思しき場所――受付に目を向ける。
 その瞬間、息が止まるかと思った。
 いつもにこにこ笑っているイリスさんの表情が、とても怖い……
 本気で逃げ出したくなったが、なんとか踏みとどまる。
 それでも僕はすぐには受付に行けず――誤魔化ごまかすように〝さて、依頼、依頼……〟と独り言を呟きながら、依頼の貼られた掲示板の前に移動する。
 こっそりイリスさんの方をうかがうと、ばっちり目が合ってしまった。もっと混んでる時間に来るべきだったと僕は後悔する。
 その時、一人の男がこちらに近づいてきた。

「よう、ぼっちテイマー、久々だな。随分色んな人を心配させてるみたいじゃねーか」

 そう言って笑いながら僕の頭をぐりぐり撫でてくるのは、この町の高ランク冒険者の一人、Bランク冒険者のグザンさんだ。

「グザンさん、お久しぶりです。僕も心配させたくてあんな行動をとったわけじゃないんですよ……不可抗力ふかこうりょくなんですから」

 グザンさんの近くには同じパーティのメンバーで、Bランク冒険者のアンドレさんとライアンさんがいた。
 彼らのパーティ〝暴走ぼうそう大猪おおいのしし〟は、この町のトップランクパーティだ。
 パーティメンバーみんなが身長二メートル近い筋骨隆々きんこつりゅうりゅうの大男なので、人間じゃなく巨人の血を引いているのでは? と思ってしまうくらい全員体格が良い。
 特にリーダーのグザンさんの迫力は凄い。
 きらりと輝くスキンヘッドに立派な口髭くちひげ、動きやすさ重視のワンショルダーの革鎧かわよろいを身にまとっている。長さ百五十センチはあるつちの大きなウォーハンマーを持つ姿は、見ただけで大半の魔物たちが逃げ出してしまうんじゃないだろうか。
 グザンさんの革鎧は、僕のとはまったくの別物で、おそらく強い魔物の革で作られているのだろう。黒くて光沢こうたくがあり、とてもかたそうだ。
 彼のパーティの報酬単価はかなり良く、月にたった数回依頼を受けるだけで生活できるらしい。だから依頼も受けずに、こうして冒険者ギルドにびたっていることが多いという。
 普通そんなことをしたら冒険者ギルドからにらまれてしまうが、彼らは若手冒険者たちに稽古けいこをつけるなど、新人の育成に貢献こうけんしているから大目に見てもらっているとのことだった。
 僕はグザンさんたちにリンゴを差し出して言う。

「もし良かったら、これ食べてください」
「おお、悪いな坊主。坊主のくれるリンゴは味がいいから大歓迎だいかんげいだ」

 早速アンドレさんが豪快ごうかいに噛りついた。
 そんなふうにグザンさんたちと少し談笑した後、ようやく決心した僕は受付へ向かう。


 イリスさんの目は相変わらずで表情も怖い……
 受付窓口は混んでいる時には長い列ができるのだが、今日は残念なことにもの凄くいていた……本当に残念だ。
 僕は覚悟を決めて、窓口に並ぶ。
 動物的な本能が働いたのだろうか。無意識のうちにイリスさんの受付ではなく、普段あまり並ばないセラさんのところに並んでしまっていた。
 人間だって動物だからね。本能に従うのも大事だ、うん。
 ところが――

「ルフト君、あなたはこっちでしょ」
「ハイ……」

 ギルドはいつもより静かで、イリスさんの声は良く響いた。
 僕はとりあえず返事をして、イリスさんのところに並び直した。
 まあ、並んでいるのは僕一人だけど。

「……イリスさん、お久しぶりです。従魔の住処でリンゴが採れまして……もしよかったらギルドの皆さんで食べてください」

 イリスさんと目を合わせないようにしながら、リンゴがたっぷり入った袋を渡してみた。
 大きな袋のおかげでイリスさんの顔を見ないで話ができそう――と思ったのが甘かった。イリスさんはすぐにリンゴが入った袋を後ろにどけてしまう。

「ルフト君、目をらさない」
「はひ」

 思わずんでしまった僕はゆっくりと顔を上げ、イリスさんの目を正面から見つめた。
 彼女の目には言い訳を許さない迫力があった。今まで出会ったどんな魔物よりも凄みがある。

「ルフト君、私に言うことがあるんじゃないのかな? あの日からずっとギルドに来ていなかったでしょ。東と西の門の兵士さんたちに聞いても町に戻ってないって言うし」
「イリスさん、心配をかけてすみませんでした」

 謝るが勝ちと思った僕は、謝罪の言葉と同時に頭を大きく下げた。そのまま心の中で十秒数えてから、もう大丈夫かなとゆっくり顔を上げる。
 その瞬間、僕の両方のっぺたをイリスさんが掴んでくる。

「これふぁなふですか(これはなんですか)」
「頭を下げるくらいじゃ許しませんよ。いいですか、ルフト君。あなたが冒険者に思い入れがあるのを知りながら、私は諦めろと冷たく言いました。もちろん申し訳ないと思っています。でも、私も辛かったんです。わかりますか? 私は泣きながらあの言葉を言ったんです。あなたは女の子を泣かせたんですよ」

 イリスさんは少し頬をふくらませ、怒ってるんだぞー的な感じは出しているが、どこかわざとらしかった。

「あれふぁぼくはわるふは」

〝僕は悪くない〟と反論したけど、さらに頬っぺたを強く引っ張られて上手く話せない。

「女の子を泣かせるのは、悪いことなんですよ。わかりましたか?」

 声を出せないので首を縦にコクッと振ると、ようやくイリスさんは解放してくれた。
 これで終わりかと思ったら、そこからさらに説教が続く。
 助けを求めるように隣の受付嬢セラさんに視線を送ったけれど、目で〝諦めなさい〟と言われた気がしたので、これ以上は抵抗せず、僕はひたすら謝り続けた。


 長時間の説教を終えて言いたいことを全て言いきったのだろう。イリスさんの顔からけわしさが消え、いつもの優しい表情に戻っていた。
 途中何度も大袈裟おおげさなジェスチャーを入れていたし、単にじゃれたかったんじゃないのかな、この人は。一時はどうなるかと思ったけど、きちんと謝ることができたのは良かったかな。勇気って大事だよね。
 話が終わったところで、僕はここ一週間ほどため込んでいた薬草と魔石の精算をイリスさんにお願いする。
 それから――

「そうだ、イリスさん。今日は他にもお願いがあるんです。従魔の登録とFランクへの昇格試験に挑戦したくて」
「そっか、ついに従魔と契約できたのね。おめでとう」

 イリスさんは従魔との初契約は笑顔で祝福してくれたが――ランクアップについては心配そうな表情を見せた。

「……でも、冒険者のランクアップはルフト君にはまだ早いんじゃないかしら」
「無理はしませんので、お願いします」

 僕は、もう一度深く頭を下げる。 
 冒険者には、それぞれ能力に応じたランクが与えられている。
 上から、SSS、SS、S、A、B、C、D、E、F、Gの合計十個のランクがあり、試験を受けて合格するとランクを上げることができるのだ。冒険者が首からさげるギルドカードはランクとその功績を記憶する魔道具になっており、そのデータは全ての冒険者ギルドで共有されている。
 現在の僕は、最低ランクのGランク冒険者。
 GランクからFランクに上がるためには、Fランク昇格試験の〝三ヵ月以内にゴブリン五匹を討伐し、その魔石を手に入れる〟をクリアする必要がある。
 イリスさんは〝そこまで言うなら……わかったわ〟と言ってから″でも〟と付け足した。

「ルフト君、いい? 昇格試験は失敗しても何度でも受け直しが可能なの。だから、絶対無理はしないで。じゃあ、この町の周辺の地図は持ってるのかな。あるなら、ゴブリンが頻繁ひんぱん出没しゅつぼつする場所に印をつけてあげるわ。あと従魔の登録だけど、担当者がいる水曜日の午後にしかできないの。担当者に伝えておくわね」

 イリスさんの厚意に、僕はもう一度頭を下げてお礼を言う。

「ありがとうございます! 従魔登録は早くて明後日なんですね。それじゃあ、今週はゴブリン狩りを優先して、来週の水曜日にまた来ます。それと、印はこの地図にお願いしてもいいですか」

 イリスさんは僕が出した地図を受け取ると、アリツィオ大樹海の浅瀬を中心に×印ばつじるしを書き込んでいく。次に僕のギルドカードを魔道具に通して、Fランク昇格試験への挑戦登録をしてくれた。
 その後、イリスさんと少し世間話をした。

「へぇー、浅瀬は浅瀬でもあまり人が行かない、町から離れたところまで行っているのね」
「僕の場合、従魔の住処があるので、寝ている時に襲われる心配はないですから。だからこそ、他の人が採取に行かない場所を狙うようにしているんです」
「そうなんだ。確かにみんな、新しい場所より行き慣れてかせぎが安定した狩場を選んじゃうのよね。ルフト君みたいな冒険者がいると助かるわ。未開の土地の情報は貴重なものだから、何かあったら冒険者ギルドに報告をお願いね。もちろん、新しい発見にはきちんと報酬も出るわよ」
「はい、頑張ります」

 Fランクに上がると、浅瀬にあるダンジョンの情報を与えられ、その探索を許される。一つでもダンジョンを攻略すればEランクに上がり、中域への立ち入りが許可される。
 アリツィオ大樹海は奥に行けば行くほど生息している魔物も強くなるため、注意が必要だ。
 ゴブリンみたいな弱い魔物は浅瀬に住んでいるが――他の冒険者にとってはなんでもない魔物でも僕にとっては強敵になる。今まではゴブリンのいるエリアには近づかないようにしていたけど、これからはそうもいかないな……


     ✿


 イリスさんと別れてギルドを後にした僕は、肉屋のフラップおばさんの店に立ち寄ってため込んでいた牙ウサギの肉を買い取ってもらった。

「ルフトちゃん、いつもありがとね。最近肉の入荷が減っていて困ってたのよ。ルフトちゃんの解体する牙ウサギの肉は、他の冒険者たちが持ち込むものに比べて質が良いから助かってるわ」

 肉屋のフラップおばさんは、僕がこの町に来てから何かとお世話になっている一人だ。最近も、新しい物に買い換えて不要になったからと、僕が欲しがっていた業務用の魔道具である冷凍庫を一台、格安でゆずってくれた。
 大きいサイズの冷凍庫は、新品を買うとなるとオーダーメイドになってしまうため、高くて手が出せない。中古品が出てもすぐ売れてしまうので、ずっと手に入らなかったのだ。フラップおばさんには本当に感謝している。
 ちなみに、魔道具を動かすためには燃料として魔物の体の中にある魔石を使うのだが、僕が譲ってもらった冷凍庫は魔石一個で三日間しか稼働かどうさせられない。
 最新型の冷凍庫なら魔石一つで一週間は持つらしく、フラップおばさんは旧型の冷凍庫の燃費ねんぴが悪いので買い換えたそうだ。
 フラップおばさんには〝いいのかい、こんな燃費の悪いやつで〟と何度も聞かれてしまった。
 冒険者として日々魔物を狩る僕にとっては、魔石一個で三日間冷凍庫が使えるなら安いものだ。
 しかも冷凍庫を導入どうにゅうしたことで、狩ってから二週間までの牙ウサギの肉を買い取ってもらえるようになった。きちんと処理をして冷凍したものに限るけれど、今まで三日しかもたなかったことを考えれば、とてもありがたい。
 僕はフラップおばさんの店で肉を買い取ってもらった後、道具屋のキーリスさんのところで魔物の素材を換金して、この町の大通りに店を構える、町一番の雑貨店〝メルフィル雑貨店〟へと足を運んだ。


 メルフィル雑貨店は、いわゆるなんでも屋さんなのだが、生活雑貨の他にも武器や防具、魔法のスクロールといった冒険者用のアイテムを多数取り扱っている。
 品質では専門店である武器屋や防具屋、魔術師ギルドなどで売っているアイテムにはかなわない。けれど、数打物かずうちものの武器や量産品の防具、初級魔法のスクロールや無名作家の魔道具ならここも十分そろっている。
 僕がメルフィル雑貨店を頼るのには他にも理由がある。
 この町の武器屋の主人、名をハンスというのだが、自分が仕入れて取り扱う武器に絶対の自信を持っており、彼の目にかなった者でなければ武器を売ってもらえない。
 Gランク冒険者でテイマーである僕も、以前ギルドカードを見せたのだけれど――そうしたら即入店禁止を言い渡されてしまった。
 魔術師ギルドも同様で〝魔物を使役する者には魔法を教えることもなければ、売るスクロールもない〟と言われ、魔術師ギルドの扉をノックすることすら許されないという状況になっている。
 そんな事情もあり、冒険者として必要な道具の大半を、僕はこのメルフィル雑貨店で揃えるようになった。
 今回はフローラルとレモンの武器と魔法のスクロールを買う。
 魔法の習得方法は二つある。一つは魔法を知る者から直接教えてもらう方法。もう一つは魔法のスクロールを使って覚える方法だ。
 魔法のスクロールは使用すると砂のように崩れてしまうけれど、魔法を覚えた者は別の者に魔法を教えられるため、その魔法を使える知り合いがいれば同じスクロールを何本も買う必要はない。
 僕は『鑑定』をはじめとした共通魔法の多くを、メルフィル雑貨店で買った魔法のスクロールで覚えた。
 ただし、魔法のスクロールを使えば誰でも魔法が覚えられるわけではなく、魔法の才能は必要だ。といっても共通魔法に関しては、魔法使いに分類されるクラスなら覚えられる。

「これはルフト様、お久しぶりです」
「メルフィルさん、お久しぶりです」

 僕が商品を見ていると、この店の主人のメルフィルさんが話しかけてきた。
 メルフィルさんは四十代の男性で体型はせ型、身なりはきちんとしていて、どことなくやり手の商人だと思わせる雰囲気をまとっている。
 僕にやり手の商人を見分けられるのか! と言われてしまうと何も言えないのだが、あくまで僕の印象である。とにかく、僕のような年下のテイマーを一人のお客様として扱ってくれるのだからいい人だ。
 また、メルフィルさんは従魔の住処産のリンゴの大ファンで、自分で食べる分と店で売る分の実を、高めの値段で大量に買い取ってくれる。僕にとって彼は、お得意様でもあるのだ。

「今日は何かお探しですか?」

 彼の問いに僕は頷いてみせる。

「はい、僕にもやっと従魔ができまして、彼らの武器と魔法のスクロールを買いに来ました」
「ほう、スクロールということは、魔法が使える従魔ですか。テイマーが使役できる従魔は、弱い獣と弱い魔物だけだと思っておりましたが、さすがルフト様でございます」
「いえ、さすがだなんて」

 メルフィル雑貨店に初めて来た時から感じているけれど、メルフィルさんの僕に対する評価はなぜか高い。
 メルフィルさんは何か考え込んでいた様子だったが、僕に〝ちょっとこちらへ〟とうながし、店の奥に向かって歩き出す。
 そこに保管してある魔法のスクロールを見せてくれるらしい。


「全て初級魔法ですが……」

 メルフィルさんがそう言って出してくれたスクロールは、『マジックミサイル』『スリープミスト』『スモークスクリーン』『ストーンショット』『スパイダーネット』の五本だった。
 それらのうち、対象を眠らせる『スリープミスト』、煙幕えんまくを張る『スモークスクリーン』、相手を拘束する『スパイダーネット』は、魔法のレベルが上がるほど効果範囲が広くなり、成功率が上がる魔法だ。
『マジックミサイル』は、レベルが上がると一度にてる魔法の矢の数が増える。ただ一本一本の威力いりょくは変わらないので、魔法防御持ちの相手には効果が薄い。
『ストーンショット』は、高レベルになるほど大きな石を飛ばせるようになるが、そもそも石がない時は使えないのと、魔法攻撃の『マジックミサイル』と違って物理攻撃扱いになる。
 僕はレモンがすでに使えるという『マジックミサイル』以外の全ての魔法のスクロールを買うことにした。
 魔法のスクロールは、魔術師ギルドで購入するのが普通なので、メルフィルさんの店ではあまり売れない商品らしい。
 もし変わった魔法のスクロールを手に入れた時は、僕に優先的に売ってくれると約束してくれた。〝今後もリンゴの実を楽しみにしています〟というお願いつきだったけどね。
 次に、Fランク昇格試験のためのゴブリン狩りを視野に入れて武器を探す。
 今まで狩ってきた牙ウサギや角ネズミはEランクの魔物だ。
 魔物のランクは上からS、A、B、C、D、Eとあり、それぞれにEプラス、E、Eマイナスのように、一つのランクがさらに三つに分けられる。
 ただ、これは純粋に魔物におけるランクであり、Eランク冒険者とEランクの魔物が同等の強さというわけではない。
 冒険者ランクを上げるために狩るゴブリンは基本的にEランク以上で、今まで戦ってきた魔物よりも少し強い。
 まれにもっと高ランクのゴブリンもいるらしいが、Dランク以上になると普通のゴブリンに比べて体が大きく、一目でわかるそうだ。とはいえ、何事も警戒は必要だろう。
 僕の目は、店に置かれていた全長四十センチほどの短い剣に奪われた。
 変わったものには、どうしても興味を引かれてしまう。
 それは、ショートソードをさらに短くしたような不思議な剣だった。その短剣が入っているたるに付けられた値札には〝珍しい短い剣〟と、安売りを表す〝特価〟の売り文句が書かれている。
 その樽には同じような長さの剣が他に三本入っていた。
 さやから抜いて刀身をまじまじと見てみたけど、物としては悪くなさそうだ。

「ルフト様、その短い剣は失敗作ではありませんよ」

 メルフィルさんは、僕の心を見透みすかしたようにそう言った。

「え、そうなんですか?」
「はい、それはこの国よりさらに西の辺境の地に住む、〝ポロッカ族〟という小さな種族が好んで使う剣で〝バゼラード〟というそうです。剣の製作者もポロッカ族の鍛冶職人かじしょくにんとのことでした。面白いので買い取ってみたのですが、全く売れずに困っておりまして……」
「へぇ、ポロッカ族ですか……聞いたことはありますが、会ったことはないですね」
「この国は、人間以外の種族の出入りは少ないですから、エルフやドワーフすら滅多に見ませんしね。従魔の方が使うのであれば、さらにお安くしますので四本全て買っていただけないでしょうか?」

 大きさ的にもフローラルとレモンが使うのにピッタリな剣にも思える。
 僕は〝武器は消耗品しょうもうひんだからいずれ替えが必要になるだろう〟と割りきって、全部買うことにした。
 この長さの剣をオーダーで製作したら、軽くこの値段の十倍はしそうだしね。それにテイマーの僕が鍛冶師にオーダーなんて、立場的にできそうもないし。
 他に長さ六十センチほどのショートソードを予備含めて二本と、僕が使うには大きくて重そうではあるものの、直径六十センチくらいのホプロンという金属製の丸いたてを一つ購入した。
 ホプロンは、僕が両手で盾を持ってひたすら耐え、みんなに攻撃してもらうという戦術がふと頭に思い浮かんだので衝動買しょうどうがいしたのだ。
 盾は他にもいくつか持っているので、状況に合わせて使い分けていこう。
 従魔がいると、戦い方に幅が出るし、何よりフローラルたちのことを考えながら武器を選ぶのは楽しい。今度、従魔たちと一緒に買い物に来るのもいいかもしれない。
 僕はメルフィルさんにお礼を言って、雑貨店を後にした。


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