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VIPの護衛達
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制服も普通科のブレザーは黒いけど、特別科は真っ白だ。
高貴な人って感じがする、特別科を憧れの眼差しで見ている人の気持ちが分かるな。
ユリウスはあまりカノンと仲良くないのか、目を合わせず軽くお辞儀していた。
よく俺にカノンの話をするのに、照れてるのかな。
………もしかして、カノンの事気になってるのか?
攻略者同士が、そんな事…ある…のかもしれない。
悪役の俺と恋愛関係になってるから、何でもあり得なくはないよな。
カノンは俺と付き合ってるし、俺のものって言いたい。
でも俺もいろんな人と恋愛する宣言をしてるし、カノンを縛りたくない気持ちもある。
「どうかした?」
「何でもないよ!それでどうかした?」
「話したVIPの護衛についての会議があるんだ、フォルテも同行してほしい」
「分かった、じゃあまた学校で」
後ろの二人に手を振って、カノンに付いて行った。
王子様の護衛ってどうやるんだろう、変な人がいないか見回るとか?
誰かを守る事がなかったから分からないな。
カノンは分かるのかなと、ジッと見つめた。
春休みのあの事を思い出してすぐに目を逸らした。
何考えているんだ、今から真面目な話をするのに…
あれ以来、カノンとはそういう触れ合いはしていない。
学院の中は当然だけど、寮もなかなか触れ合いが出来ない。
だからこそ、あの時気持ちが爆発したのかもしれない。
「フォルテ、顔が赤いけどどうしたの?」
「だ、大丈夫だよ!」
「思い出しちゃった?」
「あっ!?」
突然耳を触られて、ビックリして変な声が出てしまった。
別に耳だけ触るくらいなら、普通だよな。
俺が変なだけなんだ、平常心にならないと…
カノンはなんでそんなに嬉しそうな顔をしているんだ。
「早く行こう!」とカノンの手を掴んで歩いた。
他の人がいれば、気分が少しは誤魔化せる。
何処に行くのか分かってなくて、適当に歩いていたらカノンに引っ張られた。
向かう先は特別科のクラスが並ぶところだった。
さっきまで普通科の生徒がちらほらいたのに、今は特別科の生徒が多くなってきた。
俺を見る視線と「なんでここに一般生徒がいるんだ?」という声が聞こえた。
制服で分かっちゃうから浮いてるよな。
あまり目立たないようにブレザーを脱いだ。
下のシャツは同じなら、これで目立たない。
「フォルテ、いきなり上着脱いでどうしたんだ?」
「ちょっとこのクラスの近くで浮いてそうだったから」
「……」
カノンも上着を突然脱ぎ出してびっくりした。
俺は普通科だからやったけど、カノンは必要ない。
その上着を俺の肩に掛けてくれた。
優しい声で「ダメだよ」と言って、貸してくれた。
寒くはないから大丈夫なんだけど、会議室に着くまでカノンの優しさを借りた。
会議室の前に到着して、カノンに上着を返してちゃんと上着を着た。
会議室に到着すると、数人の先生とレオンハルトと三年生の護衛の人がいた。
その人物を見て、自分でも顔色が悪くなるのが分かる。
固まって見ていたら、その人は俺の顔を見つめていた。
「俺の顔がどうかした?」
「ごめんなさい、何でもありません」
逃げるようにして、カノンの横の席に座って会議が始まった。
カノンは普通科にいた俺を迎えに来ていたから、俺達が最後だったみたいだ。
目の前を見ると、その人を見てしまうから注意事項の紙をずっと見ていた。
なんでコイツがここにいるんだ…学院は同じなのは分かっていたが、まさかコイツもここにいるなんて…
俺の目の前にいる男は、ゲームに出てきた男だ。
俺を魔族の弟子に勧誘して最終的に俺を裏切って殺した攻略キャラクターだ。
フォルテにとって、闇落ちした決定的な原因の男だから関わりたくない相手の一人だ。
名前はレッドと言う。
いつも笑みを浮かべていて、何を考えているのか分からない。
その笑顔の裏の企みを俺は知ってる。
「フォルテ、フォルテ」
「えっ!なに?」
「もう終わったけど、大丈夫?」
カノンに心配掛けてしまって、笑って大丈夫だと言った。
大丈夫だ、今の俺は勧誘なんてされても悪の道に行ったりしない。
そう頭では分かっているのに、本人を前にしたら目が泳いでしまう。
高貴な人って感じがする、特別科を憧れの眼差しで見ている人の気持ちが分かるな。
ユリウスはあまりカノンと仲良くないのか、目を合わせず軽くお辞儀していた。
よく俺にカノンの話をするのに、照れてるのかな。
………もしかして、カノンの事気になってるのか?
攻略者同士が、そんな事…ある…のかもしれない。
悪役の俺と恋愛関係になってるから、何でもあり得なくはないよな。
カノンは俺と付き合ってるし、俺のものって言いたい。
でも俺もいろんな人と恋愛する宣言をしてるし、カノンを縛りたくない気持ちもある。
「どうかした?」
「何でもないよ!それでどうかした?」
「話したVIPの護衛についての会議があるんだ、フォルテも同行してほしい」
「分かった、じゃあまた学校で」
後ろの二人に手を振って、カノンに付いて行った。
王子様の護衛ってどうやるんだろう、変な人がいないか見回るとか?
誰かを守る事がなかったから分からないな。
カノンは分かるのかなと、ジッと見つめた。
春休みのあの事を思い出してすぐに目を逸らした。
何考えているんだ、今から真面目な話をするのに…
あれ以来、カノンとはそういう触れ合いはしていない。
学院の中は当然だけど、寮もなかなか触れ合いが出来ない。
だからこそ、あの時気持ちが爆発したのかもしれない。
「フォルテ、顔が赤いけどどうしたの?」
「だ、大丈夫だよ!」
「思い出しちゃった?」
「あっ!?」
突然耳を触られて、ビックリして変な声が出てしまった。
別に耳だけ触るくらいなら、普通だよな。
俺が変なだけなんだ、平常心にならないと…
カノンはなんでそんなに嬉しそうな顔をしているんだ。
「早く行こう!」とカノンの手を掴んで歩いた。
他の人がいれば、気分が少しは誤魔化せる。
何処に行くのか分かってなくて、適当に歩いていたらカノンに引っ張られた。
向かう先は特別科のクラスが並ぶところだった。
さっきまで普通科の生徒がちらほらいたのに、今は特別科の生徒が多くなってきた。
俺を見る視線と「なんでここに一般生徒がいるんだ?」という声が聞こえた。
制服で分かっちゃうから浮いてるよな。
あまり目立たないようにブレザーを脱いだ。
下のシャツは同じなら、これで目立たない。
「フォルテ、いきなり上着脱いでどうしたんだ?」
「ちょっとこのクラスの近くで浮いてそうだったから」
「……」
カノンも上着を突然脱ぎ出してびっくりした。
俺は普通科だからやったけど、カノンは必要ない。
その上着を俺の肩に掛けてくれた。
優しい声で「ダメだよ」と言って、貸してくれた。
寒くはないから大丈夫なんだけど、会議室に着くまでカノンの優しさを借りた。
会議室の前に到着して、カノンに上着を返してちゃんと上着を着た。
会議室に到着すると、数人の先生とレオンハルトと三年生の護衛の人がいた。
その人物を見て、自分でも顔色が悪くなるのが分かる。
固まって見ていたら、その人は俺の顔を見つめていた。
「俺の顔がどうかした?」
「ごめんなさい、何でもありません」
逃げるようにして、カノンの横の席に座って会議が始まった。
カノンは普通科にいた俺を迎えに来ていたから、俺達が最後だったみたいだ。
目の前を見ると、その人を見てしまうから注意事項の紙をずっと見ていた。
なんでコイツがここにいるんだ…学院は同じなのは分かっていたが、まさかコイツもここにいるなんて…
俺の目の前にいる男は、ゲームに出てきた男だ。
俺を魔族の弟子に勧誘して最終的に俺を裏切って殺した攻略キャラクターだ。
フォルテにとって、闇落ちした決定的な原因の男だから関わりたくない相手の一人だ。
名前はレッドと言う。
いつも笑みを浮かべていて、何を考えているのか分からない。
その笑顔の裏の企みを俺は知ってる。
「フォルテ、フォルテ」
「えっ!なに?」
「もう終わったけど、大丈夫?」
カノンに心配掛けてしまって、笑って大丈夫だと言った。
大丈夫だ、今の俺は勧誘なんてされても悪の道に行ったりしない。
そう頭では分かっているのに、本人を前にしたら目が泳いでしまう。
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