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第一章
第4話【目覚め】★
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※吸血鬼との戦闘で多少残虐シーンがあります。苦手な方は注意。
◆ ◆ ◆
雨はまだ降り続いている。
正門横の厩舎に預けていた馬を迎えに行こうと路地裏を抜けて広場へ出ると、先ほどまでの人混みが嘘のように疎らに散っていた。
すると風に乗って雨の匂いと焦げた匂いが鼻につくことに気付くエヴァ。
(焦げ?)
匂いの方向を見ると黒い煙が上がっていて何やら騒がしい。歓声というよりこれは――――。
「きゃあああああ」
「わああああ助けてくれぇぇぇ!!」
パニックを起こした人々が悲鳴を上げながら何かから逃げていた。
「あれは……っ」
「お嬢様!」
奥に見えたのは聖騎士団と、赤い目を光らせた夜の化け物――――。
(嘘! どうして!?)
吸血鬼――――。
雨が降り注ぐ中吸血鬼の群れが人を襲っている。それに対抗する聖騎士団たち。
ありえない光景だった。王都は吸血鬼との《共存協定》のおかげで人が襲われる心配はないはずだ。それに野良吸血鬼避けの結界も貼ってあるはずなのに。
(一体なにが起こっているの? まさか……また私の血のせいなんじゃ……)
「お嬢様! 今はあれこれと考えている場合ではないです。この場は聖騎士団にお任せして我々は一刻も早く帰りましょう!」
クライムは真っ青になるエヴァの腕を掴むと半ば引きずるように厩舎へ向かった。
エヴァを抱えてすぐに馬を走らせる。辺りはもう暗くなってきていた。
震えるエヴァを抱きしめ馬を飛ばす。
(馬に休憩させる暇があるか……お嬢様は必ずお守りしなければ)
逸る気持ちの中一通り走らせるとさすがに馬がバテテきてしまった。
もう空は暗いがここら辺に村はないので馬の交換が出来ず、泣く泣く一旦休ませることに。
川の近くの大きな木の傍で馬を休ませ、自分達も濡れてなさそうな木の下へ。
雨はもうすっかり止んでいるがエヴァの身体が冷たかった。
「お嬢様、もう少しの辛抱です。寒ければ私の傍に」
「あ、ありがとう……」
さすがに寒すぎたのでお言葉に甘え、クライムが腰を下ろす足の間に入り、腕の中に包まれる。雨のせいで燃やす物が無く火が使えないから仕方ないのだ。
ぎゅっと背中から抱きしめられ、クライムの清潔な香りがしてドキドキするエヴァ。
(わ、私が風邪をひかないようにしてくれてるだけよ! 変に意識しちゃダメよ私!)
ぷるぷる震えているのは寒さと緊張からだったが、クライムは寒さによるものだとだけ思ったらしい。熱を生み出そうと優しく肩をさすってくれた。
瞬間、「ほわぁっ!?」という奇声と共にビクッと跳ねる。
「申し訳ありません、痛かったですか? くすぐったかったですか?」
「ちちち違うの。うん、そうくすぐったくて! でも温かくなったわありがとう」
「? それなら良かったです」
濡れた服越しで少々冷たいとはいえ、慣れない距離感で触れ合っているので緊張しないわけがない。意識しないわけがない。
ドキドキしているおかげで血色が良くなったエヴァを見つめるクライム。
ほんのり赤く染まった白いうなじを凝視していることに彼女は気が付かない。
ドクン、ドクンと脈打つ血潮を想像し、無意識に喉を鳴らす。
「……っ!」
バッと口元を手で覆いうなじから目を背けた。
(俺は――今何を考えていた……?)
ズキンと痛む頭。先程エヴァの傍にいた黒づくめの紳士を思い出す。
ドクン、ドクンと脈打つ音は自分の心臓か、あるいは目の前の――――。
ヒヒィン――!
「!」
エヴァとクライムは同時に馬の嘶きが聞こえた方へ眼をやると、そこには人の姿が……いや。
「ブラックフォードの娘、いた」
「いた」
赤い目を光らせた吸血鬼が五人、こちらに向かって来た。
すぐにエヴァを背後に庇い、腰の剣を抜くクライム。
エヴァは恐怖に怯えながらも吸血鬼の姿を見て驚いた。
「あ……! あの格好……さっき広場にいた大道芸人?」
「……吸血鬼にされたようですね」
また増えてしまったことにクライムはチッと舌打をする。一体いつ誰に変えられたんだ? と疑問に思った。
考えられるのは先程の黒づくめの紳士。
日中に活動しているのがどういう仕組みかはわからないが、奴は恐らく吸血鬼だろう。それもあの街であの格好といったら貴族の可能性も高い。
だが所詮想像に過ぎない。今はまずエヴァを無事に屋敷に届けなければと、目の前の吸血鬼を倒すことに集中した。
「ブラックフォードの娘、連れて行く」
「味見する」
「良い匂い。良い匂い」
先程まで人間だったはずの吸血鬼たちの知能が野良吸血鬼レベルにまで落ちていた。
何かがおかしい。だがそれどころではない。
吸血鬼はクライムの後ろのエヴァ目掛けて一斉に走り出す。
「お嬢様、目をつぶっててください」
そう言って風のように吸血鬼たちへ向かう。
物凄い速さで距離を詰めると、吸血鬼を転ばせてから心臓を一突きし、まずは一匹仕留める。
灰が舞う中次いで二、三匹目の首を飛ばし、胴体の心臓を貫く。
四匹目はエヴァに腕を伸ばしていたのでその腕を真っ二つにし、腹に蹴りをいれてから持っている剣を心臓目掛けて投げ、見事命中させる。
「クライムっ!」
最後の一匹がエヴァの頭を掴み喉に喰らいつこうとしていた。
「お嬢様!」
勢いよく地面を蹴り上げエヴァの元へ飛ぶように向かい腕を伸ばす。
ぐちゃっと鈍い音と痛みがクライムの腕にはしった。
「クライム……っ!」
青い顔をしながら手で口を覆うエヴァ。
彼女を守ることを優先したため吸血鬼に間合いを取る隙を与えてしまった。
すぐに距離を詰めようとした瞬間、ズキン、と大きな頭痛がクライムを襲う。
「クライム!? 大丈夫!?」
(くっ……こんな時に)
今までで一番酷い。ズキン、ズキンと響く痛みがクライムの動きと判断の邪魔をした。
エヴァは泣きながらクライムを庇うように前に立つ。
「お嬢様……! お退きください!」
「いや! だってクライムが死んじゃう!」
見れば、いつの間にか二人を囲う吸血鬼の群れ。
(そんな……!)
さっきまで五人だったのにエヴァの香りに惹かれ次々とやってきたらしい。
クライムの調子も悪く、絶望的な状況だった。
(もう誰も……死なせたくない)
グッと拳に力を入れ、覚悟を決める。
エヴァは自分に向かってくる吸血鬼に叫んだ。
「お願い! 私の血はあげるから……彼には何もしないで! クライムは殺さないで!!」
(私の命はもうどうなってもいい。だからお願い、彼だけは)
クライムの霞む視界には小さく震える背中。
ああ、違う。自分が守られてどうする。
私が――――俺が、お守りしなければ。
ズキンズキンズキンズキン――――。
頭痛が途切れ、赤く染まる。
――――ドクン――――。
ぶわっと噴き出す赤黒い何かが刃となり、エヴァに向かう全ての吸血鬼に襲い掛かる。
それは一瞬の出来事で、エヴァが気が付く頃にはもう辺り一面灰が舞っていた。
あの日と同じ月明かり。逆光を背にした彼、クライム。
その時と違うのは…………。
「う……嘘……」
どしゃ、と落としたのは吸血鬼の亡骸。今しがた首から血を啜っていたそれはすぐに灰になった。
血で染まった口元を拭うクライムの瞳はいつもの金色ではなく――。
「吸血鬼……?」
震える声で口にした言葉。
まさしく彼の瞳は赤く輝いていた。
エヴァの大嫌いな、吸血鬼のように――――。
◆ ◆ ◆
雨はまだ降り続いている。
正門横の厩舎に預けていた馬を迎えに行こうと路地裏を抜けて広場へ出ると、先ほどまでの人混みが嘘のように疎らに散っていた。
すると風に乗って雨の匂いと焦げた匂いが鼻につくことに気付くエヴァ。
(焦げ?)
匂いの方向を見ると黒い煙が上がっていて何やら騒がしい。歓声というよりこれは――――。
「きゃあああああ」
「わああああ助けてくれぇぇぇ!!」
パニックを起こした人々が悲鳴を上げながら何かから逃げていた。
「あれは……っ」
「お嬢様!」
奥に見えたのは聖騎士団と、赤い目を光らせた夜の化け物――――。
(嘘! どうして!?)
吸血鬼――――。
雨が降り注ぐ中吸血鬼の群れが人を襲っている。それに対抗する聖騎士団たち。
ありえない光景だった。王都は吸血鬼との《共存協定》のおかげで人が襲われる心配はないはずだ。それに野良吸血鬼避けの結界も貼ってあるはずなのに。
(一体なにが起こっているの? まさか……また私の血のせいなんじゃ……)
「お嬢様! 今はあれこれと考えている場合ではないです。この場は聖騎士団にお任せして我々は一刻も早く帰りましょう!」
クライムは真っ青になるエヴァの腕を掴むと半ば引きずるように厩舎へ向かった。
エヴァを抱えてすぐに馬を走らせる。辺りはもう暗くなってきていた。
震えるエヴァを抱きしめ馬を飛ばす。
(馬に休憩させる暇があるか……お嬢様は必ずお守りしなければ)
逸る気持ちの中一通り走らせるとさすがに馬がバテテきてしまった。
もう空は暗いがここら辺に村はないので馬の交換が出来ず、泣く泣く一旦休ませることに。
川の近くの大きな木の傍で馬を休ませ、自分達も濡れてなさそうな木の下へ。
雨はもうすっかり止んでいるがエヴァの身体が冷たかった。
「お嬢様、もう少しの辛抱です。寒ければ私の傍に」
「あ、ありがとう……」
さすがに寒すぎたのでお言葉に甘え、クライムが腰を下ろす足の間に入り、腕の中に包まれる。雨のせいで燃やす物が無く火が使えないから仕方ないのだ。
ぎゅっと背中から抱きしめられ、クライムの清潔な香りがしてドキドキするエヴァ。
(わ、私が風邪をひかないようにしてくれてるだけよ! 変に意識しちゃダメよ私!)
ぷるぷる震えているのは寒さと緊張からだったが、クライムは寒さによるものだとだけ思ったらしい。熱を生み出そうと優しく肩をさすってくれた。
瞬間、「ほわぁっ!?」という奇声と共にビクッと跳ねる。
「申し訳ありません、痛かったですか? くすぐったかったですか?」
「ちちち違うの。うん、そうくすぐったくて! でも温かくなったわありがとう」
「? それなら良かったです」
濡れた服越しで少々冷たいとはいえ、慣れない距離感で触れ合っているので緊張しないわけがない。意識しないわけがない。
ドキドキしているおかげで血色が良くなったエヴァを見つめるクライム。
ほんのり赤く染まった白いうなじを凝視していることに彼女は気が付かない。
ドクン、ドクンと脈打つ血潮を想像し、無意識に喉を鳴らす。
「……っ!」
バッと口元を手で覆いうなじから目を背けた。
(俺は――今何を考えていた……?)
ズキンと痛む頭。先程エヴァの傍にいた黒づくめの紳士を思い出す。
ドクン、ドクンと脈打つ音は自分の心臓か、あるいは目の前の――――。
ヒヒィン――!
「!」
エヴァとクライムは同時に馬の嘶きが聞こえた方へ眼をやると、そこには人の姿が……いや。
「ブラックフォードの娘、いた」
「いた」
赤い目を光らせた吸血鬼が五人、こちらに向かって来た。
すぐにエヴァを背後に庇い、腰の剣を抜くクライム。
エヴァは恐怖に怯えながらも吸血鬼の姿を見て驚いた。
「あ……! あの格好……さっき広場にいた大道芸人?」
「……吸血鬼にされたようですね」
また増えてしまったことにクライムはチッと舌打をする。一体いつ誰に変えられたんだ? と疑問に思った。
考えられるのは先程の黒づくめの紳士。
日中に活動しているのがどういう仕組みかはわからないが、奴は恐らく吸血鬼だろう。それもあの街であの格好といったら貴族の可能性も高い。
だが所詮想像に過ぎない。今はまずエヴァを無事に屋敷に届けなければと、目の前の吸血鬼を倒すことに集中した。
「ブラックフォードの娘、連れて行く」
「味見する」
「良い匂い。良い匂い」
先程まで人間だったはずの吸血鬼たちの知能が野良吸血鬼レベルにまで落ちていた。
何かがおかしい。だがそれどころではない。
吸血鬼はクライムの後ろのエヴァ目掛けて一斉に走り出す。
「お嬢様、目をつぶっててください」
そう言って風のように吸血鬼たちへ向かう。
物凄い速さで距離を詰めると、吸血鬼を転ばせてから心臓を一突きし、まずは一匹仕留める。
灰が舞う中次いで二、三匹目の首を飛ばし、胴体の心臓を貫く。
四匹目はエヴァに腕を伸ばしていたのでその腕を真っ二つにし、腹に蹴りをいれてから持っている剣を心臓目掛けて投げ、見事命中させる。
「クライムっ!」
最後の一匹がエヴァの頭を掴み喉に喰らいつこうとしていた。
「お嬢様!」
勢いよく地面を蹴り上げエヴァの元へ飛ぶように向かい腕を伸ばす。
ぐちゃっと鈍い音と痛みがクライムの腕にはしった。
「クライム……っ!」
青い顔をしながら手で口を覆うエヴァ。
彼女を守ることを優先したため吸血鬼に間合いを取る隙を与えてしまった。
すぐに距離を詰めようとした瞬間、ズキン、と大きな頭痛がクライムを襲う。
「クライム!? 大丈夫!?」
(くっ……こんな時に)
今までで一番酷い。ズキン、ズキンと響く痛みがクライムの動きと判断の邪魔をした。
エヴァは泣きながらクライムを庇うように前に立つ。
「お嬢様……! お退きください!」
「いや! だってクライムが死んじゃう!」
見れば、いつの間にか二人を囲う吸血鬼の群れ。
(そんな……!)
さっきまで五人だったのにエヴァの香りに惹かれ次々とやってきたらしい。
クライムの調子も悪く、絶望的な状況だった。
(もう誰も……死なせたくない)
グッと拳に力を入れ、覚悟を決める。
エヴァは自分に向かってくる吸血鬼に叫んだ。
「お願い! 私の血はあげるから……彼には何もしないで! クライムは殺さないで!!」
(私の命はもうどうなってもいい。だからお願い、彼だけは)
クライムの霞む視界には小さく震える背中。
ああ、違う。自分が守られてどうする。
私が――――俺が、お守りしなければ。
ズキンズキンズキンズキン――――。
頭痛が途切れ、赤く染まる。
――――ドクン――――。
ぶわっと噴き出す赤黒い何かが刃となり、エヴァに向かう全ての吸血鬼に襲い掛かる。
それは一瞬の出来事で、エヴァが気が付く頃にはもう辺り一面灰が舞っていた。
あの日と同じ月明かり。逆光を背にした彼、クライム。
その時と違うのは…………。
「う……嘘……」
どしゃ、と落としたのは吸血鬼の亡骸。今しがた首から血を啜っていたそれはすぐに灰になった。
血で染まった口元を拭うクライムの瞳はいつもの金色ではなく――。
「吸血鬼……?」
震える声で口にした言葉。
まさしく彼の瞳は赤く輝いていた。
エヴァの大嫌いな、吸血鬼のように――――。
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