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第10話 ランドルフ家の人々
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私達を乗せた馬車は屋敷の前に到着した。
私が馬車を降りるとき、レイは馬車のすぐ横に立つけれど、今度はさっきの城の時のように、手を差し出してはくれなかった。
きっと私が、嫌がって手を取らなかった、って思われてしまったのかも知れないな。
ちょっと残念に思いながら、私も続いて降りると、執事みたいな格好をした白髪混じりの年配の男性がお迎えに出て待っていてくれた。
「おかえりなさいませ。レイファス様」
「ああ」
「そちらの方でございますね?整っております」
「そうか、急ですまない」
え?いつの間にか知らせていてくれたんだ。
「いえ。お珍しいことなので、屋敷の者たち喜んでおりますよ」
「はあぁ……」
明らかにレイはため息を吐いて、そんなんじゃないってと嫌そうな顔をしていた。
「いえいえ、今までご友人もあまりお呼びにならない方が、お客様をお連れになるとは。私も嬉しゅうございますよ」
若いのに?と私は思いながら、二人の会話を聞いていた。
友達とか、遊びに招いたりしないのかな。
玄関に向かって歩くレイに、男性も従って歩きながら嬉しそうだ。
「しかも、こんなお可愛らしいお嬢様とは。私も長生きしてみるもんですな、フォ、フォ、フォ」
「おい」
レイは立ち止まって突っ込むも、怒ってるふうではなかった。
「だから、そういうんじゃないって」
ため息混じりにブツブツ言いながら、彼は私の先を歩いて行った。
「レイお兄さま!」
「にいさま!おかえりなさい!」
私達が屋敷の玄関を入ると、何人かの使用人の人たちが頭を下げて並ぶ中、男の子と女の子の可愛い声が響いた。
いかにも貴族のお嬢様とお坊ちゃまって感じの、8、9歳くらいの可愛い女の子と5、6歳くらいの男の子が駆け寄って来る。
わあ~っ!お姫様と王子様だっ!ピッタリと当てはまるくらい二人とも可愛らしい。
二人ともレイと少し違って、明るい栗色の髪に瞳の色は綺麗な緑色だ。
元気で可愛い姉弟は、レイの腰に抱きついて嬉しそうにお出迎えをしていた。
レイも優しい笑みを浮かべて、嬉しそうに二人の頭をなでている。
「ああ、ただいま」
あ、そんなふうに笑うんだ。
一人っ子で、すでに家族もいない私は、一瞬、羨ましいのとちょっとだけ寂しさを感じた。
「ねえ、レイお兄さま!そちらのお姉さまがお客様なんでしょ?」
レイの腰に抱きついていた女の子が目をキラキラさせて私のほうを見た。
「ねえ、ねえ。早くご紹介してください」
弟くんも興味津々な感じで、私を見てニコニコしている。
「ああ、ミツキだ。大切なお客さまだから、二人とも頼むよ」
レイが優しい声音で二人に言うと、二人とも元気にハーイって返事する。
「ミツキのお洋服はなんだか変わってるのね」
そう言ったのは、やっぱりお洒落が気になるのか、女の子のほうだった。
この国の女性は庶民でも、みな足首まである服を着ていて、貴族はドレスを着ている。
やっぱりレイの妹姫も、足首まである可愛らしいレモン色のドレスを着ていた。
私のように膝下のフレアスカートだと、だいぶ短すぎるわよね。
貴族のお姫様から見ると、きっと驚きに違いない。
「ミツキはね、ここから遠い国から来たんだよ。ミツキの国の服装なんだ。だからこの国のこと、知らないこともあるかも知れないから、その時は教えてあげて欲しいな。できるかな?」
レイがうまくフォローしてくれた。
「もちろんよ!」
「ボクにもまかせてよ!」
ああ、なんて可愛らしい姉弟なの!
「ミツキ!」
二人はそれぞれ私の名前を呼びながら、目をキラキラさせて今度は私に抱きついてくる。
「大丈夫だよ!」
「困ったことがあったら、私に言ってね!」
ほんと二人ともっ、可愛すぎる~~~っ!
「ふふ…ありがとう。よろしくね!」
私も緊張がほぐれて、笑みが自然とこぼれる。
二人はお兄さんとずいぶん違って、とても人懐っこい性格のようだ。
そんな姉弟の後ろから、とても綺麗というか可愛らしいという言葉がピッタリ当てはまりそうなすごい美人が姿を現した。
若く見えるけど30歳くらいだろうか。とても可愛らしいけど、落ち着きがある。
白いレースのフリルがたくさんあしらわれた薄いピンク色のドレスに、胸元が大きくあいていて、白くふくよかな胸だとわかるけど、いやらしさを感じない。
「お出迎えに遅れてごめんなさい」
「マリアンヌ」
「おかえりなさい、レイ」
「ただいま」
そう言って、二人はさりげなくハグをする。
な、なんだろう!?この感じは……っ
私は、なんかここにいてはいけないような、見てはいけないような気がして、心の中でおどおどと慌ててしまった。
ど、どど、どうゆう関係!?
レイのお母さんにしては若すぎるよね!?
それに、マリアンヌさんは小さな妹弟と同じ栗色の髪で緑色の瞳をしている。
マリアンヌと挨拶を交わしたレイは私の方へ振り向き、彼女の腰に手を添えて紹介してくれた。
「ミツキ、彼女はマリアンヌ。この屋敷の女主人だ。困ったことがあったら、彼女に相談するといい」
お、女主人!?って、もしかして、レイには奥様がいたのぉ!?
いや?子どもたちはレイを“お兄さま”って言ってた。
婚約者とか!?
それとも、同棲している恋人とか!?
いや、じつは内縁の!?
あーっ、だから私の滞在を拒んでいたのかっ!!
いろんな想像がぐるぐると脳内を駆け巡る。
「マリアンヌです。ミツキよろしくね。どうぞここにいる間は我が家だと思って、過ごしてね」
とても優しく挨拶してもらったのだけど、あまりの予想していなかったことすぎて、そのあとのことは残念ながら、あまり覚えていない。
私が馬車を降りるとき、レイは馬車のすぐ横に立つけれど、今度はさっきの城の時のように、手を差し出してはくれなかった。
きっと私が、嫌がって手を取らなかった、って思われてしまったのかも知れないな。
ちょっと残念に思いながら、私も続いて降りると、執事みたいな格好をした白髪混じりの年配の男性がお迎えに出て待っていてくれた。
「おかえりなさいませ。レイファス様」
「ああ」
「そちらの方でございますね?整っております」
「そうか、急ですまない」
え?いつの間にか知らせていてくれたんだ。
「いえ。お珍しいことなので、屋敷の者たち喜んでおりますよ」
「はあぁ……」
明らかにレイはため息を吐いて、そんなんじゃないってと嫌そうな顔をしていた。
「いえいえ、今までご友人もあまりお呼びにならない方が、お客様をお連れになるとは。私も嬉しゅうございますよ」
若いのに?と私は思いながら、二人の会話を聞いていた。
友達とか、遊びに招いたりしないのかな。
玄関に向かって歩くレイに、男性も従って歩きながら嬉しそうだ。
「しかも、こんなお可愛らしいお嬢様とは。私も長生きしてみるもんですな、フォ、フォ、フォ」
「おい」
レイは立ち止まって突っ込むも、怒ってるふうではなかった。
「だから、そういうんじゃないって」
ため息混じりにブツブツ言いながら、彼は私の先を歩いて行った。
「レイお兄さま!」
「にいさま!おかえりなさい!」
私達が屋敷の玄関を入ると、何人かの使用人の人たちが頭を下げて並ぶ中、男の子と女の子の可愛い声が響いた。
いかにも貴族のお嬢様とお坊ちゃまって感じの、8、9歳くらいの可愛い女の子と5、6歳くらいの男の子が駆け寄って来る。
わあ~っ!お姫様と王子様だっ!ピッタリと当てはまるくらい二人とも可愛らしい。
二人ともレイと少し違って、明るい栗色の髪に瞳の色は綺麗な緑色だ。
元気で可愛い姉弟は、レイの腰に抱きついて嬉しそうにお出迎えをしていた。
レイも優しい笑みを浮かべて、嬉しそうに二人の頭をなでている。
「ああ、ただいま」
あ、そんなふうに笑うんだ。
一人っ子で、すでに家族もいない私は、一瞬、羨ましいのとちょっとだけ寂しさを感じた。
「ねえ、レイお兄さま!そちらのお姉さまがお客様なんでしょ?」
レイの腰に抱きついていた女の子が目をキラキラさせて私のほうを見た。
「ねえ、ねえ。早くご紹介してください」
弟くんも興味津々な感じで、私を見てニコニコしている。
「ああ、ミツキだ。大切なお客さまだから、二人とも頼むよ」
レイが優しい声音で二人に言うと、二人とも元気にハーイって返事する。
「ミツキのお洋服はなんだか変わってるのね」
そう言ったのは、やっぱりお洒落が気になるのか、女の子のほうだった。
この国の女性は庶民でも、みな足首まである服を着ていて、貴族はドレスを着ている。
やっぱりレイの妹姫も、足首まである可愛らしいレモン色のドレスを着ていた。
私のように膝下のフレアスカートだと、だいぶ短すぎるわよね。
貴族のお姫様から見ると、きっと驚きに違いない。
「ミツキはね、ここから遠い国から来たんだよ。ミツキの国の服装なんだ。だからこの国のこと、知らないこともあるかも知れないから、その時は教えてあげて欲しいな。できるかな?」
レイがうまくフォローしてくれた。
「もちろんよ!」
「ボクにもまかせてよ!」
ああ、なんて可愛らしい姉弟なの!
「ミツキ!」
二人はそれぞれ私の名前を呼びながら、目をキラキラさせて今度は私に抱きついてくる。
「大丈夫だよ!」
「困ったことがあったら、私に言ってね!」
ほんと二人ともっ、可愛すぎる~~~っ!
「ふふ…ありがとう。よろしくね!」
私も緊張がほぐれて、笑みが自然とこぼれる。
二人はお兄さんとずいぶん違って、とても人懐っこい性格のようだ。
そんな姉弟の後ろから、とても綺麗というか可愛らしいという言葉がピッタリ当てはまりそうなすごい美人が姿を現した。
若く見えるけど30歳くらいだろうか。とても可愛らしいけど、落ち着きがある。
白いレースのフリルがたくさんあしらわれた薄いピンク色のドレスに、胸元が大きくあいていて、白くふくよかな胸だとわかるけど、いやらしさを感じない。
「お出迎えに遅れてごめんなさい」
「マリアンヌ」
「おかえりなさい、レイ」
「ただいま」
そう言って、二人はさりげなくハグをする。
な、なんだろう!?この感じは……っ
私は、なんかここにいてはいけないような、見てはいけないような気がして、心の中でおどおどと慌ててしまった。
ど、どど、どうゆう関係!?
レイのお母さんにしては若すぎるよね!?
それに、マリアンヌさんは小さな妹弟と同じ栗色の髪で緑色の瞳をしている。
マリアンヌと挨拶を交わしたレイは私の方へ振り向き、彼女の腰に手を添えて紹介してくれた。
「ミツキ、彼女はマリアンヌ。この屋敷の女主人だ。困ったことがあったら、彼女に相談するといい」
お、女主人!?って、もしかして、レイには奥様がいたのぉ!?
いや?子どもたちはレイを“お兄さま”って言ってた。
婚約者とか!?
それとも、同棲している恋人とか!?
いや、じつは内縁の!?
あーっ、だから私の滞在を拒んでいたのかっ!!
いろんな想像がぐるぐると脳内を駆け巡る。
「マリアンヌです。ミツキよろしくね。どうぞここにいる間は我が家だと思って、過ごしてね」
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