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12、真相
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皆さん、ご機嫌よう。
僕の名はアルベール・ルベッソン。
恋愛ゲームの攻略キャラの一人です。
僕は今、王太子殿下を人質にとり、教室を凍らせています……
何故か王太子殿下はちょっと嬉しそうです……
意味が分かりません……
「やれやれ、何という茶番ですか……」
モブ男君が指をパチンと鳴らすと、僕の氷魔法が打ち消された。
教室の氷が溶ける。
「あなた、どうしているの?!」
女主人公がモブ男君を見て、悲鳴を上げる。
え? モブ男君、ずっとそこにいたじゃないか。
何を言っているんだ? この女主人公。
「どうしたんです? 幽霊でも見たような顔をして?」
モブ男君は女主人公にニコニコ笑いかけた。
「だって、その見た目……」
「これですか?」
モブ男君がメガネを外すと、モブ男君の外見が変化した。
黒髪黒目の平凡な顔から、青髪紫目の美少年になってしまったのだ。
これは……男主人公だ。
男主人公は未プレイだったから、全然意識していなかった。
あ!と全員が息を飲む。
「皆さん、俺の顔を見てそんな顔をするってことは、本当は全員転生者なんですよね?」
男主人公はニコニコ笑いながら言う。
「この世界はゲームの世界ですが、ここにいる人達はゲームのキャラなんかじゃない。ただ与えられた役割を演じているだけ」
男主人公は一人一人見つめながら言う。
「生身の人間なのです。元いた世界と変わりません。自分好き勝手に生きてはいけない世界なのです」
男主人公は女主人公に微笑む。
「男主人公のルートでは悪役令嬢が攻略対象になります。だから、女主人公であるマリーは俺のことが邪魔だったようで、俺を消そうとしました」
「何を言って……」
女主人公は男主人公を睨み付けた。
「俺が知らないとでも思いましたか。俺に毒を盛ったこともありますよね。崖から馬車ごと落としたことも……」
「あの時、確かに馬車は落ちて……」
「俺だけが生き残りました。ですが、一緒に乗っていた弟は助かりませんでした。ずっと、貴女に復讐したかった」
男主人公は温厚そうな顔でニコニコ笑っている。
僕は背筋がぞくりとした。
「あの日から俺は姿形を変え、別人として生きることにしました。貴女のことを忘れた瞬間はありませんでしたよ」
女主人公はヒッと悲鳴をあげた。
「そろそろ貴女は舞台から降りなければならない」
男主人公は女主人公の手首を乱暴に掴んだ。
「やめて! 離して……」
「主人公交代だ」
女主人公は男主人公に魔力を奪われ、地面にへたりこんだ。
男主人公は穢らわしいものでも触ったかのようにハンカチで手を拭いている。
「命は取らなかったのだから、感謝して欲しいものだな」
男主人公は女主人公を睨みつけている。
「後の処遇は私に任せてくれ。徹底的に調べる」
王太子殿下は僕の人質になったまま、威厳を見せつけた。
「あ! 王太子殿下、失礼しました」
僕は慌てて、王太子殿下を解放した。
「気にしなくて良い。アナベルの件も濡れ衣であろう?」
「はあ……まあ……」
なんか雰囲気にのまれて、とんでもないことを口走ったような気がするが……
よく考えると、王太子殿下の婚約者に横恋慕した罪とかにならないかな?
「私の婚約者と仲良くしてくれて感謝する。君の好きは友情の好きと私は解釈している。それより、アルベール」
王太子殿下は少し恥ずかしそうに言った。
「私の親友になってくれないか?」
僕の名はアルベール・ルベッソン。
恋愛ゲームの攻略キャラの一人です。
僕は今、王太子殿下を人質にとり、教室を凍らせています……
何故か王太子殿下はちょっと嬉しそうです……
意味が分かりません……
「やれやれ、何という茶番ですか……」
モブ男君が指をパチンと鳴らすと、僕の氷魔法が打ち消された。
教室の氷が溶ける。
「あなた、どうしているの?!」
女主人公がモブ男君を見て、悲鳴を上げる。
え? モブ男君、ずっとそこにいたじゃないか。
何を言っているんだ? この女主人公。
「どうしたんです? 幽霊でも見たような顔をして?」
モブ男君は女主人公にニコニコ笑いかけた。
「だって、その見た目……」
「これですか?」
モブ男君がメガネを外すと、モブ男君の外見が変化した。
黒髪黒目の平凡な顔から、青髪紫目の美少年になってしまったのだ。
これは……男主人公だ。
男主人公は未プレイだったから、全然意識していなかった。
あ!と全員が息を飲む。
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男主人公はニコニコ笑いながら言う。
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男主人公は一人一人見つめながら言う。
「生身の人間なのです。元いた世界と変わりません。自分好き勝手に生きてはいけない世界なのです」
男主人公は女主人公に微笑む。
「男主人公のルートでは悪役令嬢が攻略対象になります。だから、女主人公であるマリーは俺のことが邪魔だったようで、俺を消そうとしました」
「何を言って……」
女主人公は男主人公を睨み付けた。
「俺が知らないとでも思いましたか。俺に毒を盛ったこともありますよね。崖から馬車ごと落としたことも……」
「あの時、確かに馬車は落ちて……」
「俺だけが生き残りました。ですが、一緒に乗っていた弟は助かりませんでした。ずっと、貴女に復讐したかった」
男主人公は温厚そうな顔でニコニコ笑っている。
僕は背筋がぞくりとした。
「あの日から俺は姿形を変え、別人として生きることにしました。貴女のことを忘れた瞬間はありませんでしたよ」
女主人公はヒッと悲鳴をあげた。
「そろそろ貴女は舞台から降りなければならない」
男主人公は女主人公の手首を乱暴に掴んだ。
「やめて! 離して……」
「主人公交代だ」
女主人公は男主人公に魔力を奪われ、地面にへたりこんだ。
男主人公は穢らわしいものでも触ったかのようにハンカチで手を拭いている。
「命は取らなかったのだから、感謝して欲しいものだな」
男主人公は女主人公を睨みつけている。
「後の処遇は私に任せてくれ。徹底的に調べる」
王太子殿下は僕の人質になったまま、威厳を見せつけた。
「あ! 王太子殿下、失礼しました」
僕は慌てて、王太子殿下を解放した。
「気にしなくて良い。アナベルの件も濡れ衣であろう?」
「はあ……まあ……」
なんか雰囲気にのまれて、とんでもないことを口走ったような気がするが……
よく考えると、王太子殿下の婚約者に横恋慕した罪とかにならないかな?
「私の婚約者と仲良くしてくれて感謝する。君の好きは友情の好きと私は解釈している。それより、アルベール」
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