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後編
79.最終決戦(1)
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「__罠にはめようとしているってどう言う事!?」
「お母様、言っていたわ。悪い鼠が忍び込んできて、今夜自分を殺しにやってくるんだって。」
「な、なんですって!?」
エラは叫んだ。_と、同時に、
__ドガァッッッ!!
爆音が鳴り響く。エラも姫も一斉に顔をあげた。
「ダンスホールの方だわ!今、仮面舞踏会が開かれてるの!」
エラは血の気が引くのを感じた。針鼠は明日劇場車が2回目の公演をする時に襲撃すると言っていた。今夜は襲撃を行わないはずだ。だが、今の爆音はどう考えても何かあったと言う事だ。姫の言葉が嘘だとは到底思えない。
(針鼠……まさか本当に……?)
エラは頭が真っ白になる。もし本当に今彼らが襲撃をしているのだとしたら、エラは彼らに置いて行かれたという事になる。
(どうして? 足手まといになると思った? いえ……そんなはずはないわ。)
確かにエラはさっきまで魔力が枯渇していて使い物にならなかったが、今みたいに数時間寝ればすぐに回復する。エラの魔力は強大だ。エラを連れて行った方が明らかに勝算が高いはずだ。
エラは最後に針鼠に会った時の事を思い出した。
針鼠はエラの声が奪われた時、落ち込んでいた。それだけじゃない。髪も生理も、エラが何かを奪われる度、決して表に出さないが、傷ついていた。針鼠はこれ以上エラに魔法を使わせたくなかったのだ。エラの呪いが解けると思っている以上、もうエラに危険をおかしてほしくないのだ。他の人たちもそれに賛成したのだろう。唯一事情を知っている神父さえも彼らを止めようとはしなかった。そうすれば必然的にエラの呪いが本当は解けないという事を針鼠達に言わなければならなくなる。エラはもう誰も心配させたくなかった。
「女王様はなんで今夜襲撃される事を知っていたの!?」
「『白い蝶』に聞いたからだと言っていたわ。」
「白い蝶って……。」
エラは白い蝶に心当たりがあった。姫の言う『白い蝶』は、エラがこれまで見てきた白い蝶と同じ物なのだろうか。
「お母様は白い蝶は魔力の結晶のようなものだと言っていたわ。魔力が強い者にしか見えないんだって。お母様はとても強い魔法使いだから、白い蝶達はお母様の味方をしてくれるし、時々導いてくれるらしいわ。だから白い蝶は唯一自分を裏切らない、信頼できるって…。崖の上の公開処刑で、『白い教会』っていう怖い人達が襲いにきた時も白い蝶が教えてくれたから魔獣で追い払う事ができたそうよ。」
エラは頭上を見上げた。
そこにはさっき姫の元までエラを導いた白い蝶が飛んでいた。白い蝶は善悪ではなく、エラが強い魔法使いだからエラを導いていたのだ。
「__お、おいさっきの爆音、聞こえたか?」
突然、知らない声が聞こえてくる。エラは息が止まるかと思った。姫も息をのむ。すぐ向こうの建物の陰で衛兵二人が話していた。
「まさか……また女王陛下の癇癪か?」
「……みたいだな。お偉方は、またあれを止めろなんて言わねえよな?」
衛兵達はエラ達には気づいていないようだった。
姫が小さな声でささやいた。
「私があの人達をひきつけるから、逃げて。」
エラは少し迷ってから頷く。姫は立ち上がった。
「……今度こそ、あなたとは永遠のお別れになってしまうかもしれないわね……。あなたは最悪だと思うだろうけど、私はあなたに会えて良かった。幸運を祈るわ。」
一瞬姫の寂しげな感情がエラの中に流れ込んでくる。
「……。」
エラは振り返る事なく走った。物陰に隠れながら爆音がした方向へ進む。
近くまで進むと、次第に数人が集まっているのが見えてきた。
華やかなドレスを着た人々と兵士たちが何か揉めている。例の爆音のせいで逃げてきた貴族達が混乱しているのを兵士達が落ち着かせている様子だ。エラは彼らに見つからないようにそっと闇に紛れて先へ進もうとする。
しかし、__
「おい、そこの者止まれ!」
一人の兵士がエラの存在に気づき、呼びかける。エラは全速力で走り出した。他の兵士たちもエラの存在に気づいてエラを追う。
(……え?)
しかし、エラはこの時、自分の体に異変が起きているのに気づいた。
全身がうっすらと白く光っているのだ。
エラはこの光景を見た事があった。『歩く月』の蛇女が女王との契約によって死んでしまった時に全身から光を放っていた。あの時程強く光っていないが、同じように女王の呪いによる光なのではないか、と直感的に理解した。
_つまり、エラの寿命が近づいているのだ。
エラはショックを受けた。
怖い。怖くて怖くてたまらない。
今まで散々自分の死について考えてきたのに、いざ目の前にすると、これまで感じた事のないような恐怖が襲ってきた。
「……な、なんだ……あれは……!? 体が光ってるぞ!?」
兵士の混乱する声にエラははっと我にかえる。
_今捕まれば、仲間が……針鼠が取り返しのつかない事になる。
自分の中の恐怖を、仲間を思う気持ちでなんとか抑える。エラはなんとか全身に力を込めて走る。
「……ぁ……はぁ……はあ……ッ……」
呪いで片肺を奪われたせいですぐにエラは息切れし始める。すぐ後ろには何人もの兵士たちがエラを捕まえようと押し寄せてくる。エラは走るのを諦め体を浮かせようと杖を取り出す。しかし、
「このッ……止まれッ……!!」
追ってきた兵士の一人が覆いかぶさってきた。エラは咄嗟に避ける。だが、足を捕まれ転倒する。
「捕まえたぞ!」
兵士は叫ぶ。エラはすぐに杖を兵士にかざし攻撃魔法をぶつけようとした。しかし_
「____ッ!!ひいっ……脚が……消えたっ……!?」
兵士は声を裏返して叫んだ。
___エラの脚は消えていた。
痛みはない。だが、エラの中で恐怖と混乱が湧き上がる。スカートの中身を確認する勇気はなかった。
兵士は顔を引き攣らせたまま動かない。エラは魔法で体を浮かせた。脚が無くなった分、体が軽くなり前より高く速く浮かせられる。
「ゆ、幽霊だ!!」
他の兵士たちもざわついている。エラは混乱する兵士たちに脇目も振らず仲間の元へ体を飛ばした。
「お母様、言っていたわ。悪い鼠が忍び込んできて、今夜自分を殺しにやってくるんだって。」
「な、なんですって!?」
エラは叫んだ。_と、同時に、
__ドガァッッッ!!
爆音が鳴り響く。エラも姫も一斉に顔をあげた。
「ダンスホールの方だわ!今、仮面舞踏会が開かれてるの!」
エラは血の気が引くのを感じた。針鼠は明日劇場車が2回目の公演をする時に襲撃すると言っていた。今夜は襲撃を行わないはずだ。だが、今の爆音はどう考えても何かあったと言う事だ。姫の言葉が嘘だとは到底思えない。
(針鼠……まさか本当に……?)
エラは頭が真っ白になる。もし本当に今彼らが襲撃をしているのだとしたら、エラは彼らに置いて行かれたという事になる。
(どうして? 足手まといになると思った? いえ……そんなはずはないわ。)
確かにエラはさっきまで魔力が枯渇していて使い物にならなかったが、今みたいに数時間寝ればすぐに回復する。エラの魔力は強大だ。エラを連れて行った方が明らかに勝算が高いはずだ。
エラは最後に針鼠に会った時の事を思い出した。
針鼠はエラの声が奪われた時、落ち込んでいた。それだけじゃない。髪も生理も、エラが何かを奪われる度、決して表に出さないが、傷ついていた。針鼠はこれ以上エラに魔法を使わせたくなかったのだ。エラの呪いが解けると思っている以上、もうエラに危険をおかしてほしくないのだ。他の人たちもそれに賛成したのだろう。唯一事情を知っている神父さえも彼らを止めようとはしなかった。そうすれば必然的にエラの呪いが本当は解けないという事を針鼠達に言わなければならなくなる。エラはもう誰も心配させたくなかった。
「女王様はなんで今夜襲撃される事を知っていたの!?」
「『白い蝶』に聞いたからだと言っていたわ。」
「白い蝶って……。」
エラは白い蝶に心当たりがあった。姫の言う『白い蝶』は、エラがこれまで見てきた白い蝶と同じ物なのだろうか。
「お母様は白い蝶は魔力の結晶のようなものだと言っていたわ。魔力が強い者にしか見えないんだって。お母様はとても強い魔法使いだから、白い蝶達はお母様の味方をしてくれるし、時々導いてくれるらしいわ。だから白い蝶は唯一自分を裏切らない、信頼できるって…。崖の上の公開処刑で、『白い教会』っていう怖い人達が襲いにきた時も白い蝶が教えてくれたから魔獣で追い払う事ができたそうよ。」
エラは頭上を見上げた。
そこにはさっき姫の元までエラを導いた白い蝶が飛んでいた。白い蝶は善悪ではなく、エラが強い魔法使いだからエラを導いていたのだ。
「__お、おいさっきの爆音、聞こえたか?」
突然、知らない声が聞こえてくる。エラは息が止まるかと思った。姫も息をのむ。すぐ向こうの建物の陰で衛兵二人が話していた。
「まさか……また女王陛下の癇癪か?」
「……みたいだな。お偉方は、またあれを止めろなんて言わねえよな?」
衛兵達はエラ達には気づいていないようだった。
姫が小さな声でささやいた。
「私があの人達をひきつけるから、逃げて。」
エラは少し迷ってから頷く。姫は立ち上がった。
「……今度こそ、あなたとは永遠のお別れになってしまうかもしれないわね……。あなたは最悪だと思うだろうけど、私はあなたに会えて良かった。幸運を祈るわ。」
一瞬姫の寂しげな感情がエラの中に流れ込んでくる。
「……。」
エラは振り返る事なく走った。物陰に隠れながら爆音がした方向へ進む。
近くまで進むと、次第に数人が集まっているのが見えてきた。
華やかなドレスを着た人々と兵士たちが何か揉めている。例の爆音のせいで逃げてきた貴族達が混乱しているのを兵士達が落ち着かせている様子だ。エラは彼らに見つからないようにそっと闇に紛れて先へ進もうとする。
しかし、__
「おい、そこの者止まれ!」
一人の兵士がエラの存在に気づき、呼びかける。エラは全速力で走り出した。他の兵士たちもエラの存在に気づいてエラを追う。
(……え?)
しかし、エラはこの時、自分の体に異変が起きているのに気づいた。
全身がうっすらと白く光っているのだ。
エラはこの光景を見た事があった。『歩く月』の蛇女が女王との契約によって死んでしまった時に全身から光を放っていた。あの時程強く光っていないが、同じように女王の呪いによる光なのではないか、と直感的に理解した。
_つまり、エラの寿命が近づいているのだ。
エラはショックを受けた。
怖い。怖くて怖くてたまらない。
今まで散々自分の死について考えてきたのに、いざ目の前にすると、これまで感じた事のないような恐怖が襲ってきた。
「……な、なんだ……あれは……!? 体が光ってるぞ!?」
兵士の混乱する声にエラははっと我にかえる。
_今捕まれば、仲間が……針鼠が取り返しのつかない事になる。
自分の中の恐怖を、仲間を思う気持ちでなんとか抑える。エラはなんとか全身に力を込めて走る。
「……ぁ……はぁ……はあ……ッ……」
呪いで片肺を奪われたせいですぐにエラは息切れし始める。すぐ後ろには何人もの兵士たちがエラを捕まえようと押し寄せてくる。エラは走るのを諦め体を浮かせようと杖を取り出す。しかし、
「このッ……止まれッ……!!」
追ってきた兵士の一人が覆いかぶさってきた。エラは咄嗟に避ける。だが、足を捕まれ転倒する。
「捕まえたぞ!」
兵士は叫ぶ。エラはすぐに杖を兵士にかざし攻撃魔法をぶつけようとした。しかし_
「____ッ!!ひいっ……脚が……消えたっ……!?」
兵士は声を裏返して叫んだ。
___エラの脚は消えていた。
痛みはない。だが、エラの中で恐怖と混乱が湧き上がる。スカートの中身を確認する勇気はなかった。
兵士は顔を引き攣らせたまま動かない。エラは魔法で体を浮かせた。脚が無くなった分、体が軽くなり前より高く速く浮かせられる。
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他の兵士たちもざわついている。エラは混乱する兵士たちに脇目も振らず仲間の元へ体を飛ばした。
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