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導入
2.体の大切な部分が徐々になくなっていく呪いをかけられた貴族令嬢の話(2)
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「今度私の誕生日でしょう?それで、私のお誕生日のダンスパーティーにあなたをお誘いしたいと思ったの。」
「え……?」
エラは目を大きく広げた。姫の17歳の誕生日がもうすぐ来るのは知っている。しかし、誕生日会にお呼ばれするとは思っていなかった。毎年、姫の誕生日パーティーには貴族の限られた人間のみが参加を許され、盛大なパーティーが開かれる。
「姫様、それは私のような下級貴族の者が行くような所ではありませんわ!」
「でも、エラの家は元々は上級貴族でしょう?」
「それは……」
エラは苦い顔をした。
「なぜ姫様は私をダンスパーティーに誘われようと思ったのですか?」
「あなたのためよ、エラ。あなたは自分の家をいつか再興させたいと思っている。そうでしょ?」
「……え、ええ。そうです。」
「でも、あなたは積極性が足りないわ。意地でも身分の高い人と繋がって這い上がってやろうってガッツが足りないの!このままじゃいつまで経っても再興は叶わないわ。それに、エラみたいに素晴らしい人が日陰に隠れてしまうのはとても残念な事だと思うのよ。あなたは今は身分が低いかもしれないけれど、きっといつか高貴な身分の男の人と結ばれる事だってできるはずよ!だってこんなに美しいんだもの!それに優秀だわ!」
突然、姫に褒められて、エラは顔を真っ赤に赤らめる。姫はかなりエラの容姿を気に入っているらしい。
エラ自身も特に自慢できる物のない中で唯一少しだけ自慢に思っているのが自分の顔だった。
「姫様は私の事を褒めすぎです。成績だって、私はスクールで中くらいですわ。」
「とてもすごいわ!」
「すごくありません!勉強もお稽古も、ほとんど休まずに熱心に取り組んでいるはずなのに、何一つとして私の取り柄となるようなものはありませんわ。…才能がないんです。だから、あまり私の事を褒めないでください。」
「成績にはなかなか表れないかもしれないけど、熱心に物事に取り組む姿勢はとても素晴らしいものだと思うわ。以前に私はあなたに聞いた事があったわよね。『同世代の子達がもっと適当にこなしている中で何故あなたは真面目に勉強しているの?』って。その時あなたは『勉強して、お稽古して、優秀な人間になれば、叔父様や叔母様のためになると思ったから。』って言ったわ。」
エラはとある事情でおじさん夫婦の元で暮らしていた。自分の親でない二人に育ててもらった恩があり、彼女はいつか恩返しがしたいと考えていた。
「私はその時、あなたは他の子と違うと思ったの。」
姫は興奮でますます長い耳をピンっと立てた。
「皆、身分の高い素敵な男の人と結婚したいとか、お金持ちになりたいとか、自分の事ばかりだと思うの。でも、エラは違うわ。叔父様や叔母様に対する献身的な想いはとても美しいと思う。だから、エラはとても素晴らしい人間だと思うし、機会を与えられるべきだと思うわ。」
「……でも、私のような者が行っても白い目で見られるだけです……。」
エラは少し口籠った。上級貴族の中に入っていくのは怖い。
だが、もっと怖いのは女王と近づく事になるかもしれないという事だ。そんな事、姫の前では絶対に言えない。
「それは……た、多少は我慢するしかないわ。そうすれば、上級貴族の殿方の目にとまるかもしれない。叔父様達だって喜ぶはずだわ。」
エラは押し黙った。自分のような人間がのうのうと高貴な集まりに参加するだなんて、あまりにも恐れ多い。だが、姫に叔父と叔母の名前を出されて、思いとどまった。
エラの実の父親はホール家の当主だった。エラの父は大酒飲みで金を湯水のように使い果たしだらしのない生活をしていた。ホール家は元々は上級貴族だったのだが、父親のだらしなさのせいで、下級貴族に降格されてしまったのだ。だから、今、エラの叔父は多くの苦痛や屈辱と闘いながら現当主を務めている。そんな中でも、叔父夫婦はエラを今日まで大切に育ててくれたのだ。
彼女は日々、どうやって育ててもらった恩を返そうか考えていた。もしかしたらこのパーティーで上級貴族と太いつながりを持てるかもしれない。そしてもしかしたら結婚だってできるかもしれない。
エラは叔父と叔母が喜んでいる顔を想像した。
「……無理に行動して危ない橋を渡るのは危険すぎるって思ってるんでしょ?そんなの単に失敗するのが怖いだけの言い訳に過ぎないわ。」
姫が鋭い事をいう。
確かに、このまま現状維持を続けてもホール家は永遠に下級貴族のままである。貴族界のいい笑いものだ。親のせいでホール家が辛酸をなめているのなら、後始末はエラが果たすべき役目なのかもしれない。
そこまで考えてエラはふとある物に目がとまった。
「____」
「どうしたの?」
姫は不思議に思って、尋ねた。姫には、エラが何もない所を見て驚いているように見えた。
「……赤い蝶が……。」
エラは一瞬視界の端に珍しい赤い蝶がヒラヒラと飛んでいるように見えた。
「蝶?」
「……よくない事が起こる時、見る事があるのです。」
姫はエラが見ている方向を見る。だが、何もない。
「……姫様、やはり、パーティーに行くことはできません。何か嫌な予感がしますわ。」
「そんな!きっと大丈夫よ!赤い蝶だって、私には見えないもの。エラは色々と心配しすぎよ。」
「……でも……」
「これが最後のチャンスになるかもしれないのよ?エラはもうとっくに結婚を考えても良い年齢だわ。いつまでも行動しないで、乗り遅れて、最後に叔父様達が悲しい思いをしてももう遅いわ。あなたはホール家の一人娘_最後の希望なのだから、勇気をだして、行動しなくちゃ。」
「……それは……」
「大丈夫、何かあれば、私が上手く立ち回るわ。一緒に行きましょう?」
エラは姫のキラキラした瞳に促されて、最後には弱々しく頷いてしまった。エラは再び赤い蝶がいた方を見たが、その時には既にいなくなっていた。
「え……?」
エラは目を大きく広げた。姫の17歳の誕生日がもうすぐ来るのは知っている。しかし、誕生日会にお呼ばれするとは思っていなかった。毎年、姫の誕生日パーティーには貴族の限られた人間のみが参加を許され、盛大なパーティーが開かれる。
「姫様、それは私のような下級貴族の者が行くような所ではありませんわ!」
「でも、エラの家は元々は上級貴族でしょう?」
「それは……」
エラは苦い顔をした。
「なぜ姫様は私をダンスパーティーに誘われようと思ったのですか?」
「あなたのためよ、エラ。あなたは自分の家をいつか再興させたいと思っている。そうでしょ?」
「……え、ええ。そうです。」
「でも、あなたは積極性が足りないわ。意地でも身分の高い人と繋がって這い上がってやろうってガッツが足りないの!このままじゃいつまで経っても再興は叶わないわ。それに、エラみたいに素晴らしい人が日陰に隠れてしまうのはとても残念な事だと思うのよ。あなたは今は身分が低いかもしれないけれど、きっといつか高貴な身分の男の人と結ばれる事だってできるはずよ!だってこんなに美しいんだもの!それに優秀だわ!」
突然、姫に褒められて、エラは顔を真っ赤に赤らめる。姫はかなりエラの容姿を気に入っているらしい。
エラ自身も特に自慢できる物のない中で唯一少しだけ自慢に思っているのが自分の顔だった。
「姫様は私の事を褒めすぎです。成績だって、私はスクールで中くらいですわ。」
「とてもすごいわ!」
「すごくありません!勉強もお稽古も、ほとんど休まずに熱心に取り組んでいるはずなのに、何一つとして私の取り柄となるようなものはありませんわ。…才能がないんです。だから、あまり私の事を褒めないでください。」
「成績にはなかなか表れないかもしれないけど、熱心に物事に取り組む姿勢はとても素晴らしいものだと思うわ。以前に私はあなたに聞いた事があったわよね。『同世代の子達がもっと適当にこなしている中で何故あなたは真面目に勉強しているの?』って。その時あなたは『勉強して、お稽古して、優秀な人間になれば、叔父様や叔母様のためになると思ったから。』って言ったわ。」
エラはとある事情でおじさん夫婦の元で暮らしていた。自分の親でない二人に育ててもらった恩があり、彼女はいつか恩返しがしたいと考えていた。
「私はその時、あなたは他の子と違うと思ったの。」
姫は興奮でますます長い耳をピンっと立てた。
「皆、身分の高い素敵な男の人と結婚したいとか、お金持ちになりたいとか、自分の事ばかりだと思うの。でも、エラは違うわ。叔父様や叔母様に対する献身的な想いはとても美しいと思う。だから、エラはとても素晴らしい人間だと思うし、機会を与えられるべきだと思うわ。」
「……でも、私のような者が行っても白い目で見られるだけです……。」
エラは少し口籠った。上級貴族の中に入っていくのは怖い。
だが、もっと怖いのは女王と近づく事になるかもしれないという事だ。そんな事、姫の前では絶対に言えない。
「それは……た、多少は我慢するしかないわ。そうすれば、上級貴族の殿方の目にとまるかもしれない。叔父様達だって喜ぶはずだわ。」
エラは押し黙った。自分のような人間がのうのうと高貴な集まりに参加するだなんて、あまりにも恐れ多い。だが、姫に叔父と叔母の名前を出されて、思いとどまった。
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彼女は日々、どうやって育ててもらった恩を返そうか考えていた。もしかしたらこのパーティーで上級貴族と太いつながりを持てるかもしれない。そしてもしかしたら結婚だってできるかもしれない。
エラは叔父と叔母が喜んでいる顔を想像した。
「……無理に行動して危ない橋を渡るのは危険すぎるって思ってるんでしょ?そんなの単に失敗するのが怖いだけの言い訳に過ぎないわ。」
姫が鋭い事をいう。
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そこまで考えてエラはふとある物に目がとまった。
「____」
「どうしたの?」
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「……赤い蝶が……。」
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「そんな!きっと大丈夫よ!赤い蝶だって、私には見えないもの。エラは色々と心配しすぎよ。」
「……でも……」
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