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横たわる裸体

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「ジャンヌ!」



 俺は体育館裏の人だかりの出来ている方へ向かって行った。既に授業が始まっているため学生の野次馬はおらず、現場を見に来たであろう教師達が深刻そうな顔を並べて会話をしている。

 その向こうに治療魔法の先生二人が囲むように座り、横たわっている誰かを治療している。その人物は、裸体で横たわっているように見える。俺は吐き気がこみ上げるのを抑えて近づいていく。



「そこで何をしている。野次馬はやめろ。早く授業に戻りなさい」



 立ち話をしていた先生の一人が俺の方に向かってきた。



「倒れているのは我が友なのだ! 通してくれ! 話をさせてくれ!」



 俺は教師の横をすり抜け、ジャンヌの元に滑るようにしゃがみんこんだ。そこには中年太りした裸のおっさんが横たわっておったのじゃ。

 そう。例のレモンのおっさんこと伊達さんである。



「お前かよ!」



 俺は全力疾走した疲れもあって、そのままズザーッと地面に滑り込んでしまった。ホッとしたような、拍子抜けしたような、とにかく一気に力が抜けた。



「う、うう……」



 伊達さんは一応怪我をしているらしく、苦しげな声をあげる。



「う、う、生まれる……!」

「何を産むつもりなんだよ」

「頑張って! 産卵のシーズンにはまだ早いわよ!」



 治癒魔法の先生が声かけをしている。何その人類に対する冒涜。



「ダメだ! もうそこまで来てる!」

「死んでも押し戻せ!」



 その時、伊達さんの目が開き、俺の存在に気付いた。



「クラウス……。すまん。股間のレモンは守りきれなかった……」

「貴様には失うものなどないだろう」



 待て。どんな風に情報が捻れたら、倒れている人物がジャンヌから裸のおっさんになるんだ。錬金術か? だいぶ特殊な錬金術師だな。



「ねえ君。もしかしてあの胸の大きい子の友達?」



 大きい胸=ジャンヌ



「そうだ! そのそびえ立つ双璧の持ち主は我が友なのだ! 彼女は無事なのか」



 治癒魔法の先生は互いに目を見合わせた。



「無事だ。今は救護室に搬送されている」



 伊達さんが答えた。お前が答えるんかい。

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