上 下
6 / 92

サンドウィッチ

しおりを挟む

「ギラから来たクラウス・K・レイヴンフィールドです。これからよろしくお願いします」



 まばらな拍手が生徒たちの席から起こる。ちらりと後ろの席のジャンヌに目をやると、退屈そうに腕組みをしてこちらを見ている。

 あの子、優しかったなあ。彼女が導いてくれなければ、俺は今頃校内を彷徨うアンデッドになっていたかもしれない。



「では改めて魔法概論の授業を始めようと思う。どうだろう。レイヴンフィールド君も編入したてでまだ何も分からないだろうし、今日は基礎の基礎から復習してみようか」



 俺が着席するのを待って、老齢の先生はにこやかに言った。あらやだ、優しい。

 魔法の「魔」の字も知らないこちらとしては願ってもない提案だ。

 よーし。集中して授業を受けるぞ。まだ文字を書くことは出来ないが、内容を覚えておけば授業には付いていけるかもしれない。



 と思っていた次の瞬間、黒板を振り向いた先生は、まるで脱穀機のような動きで板書を始めた。黒板が白く塗りつぶされていく。





「一般的に魔力はmpとして表され、1mp=地面に置かれたリンゴを1m浮かせる力とされていますね。また、魔力の変換効率は属性により異なり、例えば炎魔法では40~50%、水属性魔法なら80%~90%となるわけですね。この変換効率を求める数式は(属性魔法÷変換される魔力)で求められるわけですが……」



 んほお!  一言も分からないのおおおおおおお!



「はい、ではここでクラウスくん」

「分かりません」

「まだ何も言ってないぞ!」



 いやどんな問題が飛んできても分かるわけねえだろ! 俺の学力の低さなめんなよ、その辺の野良犬と変わらねえからな! 聞くんならスリーサイズとかにしてくれ!



「えー、じゃあそうだな。ジャンヌ。ちょっと授業が終わるまでクラウスくんに付いて教えてあげてくれないか? お前、一番魔法概論得意だろう」



 ーートゥンク

 えっ、ジャンヌってさっき廊下で話しかけてくれたあの子か? さっき良い出会いをして、またもや引き寄せられるなんて、偶然にしては出来過ぎている。もしかしてこれ、運命? 俺は不意に胸のトゥキメキを覚えた。



「ジャンヌ、クラウス君の隣に」

「面倒臭いから嫌です」



 ジャンヌさん!? さっきはあんなに助けてくれたじゃない! 何でそんな俺の心を抉る拒否の仕方するの!?



「まあまあ、そう言わずに」

「見知らぬ男子の隣に行きたくありません」



 あれ!? 何かジャンヌの中で俺たち出会ってないことになってない!? 僕達は出会い別れ別々の道を歩むの!? 

 俺はちょっと好きになりそうだった女の子から突き放され、完全に我を失い放心状態になっていた。





 ※※※





 そして放心状態のまま昼休みがやってきた。どの生徒達も、「どの学食に行くのか」とか「早く売店に行かないとサンドウィッチが売り切れる」など、昼食の会話をしている。

 そんな中、俺の一大関心事は速やかに教室を出ること、そしていかに誰もいない場所で昼休みをやり過ごすか、だった。



 腹が減っていないわけではない。わけではないが、どうせ誰かに誘われるわけもないし、一人でこの殺人的な人数でごった返す学食に行く勇気も無いので空腹を生贄に、静かな昼休みを召喚することにしたのだ。



 で、やって来たのが中庭の木の下である。午前中、移動教室の時に目星を付けておいた場所だ。中庭は綺麗に芝が整えられ、背の高い木や、お洒落なベンチがちらほら置いてある。恐らく普段は学生達の憩いの場になっているのだろう。



 しかし、木の下に腰を下ろした俺の視界には全く他の生徒達は映っていない。二時間ほど前から降り始めた雨がつい先程止んだばかりで、地面が湿っているのを嫌ったのだろう。



 もちろん俺も「んほお! 雨で濡れた芝でお尻が湿って気持ちいいのおおおおお!!!!」なんて性癖があるわけではないが、一人で教室に取り残されるよりはマシだと思ったのだ。うっ! そんなことを考えているとまた前の魔法学園での忌まわしき記憶が俺を蝕んでくる……! ヤメロォ……!



 ……えー、幸運にも俺が選んだ木はかなり大きく、分厚い枝葉のカーテンに守られ、下の芝は濡れていなかった。良かった。いや、今回は運良く一人で特等席に座れたものの、恐らく普段はカップルとかスクールカースト上位のモンスター共がここを占拠しているに違いない。今のうちに安住の地を確保しておかなければ手遅れになる。どこにする? やっぱトイレか? いやトイレはなあ……。



 ふと、向こうから誰かが走ってくる。俺は焦った。あれ、もしかしてここ入ったら駄目な場所だったりした!? 転校早々やらかしたパターンか?

 と思っていると、何やら揺れているものが見えた。あれは……間違いない。おっぱいだ。ということはあれは。



「ジャンヌ?」



 顔より先に認証される極めて記号的な爆乳を揺らして走って来たのはジャンヌだった。彼女は木の下まで来ると一度息を整えて、また近づいてきた。ゆっさゆっさと揺れている。



「もう、探したんだかラッ」



 転んだ。俺にはジャンヌ(の爆乳)が迫ってくる様子がスローモーションで見えていた。よく死ぬ前は動きがゆっくりに見えると言うが、つまりこのおっぱいは人を殺すに足る凶器と俺の脳が断定したのだろう。

 ジャンヌの顔は見えない。双丘が景色を塞ぐ。



 雨に濡れた地面を走って来て、彼女の足が湿っていたのが原因だろう。加えて彼女の抱える逞しい二つの胸が、バランスを崩す遠因になったのではと推察していた俺の顔に高質量の物体が衝突した。



 かなりの衝撃。これが鉄だったら俺は死んでいただろうが、まるで羽毛のような柔らかい感触に包み込まれながら、重みで地面に押し倒されていった。暗かった視界が一瞬光に満ちたのは俺が天に召されているからだろうか。それともおっぱいに埋もれて幸せな気持ちになったからだろうか。



「よくも」



 ジャンヌは教室では聞いたことのない、焦った声で俺の胸ぐらを掴むと、ぐいっと引き起こし、不意に俺の頬を引っ叩いた。

 誰もいない中庭に乾いた音がよく響く。理解が一切追いつかないが、ジャンヌはキッとした表情でこちらを睨んでいる。



「何すんのよ」

「いやそれ俺の台詞だよ!」

「今おっぱいに触ったでしょ」

「お前が倒れて来たんだろ! 完全に当たり屋じゃないか!」

「どうせ喜んでるくせに」

 もちろん。



「そ、そんなわけないだろ……というか、どうしてここに? もしかしてこの庭に入っちゃ不味かったの?」

「違う」



 言いながらジャンヌは注意深く辺りを見回した。まるで何かに見つかるのを恐れているようだった。

 鋭い目つきで辺りを観察した後、ジャンヌはひと息つき、俺の横に腰掛けた。女子と肩を並べて座るという幻の体験に胸の鼓動が高鳴る。



「探したよ。昼休みが始まってからすぐ消えちゃうから、何処にいるのかと思った」

「俺を探してた?」

「せっかく学食とか売店のことを教えてあげようと思ったのに」

「え!? どういうこと? だってジャンヌは俺と一緒にいるの、嫌だったんじゃ……」



「あの時私があんたと一緒に座らなかったのは、あんたのためでもあるの」

「どういうこと?」

「ほら、私こんな見た目だから、男子と話してるだけで噂される」



 ジャンヌは自分の胸の上に手を置いて言った。あまりに彼女の胸が大きいのでその場所は平らに近く、土壌も柔らかいので作物を作るのに適しているに違いないと農民(変態)の俺は直感した。

 そこに土を引いて水をやってゴボウを育てながら一生を終えたい。



「隣同士で授業受けようなんてしたら、クラウスが男子から反感買うのは目に見えてたから」



 話が逸れたが、ジャンヌがあんなに冷たかった理由がようやく分かった。出会って半日の俺ですらこんなにジャンヌのことを気にしているのに、普段から一緒に授業を受けている男子達は彼女の一挙手一投足を気にしているに違いない。

 そこに俺のようなモヤシが急に来てジャンヌと仲良くしようものならモヤシ炒めにされても不思議ではない。





「て、てっきり俺はジャンヌが俺と一緒にいたくないのかと思ったんだけど」

「あ、うん。それは本当」



 本当なのかよ! 何だこの下げて上げてまた下げる尺取り虫みたいなアップダウンは! ジャンヌはもう一度辺りを見回してから、今度は俺の目をしっかり見た。綺麗な目だ。そんな澄んだ瞳でガンガン俺の傷つくこと言ってるのかと思うと興奮す、いや怖い。



「あ、学食を教えてくれようとしたのはありがたいんだけど、今日はもういいよ。もうすぐ昼休み終わっちゃうし」

「そうじゃない」



 そう言ってジャンヌはカバンから紙包を取り出し、俺の方にさし出した。



「これ」

「これは?」

「サンドウィッチ。食べなよ」



 開けてみると、確かにハムやレタスの詰まったサンドウィッチが三つ入っているではないか。



「こ、これは」

「売店で買ってきた。どうせ何も食べずに昼やり過ごそうとしてたんでしょ」

「あ、うん……」



 もう俺がまともに学食にも行けない根暗キャラだと思われているらしい。



「それとも芝でも食べて飢えを凌ごうとしてたの?」

「いや流石にそこまでの飢餓状態ポテンシャルはないよ」

「もうすぐ昼からの授業始まるから急いで食べな」

「ありがとう。お金、払うよ」

「いいよ別に。でも明日からちゃんとしたもの食べなよ」



 ジャンヌは立ち上がり、お尻を手で払ってさっさと歩いていく。



「あ、待って」



 中途半端に言ってみたが彼女は立ち止まらない。俺は一度、手元のサンドウィッチに目をやった。暖かい。まだ作りたてなのだろうか。それともジャンヌの体温だろうか。

 それを見ていると今頃になってジャンヌの優しさが沁みてきた。こんな異国の地に来て、コミュ障で一人も友達の出来ない俺に、こんなによくしてくれる人がいるのか。



 彼女の優しさを噛み締めれば噛み締めるほど涙が溢れそうになる。俺はいつか、必ずこの恩を返すのだ。俺は自分の復讐のためだけに闇魔道士になりたいわけじゃない。ジャンヌを助けられるくらい強くなって、必ず恩返しする。



 決意して、サンドウィッチを頬張った。日の差してきた中庭に芝の露が眩しい。

 シャキッとレタスの瑞々しさが口の中に広がった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

異世界召喚された俺は余分な子でした

KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。 サブタイトル 〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

勇者がパーティーを追放されたので、冒険者の街で「助っ人冒険者」を始めたら……勇者だった頃よりも大忙しなのですが!?

シトラス=ライス
ファンタジー
 漆黒の勇者ノワールは、突然やってきた国の皇子ブランシュに力の証である聖剣を奪われ、追放を宣言される。 かなり不真面目なメンバーたちも、真面目なノワールが気に入らず、彼の追放に加担していたらしい。 結果ノワールは勇者にも関わらずパーティーを追い出されてしまう。 途方に暮れてたノワールは、放浪の最中にたまたまヨトンヘイム冒険者ギルドの受付嬢の「リゼ」を救出する。 すると彼女から……「とっても強いそこのあなた! 助っ人冒険者になりませんか!?」  特にやることも見つからなかったノワールは、名前を「ノルン」と変え、その誘いを受け、公僕の戦士である「助っ人冒険者」となった。  さすがは元勇者というべきか。 助っ人にも関わらず主役級の大活躍をしたり、久々に食事やお酒を楽しんだり、新人の冒険者の面倒を見たりなどなど…………あれ? 勇者だったころよりも、充実してないか?  一方その頃、勇者になりかわったブランシュは能力の代償と、その強大な力に振り回されているのだった…… *本作は以前連載をしておりました「勇者がパーティーをクビになったので、山に囲まれた田舎でスローライフを始めたら(かつて助けた村娘と共に)、最初は地元民となんやかんやとあったけど……今は、勇者だった頃よりもはるかに幸せなのですが?」のリブート作品になります。

スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!

KeyBow
ファンタジー
 日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】  変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。  【アホが見ーる馬のけーつ♪  スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】  はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。  出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!  行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。  悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!  一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!

平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。  応援していただけたら執筆の励みになります。 《俺、貸します!》 これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ) ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非! 「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」 この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。 しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。 レベル35と見せかけているが、本当は350。 水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。 あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。 それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。 リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。 その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。 あえなく、追放されてしまう。 しかし、それにより制限の消えたヨシュア。 一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。 その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。 まさに、ヨシュアにとっての天職であった。 自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。 生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。 目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。 元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。 そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。 一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。 ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。 そのときには、もう遅いのであった。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

処理中です...