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第2章
8 シャドウの過去
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神官修行は近隣の神殿を巡業することから始まる。頭からすっぽりと目元以外を隠す装束を身に付けて行く。近隣とはいえ下界に下りるので、むやみに顔や肌をさらすのを避ける為だ。下界の空気は異なるものと、神殿では教育されていた。
今となってみると、神殿に巡業してきた者との接触は大人ばかりで、子どもの頃は下界の人間と会うことも話すこともなかった。
外部との接触により、信心する気持ちが離れたり、他に気持ちが動いたりさせないようする為だった。引き取られた孤児が神殿に一生を捧げるのは当然の事で、気持ちがブレるなんてことは許されるわけがなかった。
巡業はその年に神官修行に入る者同士が行く。年によって違うがだいたい4,5人。歩く順番は背の低い順から。チドリは真ん中辺りで体格の良いシャドウは一番後ろだ。徒歩。一歩一歩に祈りを込めて行く。ルオーゴ教の教えを祝詞のようにつぶやきながら歩く。踏みしめていく道中の加護と、森や出会う人々に、慈しみの心を持って挨拶をし、祈りを捧げる。
神殿に着いても同じだ。時には清掃や除草を手伝ったりする。シャドウはその行く先々で、マリーにお土産を持って帰って来ていた。持ち合わせが少ないので何かを買うわけではなく、拾ったり摘んだりすることが多かった。
浜辺の貝殻やシーグラス。美しい花の押し花や鳥の羽根、丸く平たくすべすべした石。鳥の囀りが聞こえるような木笛。どれも今迄見たことがないような物ばかりで、マリーの瞳は輝きが増すばかりだ。
「すごいねぇ。すごいねぇ」
喜ぶ顔見たさにあれもこれもと与えていたら、上官の顔色が曇って来た。
「巡業は遊びではないぞ」と何度となく注意された。その次からは人目につかぬようポケットに忍ばせていた。
確かに巡業は遊びではない。奉仕も手を抜いているわけではない。
自分の目に映る感動を分け与えることの何が悪いのか。今の自分を責めたてる意味がわからないと当時の俺は上官達に苛立ちを覚えていた。
神殿の中での常識や知識、教養だけでは偏りが出来る。
世界は広い。巫女になるだけの一生ではなく、選択肢は一つではないことをマリーに教えたかったのだ。
「余計なことをしないで」と女官に強めの口調で言われたのは、マリーが巫女修行に入る前の年だった。
「最近、雑念ばかりでひどいわ。信仰心が揺らぐなんてあってはならないことよ」
シャドウは、幼少期の頃からマリーの面倒を見て来た女官のサリエに呼び出された。マリーにとっては母であり姉であり、巫女修行の上官でもある。
「修行はきちんとこなしているでしょう」
シャドウは、大人達は何故こうもうるさく言うのか益々苛立ちを隠せずにいた。
「何故かわからないうちは、あなたもまだまだ子どもだということね」
サリエは勿体つけるように名言は避けた。
「マリーが巫女にならないと言ったら困るから?」
シャドウが何気なく出した言葉にサリエの表情はみるみると影を落として行く。
「今迄の温情をなんだと思っているの!孤児のあなた達を今日まで育てたのは神殿の恩恵があったからでしょう!行くあても食べる物も教育も何もかもを与えて来た神殿に背を向けるなんて愚かなことだとは思わないの!!」
普段、滅多なことでは声を荒げない温厚な性格のサリエが、この時ばかりは顔いっぱいに敵意を剥き出しにして来た。数m先にいたシャドウの胸ぐらを掴みあげるかのように。
「マリーが巫女にならないというなら、お前の神官の資格も剥奪してやるわよ」
身ぐるみ剥いで路頭に迷えばいい。にわか仕込みの神官など役に立たない。
「なんでだよ!」
シャドウは資格を剥奪されると聞いてサリエに詰め寄った。神官の資格さえあれば、最悪追い出されたとしても他所で仕事がつける。しかし、取り上げられては何も出来なくなる。
「お前の浅はかな行動で二人の人生がめちゃくちゃになるのよ。お前は野良仕事でも何でも出来るでしょうけど、巫女になれなくなった女がどう生きて行くの?巫女下がりなんて不名誉な称号がついたら、結婚すら出来ないのよ。それともお前が伴侶にするの?」
「…マリーは家族だ。二人で生きて行く覚悟はある」
「何の覚悟よ。仕事がなければ住むところも、食べることも、生きて行くことさえままならないわよ」
反論するには語彙が足りない。シャドウは唇を噛み締めながらサリエを睨みつけた。
「神官として生きていきたいなら、今迄の発言は聞かなかったことにしてあげるわ。マリーにだって良い話じゃない。巫女になったら、ゆくゆくはチドリと結婚して神殿を継いで行くのだから。今さら地べたで寝ることなんて考えもつかないでしょうよ」
サリエは妖しく薄笑いを浮かべながらシャドウの頬から顎までの輪郭を指でなぞった。
「チドリと結婚?」
「そうよ。大神官様の息子だもの。成績優秀で、精悍な顔立ちで礼儀正しい。マリーも浮ついてさえいなければ、優秀な子よ。見目も綺麗だしお似合いじゃないの」
確かにマリーは歳を重ねていく度に、鳥の巣みたいだった蜂蜜色の髪の毛は長く伸び、見る人の歩みを止めるほど美しくなった。残念なのは、中身が幼いということだ。
しかし、子どもが子どもらしくいることは大事だ。年の功より背伸びをして先に行くことはないのだ。時間が経てば自然に大人へと進化して行くのだから。
チドリと結婚の話が出ているとは初耳だった。チドリは俺と同じ歳だ。15歳。マリーはまだ10歳。結婚が出来るまで6年もある。6年かけて巫女になる道を極めさせようとしているのか。よそ見などさせないない気か。これほどまでに世界は広いというのに!
「チドリは知っているのか?」
「まだよ。でも、いずれ知ることになるわ」
結婚の話はまだ確定ではなさそうだ。チドリが相手なのは不満はないが、可能であれば巫女ではない生き方を推奨して欲しい。巫女になれば下界に下りることは一生ないのだ。神殿のことしか知らずに人生を送るのはもったいなさすぎだ。
「どう選択するのがいいか、賢いあなたならわかるはずよ」
ねぇ?とねっとりとした声音でサリエはシャドウに囁く。俯いた時に一房の髪の毛がシャドウの肩についた。毛先から体力を奪い取られるような気配を感じた。
「…脅迫だよね。そんなの」
「恫喝…とも言えるよな」
翌朝、雪とディルは具合の悪いシャドウを残してまた市場に来ていた。二日酔いにきく物を探しに来ていたのだ。その道すがら、シャドウの昔話を本人からではなく、ディルから聞いてしまったことを少なからずとも雪は後悔をしていた。
「…その、シャドウさんが罪人だというのはどういう意味?」
後悔よりも上回るのはやはり首元の黒いチョーカーの意味だ。プライバシーの問題であることは重々承知だが、探究心が先走ってしまう。
「うーん…。教えてやってもいいけど。あんた、うるさそうだな。えーとかきゃーとか」
「えーとかきゃーとか言っちゃうような事なんだ?」
オウム返し。居ても立っても居られない。
「…あんた、シャドウのことどう思ってるの?」
「どうって、どういう意味?」
よく聞くフレーズだな。
「好きか嫌いか」
答えなんて考えることもないじゃない。
「好きだよ。当然じゃないの。助けてもらったんだよ!恩人だよ」
あの森から助け出してくれたんだ。他にも色々と手を貸してくれる。
「…そういう意味じゃなくて、さ」
ディルが言わんがしていることは理解してはいたが、敢えて口にはしなかった。
「ディルさんのことも大事な恩人だと思ってますよ」
初めて見た犬の姿にはびびったけども。
「その犬の毛皮目当てに寝てるのはどこのどいつだよ」
「…ほほほ」
雪はディルから視線を逸らし目を泳がせた。ディルは、ったくと呆れながらもどこか嬉しそうにしていた。ぼくのことも好きだって言えよともごにゃごにゃとボヤいた。
雪はディルの言葉を待った。他人の口から語られるのを素直に受け取るとは限らないのだが、探究心が疼いて仕方がない。
「…うーん」
そんな雪の心情を察したディルは、やーめたーと少年の声を出した。
「ひとの奥さんを盗んだなんて言えないよ絶対」
「え?」
知ってか知らずか。ポロッと溢れ落ちた発言に雪は瞳を大きく見開いた。
「えええッ」
神官修行は近隣の神殿を巡業することから始まる。頭からすっぽりと目元以外を隠す装束を身に付けて行く。近隣とはいえ下界に下りるので、むやみに顔や肌をさらすのを避ける為だ。下界の空気は異なるものと、神殿では教育されていた。
今となってみると、神殿に巡業してきた者との接触は大人ばかりで、子どもの頃は下界の人間と会うことも話すこともなかった。
外部との接触により、信心する気持ちが離れたり、他に気持ちが動いたりさせないようする為だった。引き取られた孤児が神殿に一生を捧げるのは当然の事で、気持ちがブレるなんてことは許されるわけがなかった。
巡業はその年に神官修行に入る者同士が行く。年によって違うがだいたい4,5人。歩く順番は背の低い順から。チドリは真ん中辺りで体格の良いシャドウは一番後ろだ。徒歩。一歩一歩に祈りを込めて行く。ルオーゴ教の教えを祝詞のようにつぶやきながら歩く。踏みしめていく道中の加護と、森や出会う人々に、慈しみの心を持って挨拶をし、祈りを捧げる。
神殿に着いても同じだ。時には清掃や除草を手伝ったりする。シャドウはその行く先々で、マリーにお土産を持って帰って来ていた。持ち合わせが少ないので何かを買うわけではなく、拾ったり摘んだりすることが多かった。
浜辺の貝殻やシーグラス。美しい花の押し花や鳥の羽根、丸く平たくすべすべした石。鳥の囀りが聞こえるような木笛。どれも今迄見たことがないような物ばかりで、マリーの瞳は輝きが増すばかりだ。
「すごいねぇ。すごいねぇ」
喜ぶ顔見たさにあれもこれもと与えていたら、上官の顔色が曇って来た。
「巡業は遊びではないぞ」と何度となく注意された。その次からは人目につかぬようポケットに忍ばせていた。
確かに巡業は遊びではない。奉仕も手を抜いているわけではない。
自分の目に映る感動を分け与えることの何が悪いのか。今の自分を責めたてる意味がわからないと当時の俺は上官達に苛立ちを覚えていた。
神殿の中での常識や知識、教養だけでは偏りが出来る。
世界は広い。巫女になるだけの一生ではなく、選択肢は一つではないことをマリーに教えたかったのだ。
「余計なことをしないで」と女官に強めの口調で言われたのは、マリーが巫女修行に入る前の年だった。
「最近、雑念ばかりでひどいわ。信仰心が揺らぐなんてあってはならないことよ」
シャドウは、幼少期の頃からマリーの面倒を見て来た女官のサリエに呼び出された。マリーにとっては母であり姉であり、巫女修行の上官でもある。
「修行はきちんとこなしているでしょう」
シャドウは、大人達は何故こうもうるさく言うのか益々苛立ちを隠せずにいた。
「何故かわからないうちは、あなたもまだまだ子どもだということね」
サリエは勿体つけるように名言は避けた。
「マリーが巫女にならないと言ったら困るから?」
シャドウが何気なく出した言葉にサリエの表情はみるみると影を落として行く。
「今迄の温情をなんだと思っているの!孤児のあなた達を今日まで育てたのは神殿の恩恵があったからでしょう!行くあても食べる物も教育も何もかもを与えて来た神殿に背を向けるなんて愚かなことだとは思わないの!!」
普段、滅多なことでは声を荒げない温厚な性格のサリエが、この時ばかりは顔いっぱいに敵意を剥き出しにして来た。数m先にいたシャドウの胸ぐらを掴みあげるかのように。
「マリーが巫女にならないというなら、お前の神官の資格も剥奪してやるわよ」
身ぐるみ剥いで路頭に迷えばいい。にわか仕込みの神官など役に立たない。
「なんでだよ!」
シャドウは資格を剥奪されると聞いてサリエに詰め寄った。神官の資格さえあれば、最悪追い出されたとしても他所で仕事がつける。しかし、取り上げられては何も出来なくなる。
「お前の浅はかな行動で二人の人生がめちゃくちゃになるのよ。お前は野良仕事でも何でも出来るでしょうけど、巫女になれなくなった女がどう生きて行くの?巫女下がりなんて不名誉な称号がついたら、結婚すら出来ないのよ。それともお前が伴侶にするの?」
「…マリーは家族だ。二人で生きて行く覚悟はある」
「何の覚悟よ。仕事がなければ住むところも、食べることも、生きて行くことさえままならないわよ」
反論するには語彙が足りない。シャドウは唇を噛み締めながらサリエを睨みつけた。
「神官として生きていきたいなら、今迄の発言は聞かなかったことにしてあげるわ。マリーにだって良い話じゃない。巫女になったら、ゆくゆくはチドリと結婚して神殿を継いで行くのだから。今さら地べたで寝ることなんて考えもつかないでしょうよ」
サリエは妖しく薄笑いを浮かべながらシャドウの頬から顎までの輪郭を指でなぞった。
「チドリと結婚?」
「そうよ。大神官様の息子だもの。成績優秀で、精悍な顔立ちで礼儀正しい。マリーも浮ついてさえいなければ、優秀な子よ。見目も綺麗だしお似合いじゃないの」
確かにマリーは歳を重ねていく度に、鳥の巣みたいだった蜂蜜色の髪の毛は長く伸び、見る人の歩みを止めるほど美しくなった。残念なのは、中身が幼いということだ。
しかし、子どもが子どもらしくいることは大事だ。年の功より背伸びをして先に行くことはないのだ。時間が経てば自然に大人へと進化して行くのだから。
チドリと結婚の話が出ているとは初耳だった。チドリは俺と同じ歳だ。15歳。マリーはまだ10歳。結婚が出来るまで6年もある。6年かけて巫女になる道を極めさせようとしているのか。よそ見などさせないない気か。これほどまでに世界は広いというのに!
「チドリは知っているのか?」
「まだよ。でも、いずれ知ることになるわ」
結婚の話はまだ確定ではなさそうだ。チドリが相手なのは不満はないが、可能であれば巫女ではない生き方を推奨して欲しい。巫女になれば下界に下りることは一生ないのだ。神殿のことしか知らずに人生を送るのはもったいなさすぎだ。
「どう選択するのがいいか、賢いあなたならわかるはずよ」
ねぇ?とねっとりとした声音でサリエはシャドウに囁く。俯いた時に一房の髪の毛がシャドウの肩についた。毛先から体力を奪い取られるような気配を感じた。
「…脅迫だよね。そんなの」
「恫喝…とも言えるよな」
翌朝、雪とディルは具合の悪いシャドウを残してまた市場に来ていた。二日酔いにきく物を探しに来ていたのだ。その道すがら、シャドウの昔話を本人からではなく、ディルから聞いてしまったことを少なからずとも雪は後悔をしていた。
「…その、シャドウさんが罪人だというのはどういう意味?」
後悔よりも上回るのはやはり首元の黒いチョーカーの意味だ。プライバシーの問題であることは重々承知だが、探究心が先走ってしまう。
「うーん…。教えてやってもいいけど。あんた、うるさそうだな。えーとかきゃーとか」
「えーとかきゃーとか言っちゃうような事なんだ?」
オウム返し。居ても立っても居られない。
「…あんた、シャドウのことどう思ってるの?」
「どうって、どういう意味?」
よく聞くフレーズだな。
「好きか嫌いか」
答えなんて考えることもないじゃない。
「好きだよ。当然じゃないの。助けてもらったんだよ!恩人だよ」
あの森から助け出してくれたんだ。他にも色々と手を貸してくれる。
「…そういう意味じゃなくて、さ」
ディルが言わんがしていることは理解してはいたが、敢えて口にはしなかった。
「ディルさんのことも大事な恩人だと思ってますよ」
初めて見た犬の姿にはびびったけども。
「その犬の毛皮目当てに寝てるのはどこのどいつだよ」
「…ほほほ」
雪はディルから視線を逸らし目を泳がせた。ディルは、ったくと呆れながらもどこか嬉しそうにしていた。ぼくのことも好きだって言えよともごにゃごにゃとボヤいた。
雪はディルの言葉を待った。他人の口から語られるのを素直に受け取るとは限らないのだが、探究心が疼いて仕方がない。
「…うーん」
そんな雪の心情を察したディルは、やーめたーと少年の声を出した。
「ひとの奥さんを盗んだなんて言えないよ絶対」
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