魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

文字の大きさ
上 下
92 / 106
北の森のダンジョン編

第87話 パーティー

しおりを挟む
「リポポさんはエノキの準備をしてください。リィナはこれを捏ねて。」

現在、我が家のキッチンは小さな戦場と化していた。
リポポさんへのお礼を兼ねた祝勝会と俺の誕生日祝いを一緒にやろうとなったのだが、いつの間にかリィナも参加して、お料理大会となってしまっている。


「サラはこれを洗っておいて。」

「はい!」

「ガルドさん、捏ねるのはこれぐらいで良いですか?」

「どれどれ?うん、これぐらいかな。それは布をかけて置いておいて。」

「わかりました。サラちゃん、これ洗ってくれる?」

「はい!」

「ガルドさん、干したシイタケはどうします?」

「鍋で煮てもらえますか?美味しい出汁が出来ますので、それからマツタケを出してもらえますか?」

「了解です。サラちゃん、ごめん。これも洗ってもらえる?」

「はい!」

みんながテキパキと作業を進めていく。
本日のメニューはパーティーなので沢山用意した。

エノキバターのっけグリーンサラダ
マツタケのティーポット蒸し
シイタケ風味の出汁巻き卵
チキンのハーブムニエル
トマトソースの手打ちパスタ
サラの気まぐれカットフルーツ


キノコ多めの実験的なメニューだけど、どれも見た目は美味しそうに出来上がった。
冷めないうちに実食といこう。


「師匠!この卵焼き、とっても美味しいですよ!」

「マツタケにこんな料理法があったなんて。」

「ガルドさん、私が捏ねたパスタってのもモチモチしていて美味しいですよ。」

「うん。どれも上出来だね。」

やはり調味料の種類が少なかったりするので、前世の料理の再現とまではいかないけれど、十分に美味しく出来たと思う。
何よりも料理のバリエーションが増える事は喜ばしい。


「ガルドさん、このパスタをうちのお店で出しても良いですか?」

「もちろん。今日は簡単な平打ちだけど、配分や形で色々と工夫できるし、やってみると良いよ。」

「そうなんだ。また今度教えてくださいね。」

リィナもパスタを気に入ってくれたようだ。
コックになったリィナが本気で研究すれば、もっと色々なパスタが食べられるようになるだろう。将来的にはパスタだけでなく、ラーメンやうどんも食べられたら嬉しいな。


「ふぅー、大満足です!あっ、お茶を淹れて来ますね!」

みんなのお腹も満たされて、サラの淹れてくれたお茶と気まぐれにカットされたフルーツをデザートに楽しむ。


「リポポさんは、また旅に出るんですか?」

「うーん、まずは手に入れた大王角の素材で剣を作ってもらおうかなと。この町には腕利きの職人さんが揃っているし。」

「それじゃあ、出来上がるまで、しばらくはこの町にいるんですね。」

「そうね。それにこの辺りのキノコをもっと調べたいし、キノコ料理ももっと教えてもらいたいしね。」

リポポさんの狐耳がピコピコしていて可愛かった。


「むむむ。新たなライバルかしら。」

「え!?リィナちゃん、何か言った?」

「ううん、サラちゃん。洗い物手伝うわ。」

「あっ、それなら私も。」

「じゃあ、俺も手伝おうか?」

「いえいえ!師匠は休んでてください。」

「そうね、ガルドさんはお誕生日の主役だから。今日は特別ね。」

「ははは、ありがたいな。」

キッチンで盛り上がる3人を眺めているのは、逆に寂しいように感じるけど。
一通りの後片付けを終えると、リィナとリポポさんは帰っていった。
夜道は危ないのでと、リィナはリポポさんが送って行ってくれるそうだ。
その後、俺とサラは工房に移り、今回のダンジョンで消耗した装備や魔導具のメンテナンスを行っていた。


「そう言えば、宝珠の魔法は慣れたのか?」

「あ、あの魔法は空間魔法と言うそうです!ステータスに出ていました!」

「空間魔法か。かっこいいな。」

「とっても便利です!工具なんかも、ほら!」

サラが持っていたペンチがヒュンっと消えた。と思ったらハンマーを握っていた。


「おぉ!いいなぁ。めちゃくちゃ便利じゃないか。」

「これをマスターすれば作業も捗ります!」

「そうだな。色々と実験してみないと分からないな。」

「うっ、師匠の目が危ないです!」

「大丈夫だよ。安全な実験だから、たぶん。」

「危ないのは本当に嫌ですからね!」

「あはは、未知の魔法かぁ。楽しみだな。」

俺は色々な可能性を想像して、笑みが止まらなかった。


「その前に、師匠にはやらないといけない仕事がありますよね!?」

「えっと、何だっけ?」

「王都に行ってロック商会の大旦那様に相談するって言ってたじゃないですか!」

「あぁ、そうだった。その件も確認しないといけなかった。サラも行くだろ?」

「すみません、師匠。今回は同行できないんです。」

「そうなんだ。何かあるのか?」

「バンズさんの所から大型冷蔵庫の依頼が入ったんです!それにスミスさんに相談したい事もありますし。」

「そうか。なら今回は留守番だな。留守中は頼んだぞ。」

「はい。お任せください!」
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

異世界転生漫遊記

しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は 体を壊し亡くなってしまった。 それを哀れんだ神の手によって 主人公は異世界に転生することに 前世の失敗を繰り返さないように 今度は自由に楽しく生きていこうと 決める 主人公が転生した世界は 魔物が闊歩する世界! それを知った主人公は幼い頃から 努力し続け、剣と魔法を習得する! 初めての作品です! よろしくお願いします! 感想よろしくお願いします!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

巻き込まれた薬師の日常

白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

処理中です...