魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

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北の森のダンジョン編

第79話 北の森のダンジョンその6

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「ガルドさん、この先です。」

バトルバブーンとの戦闘を終えて、サラは1つレベルを上げていた。
ちなみにリポポさんはレベル31らしい。
俺たちのレベルを聞いて、ちょっぴりショックだったみたいだ。

その後の探索で境界を発見し、第10階層へと進んだのだが。
ここは今までとは空気が違っていた。
なんとも言えない重い空気が漂っている。
これがボスモンスターの放つプレッシャーだそうだ。


「この先にボスモンスターがいるんですね?」

「はい。僅かにですが、人の声も聞こえます。」

「雷鳴って人ですかね!?」

「たぶんな。」

俺は深呼吸をして、覚悟を決める。


「みんな、行こうか。」

木々を避けて前へと進む。
すると広く開けた場所へ出た。


「アレが、ボスモンスター。」

「特徴からして、グレートホーンで間違いなさそうですね。」

「あっ!人が倒れてます!」

見た事もない巨体の鹿。
優雅に聳え立つ巨大な角。
いくつも枝分かれした角の先端は鋭利に尖っている。
大きさも角だけで2メートルはあろうか。
それに比例した巨躯を震わせている。

グレートホーンの近くには剣を握ったまま倒れている冒険者の男が1人。
全身に傷を受け、血も多く流している。
雷鳴だ。俺が前世の記憶に目醒める切っ掛けを作った男。
こんな所で再び相見えるとは。


「レ、レナ・・・回復だ。俺を・・・回復しろ。」

どうやら雷鳴はまだ息があった様だ。


「私も、もう魔力が・・・」

俺たちの右手側でレナが座り込んでいた。
膝には獣人の少年を抱えている。


「バカが。そんな奴隷・・・ほっとけよ。」

リポポさんの眉間がピクつく。
獣人の少年をよく見ると、右足が失くなっている。
止血はされている様だが、全身も傷や痣だらけだ。
ドロドロに汚れた髪の中からは兎耳が出ている。


「ねぇ、貴女。これを使いなさい。」

リポポさんがレナへ魔力の回復薬を手渡した。


「えっ、あなたは?」

「そんな事はどうでも良いの。それから、決断なさい。あの男か、その少年、どちらを救うのか。」

「そ、それは・・・」

レナは困惑している。


「俺だぁー。俺だろ?レナ!」

「グロート・・・」

グロートが這って近寄って来る。


「どうせ。その少年を盾にして戦って来たんでしょ?まだそんな事をする下衆がいたなんてね。」

「うっ。それは・・・」

涙ぐみ、俯いてしまうレナ。


「うるせぇ!他人が俺のやり方に口を出すんじゃねぇよ。」

グロートが吠える。意外とまだ元気だな。
地を這うグロードにグレートホーンが近付く。
そして、大きな蹄で背中を踏み付ける。


「ぐはっ。」

「グロート!」

「早ぐ、助げろ。」

「グロート・・・ごめんね。」

「な・・・何を。言って。」

「私、もうついて行けない。」

「レ・・・ナ・・・」

どうやら結論は出たみたいだな。
アイツの今までのツケが回ってきたって事だろう。


「お前の命に免じて、この2人は助けてやるよ。」

「お前は・・・」

グロードが言い終える前に、グレートホーンが頭を踏み砕いた。


「キャァ!」

「サラは2人を安全な所へ。そのまま援護射撃を頼む。」

「はい!」

「トラちゃんは前衛を、リポポさんはチャンスがあれば斬り込んで下さい。」

「了解です。」

「俺も銃で撹乱する。」

トラちゃんが飛び出した。
雷槍と角がぶつかり合う。

ガチリと鈍い音が響いた。


「あの角、かなり頑丈そうね。」

「トラちゃん、放電だ。」

雷槍から青白い光が走る。
電撃がグレートホーンを襲う。

バチッバリバリバリ

しかし、グレートホーンには効果がない。
その大きな角に電撃は吸収され、帯電している。
グレートホーンは短く鳴くと角を振り乱した。
直後に電撃が次々と飛んで来る。


「うわっ!マジかよ。雷属性を使うのか?」

「これは、厄介です。その技は使わない方が良いですね。」

グロートが敵わない訳だ。
得意の雷属性が効かないのであれば、打つ手がなくなるだろう。
俺もその二の舞を踏む訳にはいかないな。


「ガルドさん、体の方も剣が通りません。」

「師匠!銃も弾かれてしまいます!」

体を魔力で覆っているのか?
弾く瞬間に体が淡く光っていたな。


「トラちゃん、相手の動きを止めれるか?」

トラちゃんが角を掴んで力ずくで押さえ込もうとする。
しかし、再び角が帯電すると電撃と共にトラちゃんを吹き飛ばした。


「トラちゃん!大丈夫!?」

トラちゃんを吹き飛ばすなんて、力もかなり強いな。
何か、何か手は無いだろうか?
俺は焦りながらも攻略の糸口を探す。


「あっ、アレを使えれば。」

「師匠!何か思い付いたんですか?」

「ああ。リポポさん、少し敵の気を引いていてもらえますか?」

「大丈夫ですよ。」
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