魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

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北の森のダンジョン編

第72話 ダンジョンの準備

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「こんにちは~って、おわっ!」

武具屋に入って、すぐ側にキリサさんが座り込んでいた。


「こんな所で、どうしたんですか?」

「疲れたのよ~。朝から冒険者の人達が押し掛けてきてぇ。」

なるほど。ダンジョンへ向かう前に準備をする為に武具屋へ大勢の冒険者が来ていたのか。


「それは大変でしたね。スミスさんは工房ですか?」

「ええ、サラちゃんと何か作っているわ。」

「それじゃあ、お邪魔します。」

奥へ進もうとすると、カウンターにはキリカさんが突っ伏していた。


「キリカさんも、お疲れ様でした。」

「サイズ調整ばっかり。もう今日は嫌よ!」

「ははは。大変でしたね。」

これは今日はもう開店休業状態だな。
カウンター横の出入り口から工房へとお邪魔する。
鍛治仕事のリズミカルな音が聞こえる。


「スミスさん、こんにちは。」

「あっ、師匠!」

「順調か?」

「はい!問題ないです。」

「試作品から大きくは変わっていないからな。それに仕上げと調整はサラ嬢がやってくれるしな。」

「はい!パーツの製作はもうすぐ終わりそうです。」

「そうか、今日中に完成まで出来そうか?」

「うー。今日は厳しいです。調整とテストがあるので、早くても明日かと。」

「そうか。なら、明後日から俺たちもダンジョンに潜るぞ。」

「えっ!ダンジョンですか?」

「おいおい、ガルド。冒険者達が言ってたが、例の森の主が相手だろ?大丈夫なのか?」

「無理はしないつもりです。」

「それでもダンジョンは危険な場所だ。準備は入念にして行った方が良いぞ。」

「はい。分かりました。」

「私もこの新型銃を完璧に仕上げます!」

「うん。ここは頼んだぞ。俺は物資の準備とトラちゃんの点検をしに戻るよ。」

「任せてください!」

後は2人に任せて工房を後にする。
まずは物資の買い出しだな。
そのままの足でゴードンさんの道具屋へと向かう。


「ゴードンさん、こんにちは。」

「よう、ガルド。」

「ゴードンさん、なんか疲れてますね。」

「あぁ、朝から忙しかったからなぁ。やっと落ち着いた所だ。」

「ゴードンさんの所もですか。って事は商品は残ってないですか?」

「いや、ちょうど昨日に仕入れが届いたからな。少ないが残っているぞ。」

「良かった。俺もダンジョンに潜ろうと思いまして。」

「なんと!お前さんも行くのか。気を付けろよ。」

「はい。必要な物を揃えようと思っているんですけど、教えて貰えますか?」

「あぁ、いいぞ。」

ゴードンさんに冒険用の必需品を揃えて貰った。
水筒やランプは持っているので要らないか。
寝袋やテント布、それから大きめのバックパックも買っておこうか。
調理器具はあるけど、木製の軽い食器類は新調しておこう。
それから素材などを入れる大小の袋にロープ、手拭いも新しいのを買って行くか。


「こんな物ですかね?」

「そうだな。食料も忘れずに持って行くんだぞ。」

「分かりました。後でバンズさんの所で調達します。」

「あぁ、それから。薬草や回復薬も忘れずにな。」

「あっ、そうですね。マルチの所にも寄ります。」

サラの分も買ったので荷物が多い。
一旦、家に戻るか。
荷物を置いて空のバックパックだけ背負って、また出掛ける。
まずは先にマルチの薬屋から行くか。


「こんにちは~。」

薬屋のドアを開けて中を伺う。


「はーい。いらっしゃいませー。」

どうやらマルチは元気なようだ。


「あら、ガルドくん。いらっしゃい。」

「マルチの店は忙しくなかったの?」

「忙しかったわよぉ~。疲れちゃったから、さっき回復薬を調合して飲んだのよ。」

「あぁー、なるほどね。どこも大変だったみたいだね。」

「そうみたいね。ガルドくんは、どうしたの?」

「俺もダンジョンに挑戦しようと思ってね。薬草と回復薬を買いに来たんだよ。」

「まぁ、そうなの?気を付けてね。それなら良い薬を用意するわね。」

「頼むよ。それから魔力を回復する薬もあるかな?」

「そうねぇ、魔力回復薬は強い薬だから1日1回までにしておいてね。」

回復薬の取り扱いについて教えてもらい。
薬草を5束、解毒草を3束、回復薬を6本、魔力回復薬を2本、どれ位あれば良いのか分からないけど、取り敢えずこれだけ購入した。
回復薬が少なくなったら迷わず撤退しよう。
マルチにお礼を言って、次はバンズさんの食材屋へと向かう。


「へい、いらっしゃい。」

「バンズさんは、相変わらず元気ですね。」

「店主の威勢が良くないと、食材も美味そうに見えないだろ?」

「なるほど。確かにそうですね。」

「今日は何にするよ?」

「今日はダンジョンに潜る為の保存食が欲しいんですよ。」

「ほぉーう、ガルドもダンジョンに挑戦するのか。それなら俺が見繕ってやろう。」

「お願いします。」

「何日ぐらい潜るんだ?」

「どれくらいですかね?無理はしないつもりです。」

「なら多めに5日分にしとくか?」

「じゃあ、それでお願いします。」

バンズさんに保存食を用意してもらう。
固焼きパン、干し肉、干し芋、乾燥ハーブとどれもあまり美味しそうではない。
なかなか辛い戦いになりそうだ。
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