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北の森のダンジョン編
第59話 試し撃ち
しおりを挟むさてさて、やって来ました。
今日の狩場は草原です。
レーザーライフル銃の性能を試すには視界の悪い森よりも遮蔽物のない草原が適しているだろう。
「よし、行くぞ!サラ隊員!!」
「はい!師匠!!」
「今日は師匠ではなく、隊長と呼びなさい。」
「はい!隊長!!」
ライフルを背負い、草原を進む。
サラには双眼鏡を持たせている。
もしもの護衛のためにトラ隊員も後ろに付いて来ている。
「隊長!前方に敵影発見です!」
「良し!敵影確認!!」
「あれはムチベロオオトカゲですね!」
「了解!俺が狙撃で仕留める!!」
ガチャリとライフル銃を構える。
スコープを覗き込み、レーザーポインターの機能をオンにする。
赤い点をトカゲの額に合わせる。
「照準良し!ぶっ放してやるぜ!!」
「ワクワクします!」
「ファイヤー!」
「ファイヤ~!」
音も反動もなく、一筋の光が飛んでいった。
トカゲが突然倒れた。
「着弾を確認!撃破!!」
「撃破~!」
「よし、見に行ってみよう。」
「はい!」
ムチベロオオトカゲは倒れていた。
眉間には焦げたような小さな穴が空いている。
見事なヘッドショットだ。
弱点を的確に撃ち抜けば、イチコロの威力だな。
「隊長!凄いですね、銃って!!」
「ふっふっふっ、十分に使えそうだな。」
「わ、私も使ってみたいです!」
「落ち着くだ、サラ隊員。俺ももっと撃ちたいぞ!」
「えぇ~、ずるいです~。」
その後に色々と試してみた。
おおよその射程距離は約200メートル程、それ以上ではエネルギーが拡散するのか、威力がほとんど無くなってしまう。
そして、1発撃つと10秒程のクールタイムが必要な様だ。これは魔導回路に何らかの負荷がかかっている為だと考えられる。
この点については、もっと研究が必要だな。
それよりも、困った事が分かった。
サラは銃を持つと性格が変わるようだ。
「アハハ、爆ぜなさい。」とか。
「1発で逝かせてあげるわ。」とか
どこぞの女王様のような台詞で暴れ回る。
しかも銃を手離さないし、俺はあまり撃てなかった。
「とりあえず、サラは銃を使うの禁止!」
「えええぇ!何でですかぁー?」
「危ないから。」
「ちゃんと使い方は憶えましたよ!?」
「うん。目が危ない。当分は禁止ね。」
「そんな~~。あんまりです~。」
サラが後ろでずっとブーブー言っている。
それを聞き流しながら移動する。
今日は鉱山の様子も見に行かなくてはならないのだ。
アイアンアントの駆除を行って、ようやく坑道内の補強と整備が完了したそうだ。
そして、待望の鉱脈も発見できたらしい。
サラがブーブー言っている間に坑道の入り口に着いた。
「よぉ、ガルドの兄ちゃん。来たかい。」
鉱夫のおっちゃんが声をかけてきた。
名前は・・・忘れた。すまぬ、おっちゃん。
「こんちは!ゲイルさん達はいる?」
「おぉ、なら案内するよ。」
元巣穴の内部も崩落しない様にしっかりと補強されている。足場もなだらかな坂や階段に整えられている。
「ここが1番でっかい鉄の鉱脈だ。」
おぉ、食料庫だった部屋の鉱脈だな。
掘り広げられて、所々に鈍い光を反射している鉄の鉱石が見えている。
「今日はあの2人は奥におるな。こっちだ。」
通路をドンドンと進んでいく。
女王蟻がいた部屋だ。
「おーい、ガルドの兄ちゃんが来たぞーい!」
足場を組んで壁の高い所を調査していたゲイ兄弟が手を振って応えた。
「ガルドちゃん、来てくれたのね。」
「ガルドちゃんのお陰で、こんなに立派な採掘場になったわぁ。ありがとう。」
ゲイルさんのウインクを受け流す。
「ここも鉱脈なんですか?」
「ええ、量は多くないけど、銀が採れる場所がチラホラあるわね。」
「へぇー、銀か。良いですね。」
「銀は人気だからねえ。採れるのは嬉しいわぁ。」
「他にも鉱脈が見つかりそうですか?」
「そうねぇ、もう1つの隣の通路の先で宝石が出たそうだから、そっちも期待できるかもよん。」
「宝石かぁ、何か使えるかな?」
「町の細工職人なら宝飾品にしてくれるわぁ、加工された宝石には属性魔力を高める効果があると言われているわよん。」
「へぇー、そうなんだ。」
「王都では、結婚の誓いに宝飾品を贈るのが流行ってるらしいわよ!?」
「いやぁ~ん。ロマンチック~~。」
「へぇー・・・そうなんだ。」
小説とかだと、銀は魔力の伝導率が良かったりするけど、どうなのかな?
今度、手に入ったら試してみよう。
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