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北の森のダンジョン編
第58話 光の魔力
しおりを挟む次の日の夜。
マルチがお風呂を体験しにやって来た。
サラが誘ったのか、リィナもやって来た。
「それじゃあ、マルチから先にお風呂を使って。」
「ありがとう。お先に頂くわ。」
「ごゆっくり~。」
「それじゃあ、その間に私がご飯を作るね。」
「リィナちゃん、私も手伝うよ!」
じゃあ、俺はゆっくりと寛いでいるかな。
美少女2人が仲良く料理をしている。
それを眺めるのも紳士の嗜みかな?
「はーい、出来ましたよ~!」
「おぉ、美味そうだ。」
「私も!サラダ作るのを手伝いました!!」
「そっ、そっか。頑張ったな。」
タイミング良く、マルチがお風呂から上がって来た。
「お先にありがとう。とってもサッパリしたわぁ。」
「あっ、マルチさん。丁度ご飯の用意が出来ましたよ。」
「あら、ご飯まで頂いていいの?」
「ええ、一緒に食べましょう!」
4人で仲良く食卓を囲む。
「おぉ~、このシチュー美味いな!」
「本当に、リィナが作ったの?」
「えへへ、お父さんにレシピを教えて貰ったんだぁ。」
「私も!サラダ作るのを手伝いました!!」
サラよ。さっきからそればっかりだな。
そんな時だった。
突然、頭の中で澄んだ綺麗な音色が鳴り響いた。
「こ、これは?」
「どうしたんですか?師匠?」
光の魔力の波長だ。遂に会得したんだ。
腕輪に手を触れて、改めて魔力を感じ取る。
やはりそうだ。これが光の魔力なんだ。
「ガルドさん、大丈夫?」
「どうしたんだろ?」
「あっ。いや、用事を思い出して。」
俺は残りの食事を急いで完食した。
モグモグ、試したい事が、モグモグ、いっぱい、モグモグ、あるんだよ。
「ゴモソグモゴ、オモグコオモグ、モグカモ。」
「ガルドくん、食べながら喋るのはお行儀が悪いわよ。」
「ゴモゴ、ゴヘン。」
俺は非礼を詫びて、工房へと急いだ。
「ガルドさんは何て言ってたのかな?」
「たぶん、何かを思い付いたんだと思います。たまにあんな風になるから。」
「発明バカなのね・・・」
「ガルドさんらしいと言えば、らしいね。」
「うちの師匠がすみません。」
「じゃあ、2人も食べ終わったらお風呂に入ってね。片付けは私がやっておくわ。」
「いいんですか?」
「ええ、ご馳走になったんだから当然よ。それにガルドくんが覗かないか、一応見張っておくから。」
「じゃあ、サラちゃん一緒に入ろっか!」
「うん。マルチさん、ありがとうございます。」
俺が工房で奮闘している頃、我が家のお風呂場は乙女達の桃園と化していた。
そんな事を知る由もなく、そこから3日ほど工房に篭りっきりとなった。
「師匠、そろそろ外に出ないと体に悪いですよ~。」
「うーん。後ちょっとだから。」
そう、後ちょっとなんだ。
もうちょっとで完成しそうなんだ。
その日の夜、サラが夕食を用意している頃。
「で、できたぞーーーー!完成だ!」
「何ができたんですか!?師匠!!」
「これだ!」
「えっ!それは。なんですか?」
「ふっふっふっ。これは男のロマンの結晶だ!」
俺がサラに見せ付けた物。それは銃だ。
それもただの銃ではない。俺が作ったのだからもちろん魔導具である。
解析の結果はこんな感じだ。
レーザーライフル型の魔導玩具
攻撃力なし
もはや玩具の域を超越し過ぎた逸品。
光を収束したエネルギーを射出して遠くの敵をも正確に撃ち抜く。
あぁ、納得の出来栄えだ。
黒光りする鉄の銃身、随所に木材を使用して持ち手とフィットする感触。
勿論、見た目だけではない。
光すなわち電磁波を収束させたレーザー光を作り出す魔導回路。一瞬だが高出力で凝縮されたエネルギーを放つ事が可能だ。
どうしても消費魔力が多くなるので、無駄撃ちを減らすべく ライフル型を採用した。
そして望遠鏡のレンズを応用してスコープを作り、それに赤外線レーザーポインターを搭載させて特製のレーザーサイトを取り付けた。
「師匠、それは何をする物ですか!?」
「んー。武器だね。それも強力な。」
「確かに、それで殴られると痛そうですね!」
「うん。まぁ、明日実演するよ。」
「楽しみですね!あっ、ご飯食べます?」
「そう言えば、お腹減ったなぁ。」
「今日はチキンが売っていたので焼いてみました!」
サラの料理の腕前はちょっとは上がっているかもしれない。
素材の味を活かすと言うか、素材の味しかしなかった。
俺は台所から塩とガーリックパウダーを持って来て振りかけた。
人には向き不向きがあるのだ。
それは仕方がない事なのだ。
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