魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

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北の森のダンジョン編

第55話 報告と報酬

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俺たちが勝利を確信して喜んでいる間にも、トラちゃんはキッチリと蟻にトドメを刺していく。
女王蟻にもトドメを刺した時、奥の壁の表面がガラガラと崩れた。


「ビックリした。って、うわぁ!なんだこれ!?」

「うぅ、どうやら蟻の卵みたいです!」

壁一面にビッチリと白い粒が張り付いている。これが卵なら何匹分なんだろうか?
見た目がとんでもなく気持ち悪い。


「トラちゃんはここで待機してて、もし蟻が孵化しそうなら攻撃して良いから。」

「私達はどうしますか?」

「急いで戻って、焼き払う準備をしてもらおう。」

「わかりました!」


坑道まで戻るとゲイ兄弟が待っていてくれた。
事情を説明すると、その後は2人が動いてくれた。
俺たちはめぼしい素材を回収して、後は任せて帰宅した。


「あぁー、疲れたぁーー。」

家に着いたので床に倒れ込んだ。


「師匠!せめてベッドで寝てください!」

「ちょっとこのまま休んでからね。サラも疲れただろ?もう休んだら良いぞ。」

「はい。私も疲れました。すみませんが休ませて頂きますね。」

寝転んだままサラを見送る。


「トラちゃん、ごめん。荷物を工房に運んでおいて。」

トラちゃんは頷くとリュックや素材などの荷物を運んで行ってくれる。有難や~。
そのまま10分ほど仮眠をして、起き上がると工房へと向かう。
しっかりと働いてくれたトラちゃんや魔導具たちをメンテナンスしておかないとね。

一通りのメンテナンスを終えて、俺も休もうかな。
こんなに疲れた時にはお風呂に入りたい。
やっぱりお風呂場を増築してもらおう。
固く決意してベッドで泥のように眠った。


「師~匠~~!そろそろ起きてください!」

「あとちょっとだけ。寝かせて。」

「もう昼前ですよ~。報告に行かないと怒られますよ~!」

「あぁー、そうだった。」

ズルズルとベッドから這い出る。


「サラも行くだろ?準備してて。」

「私はもう準備出来てますよ!」

「そっか。じゃあちょっと待ってて。」

身支度と着替えを済ませて家を出る。
向かうは冒険者ギルド、サイモンの爺さんに報告しなければならないのだ。


「やぁ、爺さんはいる?」

入り口付近にいたギルド職員の女の子に声を掛けた。
最近はギルドも忙しいのか、職員さんが増えたようだ。


「お待たせしました。こちらへどうぞ。」

さっきの女の子に案内されて3階のギルドマスターの部屋へと通された。
部屋では爺さんとクラナが待っていた。


「爺さん、お待たせ。依頼は達成できたよね?」

「ほむ。昨日にゲイルとゲイザーから聞いておる。蟻の卵は昨日の内に焼き払ったぞ。」

「おぉ~、流石。仕事が早いね!」

「今は煙で坑道も立ち入り禁止になってます。煙が消えれば洞窟内の調査と素材の回収を開始しますね。」

「そっか。じゃあ、鉱脈の確認もそれからだね。」

「そうじゃな。お主らは鉱脈らしき物を見たのだろう?」

「たぶんね。鉱脈だと思ったけど。サラが見つけたんだよな?」

「そうですね。あの部分だけが壁の色が違ってましたね!」

「ふむ。なら期待して待つとしよう。さて、報酬の方なんじゃが。それとは別に蟻の素材はどうする?」

「魔石の欠片は欲しいかな。あ、女王蟻の魔石はもう回収しといたから!それとデカイ個体の素材もいくらか欲しいな。」

「わかった。それ以外はどうする?」

「回収の手間賃を引いてギルドで買い取ってくれる?」

「わかった。そうしてもらえると儂も助かるぞ。それからこれが依頼の達成報酬じゃ。」

ボスンと中身の詰まった貨幣袋が机に置かれる。


「おぉー!これが30金貨の重みかぁ!!」

「なんじゃ、お前はもっと稼いでおるじゃろう!」

「そうだけど。基本的に大きな金額は爺さんとこに預けているからね。こんなに金貨を持ったことないよ。」

「そうかもしれませんね。お預かりしている金額からもっと持って来ましょうか?」

「また必要になったらお願いするよ。重たいし。」

「ふふふ。お待ちしてます。」

「それじゃあ、爺さん。後の事はギルドに任せるね。」

「任せておけ。それにしてもガルドもかなり強くなったのぉ。どうじゃ?冒険者に登録せんか?」

「ん~。俺には向いてないかな。魔具師が性に合っているよ。」

「師匠は天才魔具師ですから!」

「ハッハッハ、そうかもしれんのぉ!サラ嬢の発明にも期待しておるぞ。」

「はい!頑張ります!!」

これにて、この依頼は一件落着。
臨時収入も入った事だし、お風呂の増築以外にも何か作りたいなぁ。
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