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北の森のダンジョン編
第50話 レベルアップ
しおりを挟む「よし、トラちゃん決めろ!」
ザシュッと槍がゴブリンの胸を突いた。
辺りには5体のゴブリンが倒れている。
最近はトラちゃんと一緒に森でレベル上げを頑張っている。
そのお陰で俺のレベルも15まで上がった。
並みの冒険者ぐらいの戦闘力かな?でも非戦闘職だから同レベルの戦闘職には劣るかも。
久しぶりにステータスも確認してみると、こんな感じだ。
個体名 ガルド
年齢 19歳
種族 人間族
レベル 15
職業 魔具師
職業スキル(魔具師)
解析 魔改造 精製 加工
固有スキル
人形製作
耐性
雷属性
称号
覚醒者 発明家 ゴーレムマスター
うん。なんか称号が増えてるね。
詳細はどうなってるんだ?
発明家
新たな技術や物品を複数発明した者への称号。
ゴーレムマスター
ゴーレムを使役する能力に長けた者への称号。
なるほど、そのまんまだね。
レベルも上がってきたし、そろそろ狩場を変えた方が良いかもね。
「トラちゃん、今日は西の森の鉱山付近へ行ってみようか。」
トラちゃんは頷いて後について来る。
鉱山の入り口付近はゲイ兄弟が間引いているので魔物はほとんど出ない。
なので、そこから山沿いに北へ向かってみよう。
森の奥へ進むと昆虫系の魔物が多く、頻繁に足を止められる。
ビッグスパイダーは雑魚だが、群れられると手間だし、パワーマンティスなんかが出てくると割とレベルが高いので注意が必要だ。
まぁ、トラちゃんの雷槍か俺の秘密兵器があれば問題ない相手だけどね。
ちなみに俺の秘密兵器はパーンバンブーの火薬と魔玉粒で作った手榴弾だ。火系統の爆属性の魔力が使えればもっと小型で高性能な爆弾も作れそうなのだが、今はこれで十分だ。
倒した魔物から魔石の欠片を回収していると、デッカイ蟻が襲いかかってきた。
田舎の蟻はデカイと聞くが、この蟻はデカ過ぎる。中型犬ぐらいの大きさがあるぞ。
トラちゃんが冷静に槍で薙ぎ払う。
ガチン!
金属が衝突したような音が鳴り響く。
「かなり硬い外骨格だな。トラちゃん、隙間の部分を狙うんだ!」
トラちゃんの槍が正確に足の節を突いた。
ガッ!
しかし、深くまでは刺さらない。
「中の筋肉まで硬いのか!?」
1匹の蟻に苦戦していると、他に3匹の蟻に背後を取られていた。
「グハッ。」
蟻の体当たりで転ばされてしまった。
追い打ちとばかりに蟻が噛み付こうと仕掛けてくる。
ガッ!
何とか吹き矢の筒でガードする。
下から見上げるデカイ蟻の顔面は気色悪い。
しかも、蟻ならではのパワーが強い。
このままでは押し込まれる。
そう判断すると、一瞬だけ力を抜き、蟻が引き込まれた瞬間に体を横に回転させて片手を自由にする。
その手でポケットの中の鉄球を握りしめ、魔力を流す。
「気持ち悪いんじゃー!!」
俺の怒りの雄叫びと共に激しい電流が流される。自爆覚悟の電流攻撃だ!
電流は一瞬だったが、効果は抜群のようだ。
蟻は感電したのか脳天から黒い煙を上げて停止している。
「おりゃ!」
蟻を押しのけるとそのまま倒れてしまった。
どうやら感電死してしまったようだ。
「よし、弱点は雷属性だ!トラちゃんやっちまえ!!」
急いでトラちゃんの方へと避難する。
3匹の蟻と対峙するトラちゃん。
3匹の蟻が同時に飛びかかる。
トラちゃんが横薙ぎに槍を振るう。
バリッ バチバチバチバチーー
槍から青白い電気が放たれた。
自滅の雷槍の効果の1つ放電だ。
蟻は脚を空に向けてバタバタと倒れた。
「念の為、トドメに電撃しといて。」
トラちゃんが1匹ずつ槍を節に刺して電撃を流して回る。
その間に魔石の欠片を回収しようとしたが、硬くて解体できそうになかった。
『レベルアップしました。』
おっ、レベルが上がったぞ。
解体方法をどうするか悩んでいたのだが、背後の物音に気付いて振り返ると、蟻がいっぱい迫って来ていた。
「やってしまいなさい。トラちゃん。」
トラちゃんの雷槍無双を横目に見ながら、俺もダガーナイフで蟻をスタンさせる。
さっき使った鉄球、俺はビリリ玉と呼んでいる魔導具なのだが、これは1つでも並みの冒険者なら気絶させる威力がある。以前に下衆な冒険者で実験済みだ。これをさっきは3つ一気に使ったのだが、雷耐性のある俺でも何度も耐えるのは無理だ。なので威力の弱いダガーナイフでコツコツと蟻を無力化していく。
トドメはトラちゃんにお任せだ。
『レベルアップしました。』
おっ!また上がった。
黙々と蟻の駆除を続ける。
『レベルアップしました。』
おおっ!またまた上がった。
この蟻、経験値がウマウマだな!
群れを殲滅すると辺りは蟻の骸だらけとなった。数えてみると、22匹の蟻を倒し切った。
しかし、解体方法が分からないから困ったものだ。捨て置くのは勿体無いし。
「そうだ!ゲイ兄弟に相談しよう。」
あの2人なら近くにいるだろうし、もしかすると解体方法を知っているかもしれない。
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