魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

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町おこし編

第42話 王都見物

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「あ、師匠。三日月亭でラブラさんと待ち合わせしているんでした。」

「え、そうなの?」

「はい。さっきお店に来られた時にちょっと協力してもらったんです。それでこの後で落ち合いましょうって。」

「そっか。じゃあ宿に行くか。」


宿屋の三日月亭へ戻るとラブラさんは食堂でお茶を飲んでいた。


「ラブラさーん!お待たせしました!」

「あ、サラちゃん。上手くいった?」

「はい!もうバッチリです!」

「そう!なら良かったわ。」

2人から話を聞くと、ラブラさんが約束通りお店に来てくれてブーツを試着したそうだ。
そしたらラブラさんもブーツを気に入ってくれて、更には客寄せの為にサクラまで演じてくれたそうだ。
まぁ、この2人なら目立つから男ばっかりが寄って来ていたのも納得である。

「ガルドくんも良かったわね。サラちゃんが頑張ってくれたんだから褒めてあげてね。」

「ははは、そうですね。ラブラさんも協力して頂いちゃってありがとうございます。」

「いいのよ、迷惑もかけたし。それに私はガルドくん達を応援してるから。」

ラブラさんのウインクに赤面してしまった。


「ラブラさんは、この後どうするんですか?」

「私の用事は終わったから帝都へ移動するわ。」

「もう行っちゃうんですか?」

「ええ、隣の村まですぐだし、この後の馬車に乗るわ。」

「そうですか。色々とお世話になりました。」

「ラブラさん、また会いましょうね!」

「ええ、私も楽しかったわ。良いブーツも手に入ったし。これは帝都でも自慢しておくわね。」

「ありがとうございます。」


サラと2人でラブラさんを見送った。
ラブラさんとはまた会える気がする。
帝都に行ったら冒険者ギルドへ尋ねてみるかな。


「師匠、この後はどうしますか?」

「そうだな。フィルに会うのは明日の方が良いだろうし。王都見物でもするかな。」

「それならご案内しますよ!」

「うん、じゃあ行くか。」


サラに案内されながらブラブラと歩く。
この辺りは商業区と言われる商店の多い地区になっている。
武器や雑貨、食材などなど様々な専門店から総合店までたくさんのお店が軒を連ねている。

「師匠、あっちのお店は魔導具専門店ですよ。」

「おっ!じゃあ勉強していくか。」


店内に入ると色々な魔導具が置いてある。
奥のカウンターはガラスのショーウィンドウになっており、中には魔玉が陳列されている。
手近な魔導具から見ていく。
この辺りは携帯用のコンロだな。隣には水を出す筒状の魔導具がある。
少し奥へ行くと大型の魔導具も置いてある。
この大きな扇風機みたいのは馬車に取り付ける風力ブースターだ。
その隣にはなんと冷蔵庫が置いてある。鉄製の箱に氷の魔導回路で冷却する仕組みのようだ。
俺も氷の魔力が使えるようになったら是非作りたいな!さすがにまだ冷凍庫は開発されていないようだ。
奥まで来たのでショーウィンドウの魔石を眺めていると店主に声をかけられた。

「兄さん、見ない顔だね。」

「ええ、サイモンの町から来ました。」

「そうかい。なら記念に上等な魔玉はどうだい?あのマリーゴールド様の魔玉も取り扱ってるぜ。」

「へぇー!どれですか?」

「これだよ。この1番純度の高いやつだよ。綺麗だろ?」

店主が指差す魔玉を見ると、確かに純度は高そうだ。しかし、俺が作った魔玉の方が綺麗だと思う。手前味噌かな?

「師匠、ちょっと。」

サラが小声で話しかけてきた。

「どうした?」

「師匠、あの魔玉はお祖母様が作った物ではないです。」

「え?分かるのか?」

「はい。私はお祖母様の魔玉を見た事がありますので、解析スキルで判別できます。」

「なるほど。じゃあ、ここの店主は田舎者の俺に偽物を売り付けようとしている訳か。」

「そうなりますね。」

「おい、田舎者は余計だぞ。」

近くにあったサラの額にデコピンをお見舞いする。

「アウ!」


「で、どうだい?買うかい?今なら安くしといてやるぜ?」

「へぇー、ちなみにおいくらですか?」

「そうだなぁ。特別に1銀貨でいいぞ。」

「え!」

魔玉の一般価格の3倍以上じゃないか!
ボッタクリも甚だしいな。

「すみません、ちょっと手が出ないです。」

「そうかぁ?なら8銅貨でもいいぜ?」

「いや、いいです。行くぞ。」

「はい、師匠。」

「なんだよ、冷やかしかよ。ちっ。」


あらま、店主が悪態吐いちゃったよ。
本当にダメだなこの店は。
まぁ2度来る事もないだろうし無視するか。
でも一応名前は憶えておくか。俺のブラックリスト入りだな。
店の外の看板で店名を確認する。

「ヤングロック商会のマジカルショップね。」

「師匠、どうしたんですか?」

「ん?2度と関わりたくないんで名前を憶えておこうかとね。」

「確かに酷い店でしたね。昔は良い店だったんですけど。」

「そうなの?」

「はい。オーナーが代替わりしたみたいですね。」

「ヘェ~。」
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